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【専門家監修】猫は去勢で性格が変わる?理由と変化への向き合い方・注意点

「猫は去勢したら性格が変わるって聞いたけど、うちの子もそうなるの?」

そんな不安を抱える飼い主さんは多いでしょう。

落ち着く・べったり甘えるようになる・よく鳴くなど、いろいろな話を聞きますよね。

実際のところどんな変化が起こるのか。そもそも猫の去勢はなぜ必要なのか?

この記事では、認定動物看護師の資格をもつ筆者が「猫の去勢後の性格の変化や理由」「変化への向き合い方」「最適な時期や費用目安、注意点」などをまとめて解説します。

猫が去勢で性格が変わる理由は“ホルモンバランスの変化”

猫が去勢で性格が変わる理由は“ホルモンバランスの変化”

性ホルモンは、猫の行動や性格を左右する影響力を持っています。

オス猫なら、発情時のイライラや攻撃性縄張り行動であるマーキング繁殖要求による夜鳴きなど。

猫の本能としては正常な行動や性格の表れですが、問題行動トラブルにつながるのも事実です。

【去勢をしない場合に起こりやすい問題行動・トラブル】

  • 望まない繁殖をしてしまう
  • 狂暴な性格で成熟すると、手に負えなくなる
  • 頻繁に脱走を試みるようになる
  • どこにでも尿スプレー(縄張りマーキングの一種)をするようになる
  • ストレスによる家具や壁などの破壊行動が治まらなくなる
  • 他猫とのケンカをストレスのはけ口にしてケガをする

去勢をすることで性ホルモンが影響する問題行動やトラブルを抑制できます。

猫は去勢で性格がどう変わる?

猫は去勢で性格がどう変わる?

去勢によって性ホルモンの分泌が抑えられると猫の性格はどう変わるのか?性格の変化や個体差などについてまとめました。

よくある性格の変化

猫が去勢をすると、主に以下のような性格の変化が見られます。

  • おだやかになる
  • 落ち着く
  • 甘えん坊になる
  • 夜鳴きをしなくなる
  • 食欲が増す
  • 縄張り行動の頻度が減る

「性格が変わらない猫」もいる

去勢をしても、元の性格・生活環境・去勢時期などによって性格の変化には個体差があります。

元の性格で気が強いと、去勢によって多少は丸くなるものの、ストレスを感じると攻撃的になることもあるでしょう。

基本的には元の性格がベースとして残ります。人懐っこい子は去勢後も人懐っこく、シャイな子は去勢後もシャイであることが多いです。

根本的な性格が変わるのではなく「性ホルモンによって出ていたオス特有の性格・行動が抑えられる」と捉える方が正しいかもしれません。

去勢後に「後悔した」と感じることもある?

インターネットの情報や噂から「猫の去勢手術で後悔をした」という声を目にすることもあるでしょう。

実際にどのような「後悔」の声があったのか見てみましょう。

  • 全身麻酔が想定よりも身体に負荷をかけてしまった
  • 術後しばらく落ち着かない
  • 傷口が化膿し、ケアが大変だった
  • トラウマとして残り、動物病院を恐れたり暴れたりするようになった

ただし、やはり「去勢をして後悔はない」「してよかった」という声の方が多いです。

去勢をしないまま猫をおうちの中に留めておくということは、猫の性的制御をし続けているのと同じで、猫にとって大きなストレスになります。

ストレスが脱走につながり交通事故に遭ってしまったという事例も少なくありません。

愛猫の去勢を迷っているなら、マナー的にも愛猫の健康や命を守るためにも去勢する選択をお勧めします。

性格だけじゃない、猫の去勢のメリット・デメリット

性格だけじゃない、猫の去勢のメリット・デメリット

ここでは、猫の去勢のメリット・デメリットを性格面・行動面・健康面の3つの視点から解説します。

性格面でのメリット・デメリット

去勢をすることで、発情期特有のイライラや落ち着きのなさが改善され性格が穏やかになる子が多いです。

一方、遊び時間や刺激が減って運動不足になることもあるでしょう。

【性格面での去勢のメリット・デメリットの具体例】

メリット デメリット
  • 発情期のストレスが減る
  • 穏やかな性格になる
  • 攻撃的な一面が落ち着く
  • 活動量が減り運動不足に陥りやすい
  • 以前より寝て過ごす時間が増える
  • 退屈しやすく刺激不足でストレスを感じることもある

