若い時に比べて、愛猫のトイレ回数に変化を感じたことはありませんか?
老猫の場合、トイレ回数における異変は病気が隠れている可能性が考えられます。
愛猫の異常には、飼い主として可能な限り早く気づいてあげたいですよね。
今回は、老猫の1日のおしっこやうんちの回数において、考えられる原因やおうちでチェックできることを解説していきます。
猫の1日の排泄回数はどれくらい?
愛猫の1日の排泄回数を把握していますか?
個体差や年齢においても変わってきますが、猫の1日のおしっこ、うんちの平均的な回数は以下になります。
排泄回数の目安を知ることで異変に気づいてあげることができます。
猫のおしっこの平均回数
猫のおしっこの平均回数は、1日に1〜3回程度です。
子猫の場合は、もう少し多く4〜6回程度にはなります。
猫のうんちの平均回数
猫のうんちの平均回数は1日1回程度になりますが、個体差もあるので2日に1回ペースの子もいます。
子猫の場合は、1日に1〜3回程度になります。
おしっこの回数が少ない時に考えられること
老猫のおしっこの回数が少なくなった時、1回の尿量がどれくらい出ているのかチェックする必要があります。
普段のおしっこの量より少ないと感じられるようであればので、考えられる病気を解説していきます。
慢性腎臓病
多くの猫が発症する腎臓病ですが進行することにより、腎臓の機能が低下し様々な影響が出てきます。
腎臓の役割としては、
・血液から尿を生成し、体の中で不要になった老廃物や毒素を尿中に排泄する役割
・血圧を調整する役割
・体の中の水分量やナトリウムやカリウムといったイオンバランスを適正に維持する役割
・ホルモンを分泌し赤血球を作る役割
等の働きを行なっている重要な臓器になります。
腎臓の機能が低下すると、血液中に老廃物や毒素が溜まり、様々な臓器の働きにも支障をきたすようになった状態を腎臓病(腎不全)と言い、その状態が3ヶ月以上続くことを慢性腎臓病と言います。
慢性腎臓病には、進行度によってステージが1〜4段階に分けられています。
その中のステージ2の段階では多飲多尿(たいんたにょう)というたくさんお水を飲んでたくさんおしっこをするという症状があります。
腎臓機能が低下してくると尿の濃縮できなくなるため、薄い尿を大量にするようになるのが特徴です。
ステージが進行すると、体の中で不要になった老廃物や毒素を尿中に排泄する機能が低下し、1回の尿量は少なくなったり食欲低下や嘔吐等の症状が現れます。
腎臓は、一度ダメージを受けてしまうと二度と回復はしないと考えられており、早期発見・早期治療が大切になっていきます。
尿路結石症
尿路結石症とは、腎臓、尿管、膀胱および尿道のどこかに結石が形成される病気です。
腎臓で作られた尿は、尿管を通って膀胱に入り、尿道を通って排泄されます。
結石ができた場所によって症状は違いますが、尿が出ないまたは出にくくなる、血尿になったり、排尿時に痛みを伴うトラブル等がみられます。
原因としては、食事や細菌感染などにより尿のpHバランスが崩れてしまうことが考えられています。猫のおしっこのpHは6くらいの弱酸性ですが、バランスが崩れてしまうことで、さらに酸性に傾いたり、逆にアルカリ性に傾いたりした状態が続くと結石ができやすくなります。
尿路結石症の場合、結石ができた場所によって1回の尿量は少量または全く尿が出ない場合もあります。また、血尿が出ることもありますので尿の色調もチェックしましょう。
全く尿が出ない場合は、命に関わるので早急に動物病院に受診しましょう。
おしっこの回数が多い時に考えられること
老猫のおしっこの回数が多くなった時(頻尿:ひんにょう)、1回の尿量はその原因によって変動しますので、それぞれ考えられる原因を解説していきます。
膀胱炎
膀胱炎とは、膀胱内の粘膜に炎症が起こる病気です。
若い猫でもなりやすく、原因不明の猫下部尿路疾患(突発性膀胱炎)が多いという特徴があります。
1回の尿量は、少量で何度もトイレを行き来することが目立つようになります。
膀胱炎の症状が酷くなると、排尿時に痛みを伴い鳴いたり、食欲や活動性の低下がみられます。
また、下腹部を舐めたり一部脱毛している場合も膀胱炎の可能性のサインです。
糖尿病
糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの不足または効果の低下で高血糖の状態が続いてしまうことです。
インスリンは体の中で唯一、血糖値を下げてくれるホルモンなのですが、不足してしまうと血糖値が上昇し、糖尿病が発症します。
糖尿病はその原因により、ふたつの型に分類されます。
膵臓から分泌されるインスリンが不足して起こる1型糖尿病と、インスリンは十分に分泌されているものの効果が低下して発症する2型糖尿病のふたつに分類されます。
猫は、2型糖尿病が多いのが特徴です。
糖尿病の症状としては、初期は無症状のケースもありますが進行すると多飲多尿という症状がみられます。
