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健康のリスクを負ってでも、ペットを手放せない高齢者たち


一人暮らしをする高齢者にとって、ペットは単なる「癒し」ではなく、彼らのパートナー、あるいは理解者であり、ペットが生きがいだと感じている人が少なくない。
そうした高齢者にとって、最愛のペットを手放して高齢者施設へ移るのは非常につらい決断だ。日本を含む欧米諸国では、ペットと一緒に入居できる施設はほとんどなく、あっても富裕層向けの高額の施設に限られる。

オーストラリアのタスマニアに住む78歳のロルフさんは数年前に奥さんに先立たれ、4匹の猫と一緒に暮らしている。猫たちを手放して施設に入れられるくらいなら死んだほうがましだと言い、頑なに入居を拒んでいる。
猫たちはラルフさんが落ち込んで憂鬱になっているとそれを感じ取り、いつもそばに来てくれるそうだ。猫たちを失うことは彼の精神面での健康を害する恐れがあるが、かといって体の自由が効かなくてケアが必要な高齢者をそのままにしておくリスクもある。

高齢者施設がペットを受け入れられない理由はさまざまある。部屋には当然ペット用のトイレをおかないといけないため、衛生面や匂いは大きな問題だ。廊下などの共有スペースをペットたちも歩くので、落ちた毛によるアレルギーなども配慮しなければならない。

また、ペットと言っても犬や猫だけではない。爬虫類や羊といった動物を持ち込まれ、入居中に飼い主が病気などで世話ができなくなった場合に、だれが責任を持って世話をするかも難しい問題だ。
施設側は獣医やトリマー、動物保護団体などと協力して対応しなければならない。

しかし、「ペットを手放すなら死んだほうがましだ」と自らの健康リスクを冒して入居を拒む高齢者が多いという現実を考えると、施設の大変さは分かるが動物との入居を認める方向で努力をしてほしいものだ。

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