落ち着くのは良い変化ですが「遊びたい」「刺激が欲しい」という気持ちがゼロになったわけではありません。

遊びや刺激をうまく取り入れる工夫をしていきましょう。

行動面のメリット・デメリット

去勢を行うと、性ホルモンに関係する行動(マーキング・脱走・攻撃など)が減少します。

家庭内でのトラブルを防ぎやすくなる一方、緊張感がなくなることで甘えん坊になる子もいるでしょう。

【行動面での去勢のメリット・デメリットの具体例】

メリット デメリット
  • スプレー・マーキングが減る
  • 脱走を防ぎ、他猫とのケンカや望まない繁殖を防止できる
  • 夜鳴き・発情時の興奮が抑えられ、静かに過ごせる
  • 飼い主さんへの依存度が高くなることがある
  • 甘えん坊でべったりするタイプになることがある
  • ひとりでいる時間にストレスや不安を感じる

去勢後に甘えの傾向が強くなるのは「安心して飼い主さんに甘えられるようになったサイン」でもあります。

スキンシップをとりつつ、ほどよい距離感を大切にしていきましょう。

また、頻度は減るとはいえ脱走のリスクはどんな猫にもあります。ペットゲートやフェンスなどによる脱走対策もしておきましょう。

健康面でのメリット・デメリット

去勢には精巣腫瘍や前立腺疾患などの病気の予防という大きなメリットがあります。

しかし、代謝が下がるため肥満や生活習慣病には注意が必要です。

【健康面での去勢のメリット・デメリットの具体例】

メリット デメリット
  • 精巣腫瘍・前立腺疾患の予防につながる
  • ホルモンバランスの安定によりストレスが減る
  • 長期的な健康の維持につながる
  • 代謝が落ち、太りやすくなる
  • 食欲が増して肥満傾向になることがある
  • 肥満関連疾患のリスクが上がる(脂肪肝・糖尿病・心臓病など)