これは、血液中に大量のブドウ糖があるため、血中の浸透圧が上昇します。そのため、体はブドウ糖を薄めて浸透圧を低下させようとして水をたくさん飲んで尿中に排泄させようとするので多飲多尿(たいんたにょう)の症状がみられますので、1回の尿量は多くなります。
また、食べても痩せてくることも症状のひとつですので尿の量と合わせて気にかけてあげましょう。
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症は老猫に多く発症し、頚部(けいぶ:首のこと)の両側にある甲状腺という体の代謝に関わるホルモンが過剰に分泌される病気です。
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、いつもに比べて異常に興奮したり落ち着きがない、攻撃性が増す、食欲が旺盛なのに痩せていく、脱毛や毛艶が悪くなる、頻脈・呼吸が早い、多飲多尿(たいんたにょう)などの症状がみられます。
1回の尿量は、多飲により多くなります。
また、よく鳴いたり鳴き声が大きくなることも特徴としてありますので、いつもに比べて性格や活動性、多飲多尿などが気になった場合は、早めに病院受診しましょう。
自宅でできる簡単セルフチェック】
自宅で飼い主さんが愛猫のおしっこのセルフチェックをしてあげることで、早期発見・早期治療に繋げることが可能です。
ひとつでもあてはまる場合には、動物病院を受診しましょう。
おしっこの管理をしっかりしてあげるには
おしっこの状態は、愛猫のご飯内容、飲水量、活動量、生活環境等で変動します。
日々の愛猫のおしっこを管理する上で、5つのチェックポイントがあります。
愛猫のおしっこの状態の変化に早く気づいてあげることで、病気の早期発見・早期治療に繋がりますので、解説していきます。
愛猫の1日のおしっこの平均回数を知る
健康な猫は1日平均1〜3回程度になります。
おしっこの回数が少なくて多くても、病気が隠れている可能性はありますので知っておきましょう。
愛猫のおしっこの色を知る
健康な猫は薄い黄色です。
それ以外の色の場合に考えられる病気の可能性は以下になります。
・黄色味がなく透明の場合は、腎臓の機能低下の可能性
・血尿や白く濁った尿の場合は、膀胱炎、尿路結石の可能性
・濃黄色の尿の場合は、脱水している可能性
おしっこの色をチェックするポイントとして、白色のペットシーツを使用するとわかりやすくおすすめです。
愛猫のおしっこの量を知る
健康な猫の1日のおしっこの量は、体重1kgあたり50mlを上限としています。
例えば、体重5kgなら250mlなのでそれを越えると多尿(たにょう)と考えられます。
猫のトイレには、猫砂が敷いてあることが多いので、おしっこの量を測るのは難しいかもしれませんが、猫砂の塊がいつもより大きい場合は量が多いサインのひとつにはなります。
猫砂ではなく、ペットシーツのみでおしっこをしているのであればその重さを測定後、未使用のペットシーツの重さを差し引くことで量を知ることができます。
愛猫のおしっこのニオイを知る
健康な猫のおしっこは、猫によっても違うので文章として表現するのは難しいのですが、トイレ掃除の際にいつもと違うニオイの場合は、注意が必要です。
愛猫の排泄時の様子を知る
おしっこにトラブルを抱えている場合、排泄時間が長かったり、何度もトイレに行く(頻尿)様子や排泄時に痛そうに鳴いている、しきりに陰部周囲を舐めて気にしている等の行動の変化がみられます。
排泄時の様子をしっかり把握しましょう。
うんちの回数が少ない時に考えられること
老猫のうんちの回数が少ない時に考えられる原因として、腎臓病の進行などで脱水症状が進行し便秘になってしまうケースが少なくないようです。うんちは硬いことが多く、コロコロした形で排泄時に痛みを伴うこともあります。
また痛みを我慢して便秘になる老猫もいます。
老猫のうんちの硬さや排泄までにかかる時間、排泄時の痛みがないかよく様子をみてあげましょう。
うんちの回数が多い時に考えられること
老猫のうんちの回数が多い時に確認してほしいのは、うんちの硬さです。
うんちの回数が多い場合、いつもに比べて柔らかいまたは下痢が認められることが多いです。
うんちに血が混ざっていたり黒色のうんちが見られる場合は、消化器官に炎症が起きていることが考えられますので、早めに病院受診しましょう。
また、柔らかいうんちや下痢が長期間続く場合、病気が隠れている可能性も高いです。
まとめ
今回、老猫のおしっこ・うんちに関して考えられる原因や自宅でチェックしてあげられることをまとめました。
トイレの回数は、健康状態を把握できる大切なものになりますので、愛猫の排泄回数だけではなく、おしっこの量や色、うんちの場合は硬さや色、排泄時の様子等も気にかけてあげましょう。
人間も同様ですが、歳を重ねるとトイレの問題以外にも様々なトラブルや病気が隠れています。
一緒に生活している中で、「あれ?いつもと違うかも…!?」と違和感があれば、まずは愛猫の様子をしっかり観察し、必要であれば動物病院を受診しましょう。
早期発見・早期治療はとても大切になります。
少しでもこの記事がお役に立てたら幸いです。