食事量の調整去勢後専用フードの活用で健康管理をしてあげましょう。

また、キャットステップやキャットタワー・おもちゃなどで運動量を確保することも大切です。

猫の性格の変化を左右する「去勢の時期」と「術後の過ごし方」

猫の性格の変化を左右する「去勢の時期」と「術後の過ごし方」

ここでは、猫の去勢に最適な時期と去勢手術後の過ごし方について解説します。

猫の去勢に最適な時期

去勢は“生後6か月前後”に行なうのがおすすめです。

オス猫は生後7~9か月の時期に性成熟を迎え、オス猫ならではの性格や行動(落ち着かない・攻撃的・マーキングなど)が見られるようになります。

一度発情を経験すると、去勢をしたあとも発情時の性格や行動を引きずりやすいです。

最初の発情前に去勢をしておくことで、発情したときの性格や行動を引きずる可能性を低くできます。

ただし、性成熟前に去勢のタイミングを逃してしまった場合も去勢は可能です。動物病院で相談しましょう。

去勢後の性格の安定には術後の過ごし方がカギ

去勢後の猫は、ホルモンバランスの変化によって一時的に情緒が不安定になることが多いです。

術後数日は体調が安定しないため、安心できる静かな環境を整えてゆっくり休ませましょう。

猫が自分から寄ってきたときはやさしく声をかけてなでるなど、安心できるスキンシップをしてあげてください。

過剰に甘やかしたり、逆に放っておきすぎたりせず、猫の様子を見ながら「ちょうどいい距離感」を意識して過ごしていきましょう。

猫の去勢にかかる費用と流れ

猫の去勢にかかる費用と流れ

猫の去勢手術は、精巣を摘出するシンプルな外科手術です。

多くは日帰りまたは1泊入院で行われ、翌日には普段どおり過ごせるようになる子もいます。

費用の目安は1万〜3万円前後地域や動物病院によって異なる場合があります。

去勢後は体調が変化しやすい時期でもあるため、数日は注意深く観察してあげましょう。

また、体調が安定するまでは旅行やペットホテルの利用も避けてください。

去勢後の猫と上手に向き合うために、飼い主さんができること・注意点

去勢後の猫と上手に向き合うために、飼い主さんができること・注意点

去勢後の猫と上手に向き合うために、飼い主さんができることや注意点をまとめました。

変化を“性格が変わった”と決めつけない

去勢による変化は、性格そのものというより「ホルモンの影響が落ち着いた結果」と考える方がいいでしょう。

「うちの子、別の子みたい…」と思っても焦らなくて大丈夫です。ホルモンによるオス特有の性格が落ち着き、本来のその子の性格が出てきたともいえます。

性格の変化や落ち着くまでのスピードには個体差があるため、焦らず様子を見守っていきましょう。

甘えん坊になったときの接し方

去勢後は飼い主さんに甘えて依存しやすくなる子もいます。

しかし、猫もその時々の気分があるため、ずっとべったり甘えていたいわけではありません。

愛猫の様子を見ながらべったりしすぎない「ほどよい距離感」を意識しましょう。

猫が愛情表現をしているときのサインと、ストレスを感じているときのサインを覚えておくといいかもしれません。

猫の愛情表現 猫のストレスサイン
  • 前足でふみふみ
  • 甘噛み
  • ゴロゴロのどを鳴らす
  • ゆっくり瞬きする・目を細める
  • 頭や身体をスリスリしたり頭突きしたりする
  • お腹を見せてくる
  • 甘えた声で鳴いてくる
  • 寝ているところにくっついてくる
  • 飼い主さんの帰宅時にお出迎えしてくれる
  • しっぽがピンと垂直に立つ
  • 耳が斜め後ろに倒れ、リラックスした表情をしている
  • 隠れる・逃げる
  • 過剰にグルーミングをする
  • 攻撃的になる
  • シャーシャーと威嚇する
  • 低い声で唸るように鳴く
  • スフィンクスのような姿勢になり瞳孔が開く
  • しかめっ面になる
  • しっぽを身体にぴったり付ける
  • 過剰にトイレをする
  • トイレを頻繁に失敗する
  • 食欲が急激に増減する

また、安心できる留守番環境を整えてあげることも大切です。

PLAYティピーテント
留守番時に取り入れたいおすすめのアイテムは、「PLAYティピーテント」です。

木製のポールから布製のカバーを簡単に取り外しできるテントで、お手入れの時は外して洗濯機にかけるだけ。

オシャレな見た目もお部屋になじみやすいです。

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落ち着きが出た猫への関わり方

去勢をして落ち着きが出ると、同時に運動量が減ってしまう場合があります。

しかし遊ぶことに興味がなくなったわけではありません。猫の本能である“狩猟本能”は残っていることが多いです。

猫じゃらしやボールなど、愛猫が好きなおもちゃで遊びに誘ってあげましょう。

猫じゃらしセット

上記のように、種類豊富な猫じゃらしセットなら愛猫の好みも見つけやすく、飽きさせない工夫にもなるためおすすめです。

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太りやすくなるため食事に注意

去勢後はホルモンバランスの変化で基礎代謝が下がり、活動量も減少しやすく、太りやすいです。

去勢後専用のフードの活用やカロリー計算などで、1日の摂取カロリーを去勢前よりも10〜20%程度減らすようにしましょう。

食事の見直しをするときは、1日のごはんの回数は減らさず、1回量を少しずつ減らすのがおすすめです。

おやつや間食は肥満に拍車をかけやすいため控えめにしておきましょう。

ストレスを減らす環境づくりが大切

去勢後は性衝動が減ると同時に、活動性や遊びのモチベーションも落ちやすいです。

さらに、性衝動というエネルギーのはけ口が無くなるとストレスつながることも。過剰なグルーミング粗相攻撃的な姿勢を引き起こすことがあります。

愛猫のストレスを減らす環境づくりを大切にしましょう。

【愛猫のストレスを減らす環境づくりのアイデア】

  • キャットタワーやキャットステップなど上下運動ができるアイテムを使う
  • おもちゃや知育トイを置いて退屈を防ぐ
  • スキンシップを意識的に増やす
  • 静かなスペースやお気に入りの寝床をつくる

にゃんボールMAG
キャットステップの中でおすすめなのは「にゃんボールMAG」です。

キャットステップは壁に穴をあけて取り付けるものが多いですが、にゃんボールMAGは壁に穴をあけずマグネットを貼って設置できます

壁に穴をあけたくなくてキャットステップの設置を踏みとどまっている方におすすめです。

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猫の去勢後は、変化を理解して“その子らしさ”を大切に

猫の去勢によって見られる性格の変化は「本来の性格が変わる」というよりも“ホルモンの影響が落ち着いた結果”です。

去勢は、猫のストレスやトラブルを減らして心身ともに穏やかに暮らせるようにするための手段でもあります。

術後の性格の変化や不安定さを感じても、焦らず見守ることが大切です。

また、去勢後は甘えや落ち着き・刺激や遊びのバランスをとりながら、愛猫が安心して過ごせる環境を整えてあげましょう。

この記事を書いたペットとの暮らしの専門家
舘 明奈
    動物看護師統一認定機構認定 動物看護師・ペットケアアドバイザー等多数資格保有
    (パピヨン/男の子)




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