『愛犬といつでも気軽に泊まれるホテル』をコンセプトに展開する、東京都台東区にあるドッグフレンドリーホテル「ICIホテル浅草橋」。
全室わんちゃんの宿泊OKという同ホテルの大きな特長は「あえて犬を特別扱いしない」ということ。そこにはどのような思いや工夫があるのでしょうか?
今回は、筆者の愛犬2匹を連れて「ICIホテル浅草橋」にお邪魔し、同ホテルの魅力を探ってきました。
撮影・文/鈴木桃子
犬も家族同然 だからこそ愛犬との旅行も当たり前に
愛犬と宿泊ありきのお出かけをしようとすると、ホテル探しはもちろん、移動手段やレストラン選定など事前に調べておくべきことが多く「なかなかハードルが高いもの」と感じる方も多いのではないでしょうか?
特にホテルは通常、犬を専用のケージルームに預けないといけなかったり、夜はケージの中に入れる必要があったりと、制限が多いことも珍しくありません。
そのような中で「ICIホテル浅草橋」を運営するhotel MONday Group は「犬も家族同然」という飼い主さんの価値観を大切にし、一部店舗をわんちゃんも当たり前に人間と同じように過ごせるホテルとして展開しています。
わんちゃんたちも、飼い主さんと一緒にチェックインし、飼い主さんと同じ部屋で同じソファで、同じベッドでくつろぐことができる。まるで自宅での過ごし方の延長線にあるような同ホテルが、今多くの愛犬家の間で評判を呼んでいます。
ICIホテル浅草橋の周辺環境
まずは、同ホテルの周辺環境のご紹介から。
「ICIホテル浅草橋」がある浅草橋は、古くから問屋街として栄えた街。東京駅から約10分、羽田空港までも乗り換え不要でアクセスできるなど、観光やビジネスでの利用に便利な立地です。浅草やスカイツリーといった観光スポットへも気軽に訪れることができますし、ホテルまでは、JR浅草橋駅から徒歩約2分、都営浅草線 浅草橋駅から徒歩約4分と駅チカなのもうれしいポイントです。
近くを流れる隅田川沿いは、浅草方面にも続くお散歩コースにもなっているので、わんちゃんとお散歩するのも気持ちが良いですよ。
ロビーフロアはわんちゃんや飼い主さんが楽しめるポイントがたくさん!
〈愛犬ワコ。 ロビーはリードを付けていれば自由に歩けます。〉
さて、それでは早速ホテルにお邪魔してみましょう。
いつもと違う景色と匂いに、愛犬のワコとタラは周りをキョロキョロ、くんくん。ホテルに入るとまずスタッフさん達が温かく迎えてくれます。
〈エントランスには足洗い場や犬用のウォーターサーバー。お散歩帰りにもうれしいです。〉
フロント横には、多くのわんちゃんがまず目(鼻)を向けるであろう「OYATSU MARCHE」が。
これは、足元に置いてある数種類のおやつ缶の匂いをわんちゃん自身が嗅いで、自分で食べたいおやつを選べるという何とも魅力的なスポット。
お気に入りのおやつを見つけたらグラム単位で購入することもできます。
〈わんちゃんもうれしい「OYATSU MARCHE」。味見もできます。〉
また、ホテルのロビーがある1階には、愛犬ウェルカムなカフェ「EZO DELI」を併設しています。
こちらは、宿泊客に限らず、近隣の愛犬家の方々の憩いの場。愛犬家はもちろん、打ち合わせや一人でPC作業をする方など、広々とした空間は多くの人のくつろぎスペースになっています。
ランチプレートやスイーツのほか、朝はフレッシュな野菜や食材を好みのパンに挟んでオリジナルのサンドイッチを楽しむことができるビュッフェスタイルの朝食をいただけます。
こちらも宿泊者以外も利用OK。
「朝んぽ」こと朝のお散歩中のご近所愛犬家さんたちも気軽に立ち寄れます。
床はバリアフリー仕様でドッグキャリーでの移動もしやすく、わんちゃんもリードを付けていれば自由に歩くことができるので、初めましてのわんちゃん同士が交流する場面もしばしば見られるそうです。
〈愛犬タラ。季節ごとに変わるフリーフォトスポットでは、ティアラや帽子などの小物も借りられます。〉
〈広々と開放的な空間。テラス席もある。〉
全室わんちゃんOKの客室
さて、それでは旅の疲れを癒すお部屋に移動してみましょう。
ホテルの客室へは、カフェ奥のエレベーターで移動します。14階建て103室ある客室は全室、わんちゃんとの宿泊が可能。ダブル・ツイン・デラックスツインの部屋から人数やシーンによって選べます。
大型犬1わんちゃんも可能です。
「"Like a TOOL BOX "道具箱のように」をコンセプトにした客室は、アイアンのラックとウッド調のテーブルでスタイリッシュ且つ落ち着いた空間。
ふかふかなベッドとエコ認定を受けた羽毛布団、体や自然にやさしい素材で作られたパジャマやタオルが用意されています。
わんちゃん用に用意されているアメニティは、
- 犬用トイレ
- トイレシート
- うんち袋
- ウェットティッシュ
- 消臭スプレー
- コロコロ粘着シート
が用意されています。
そのほか、ホテル周辺でわんちゃんと一緒に入店できるお店や、おすすめの散歩コースをまとめた冊子もあるので、ぜひ参考にしたいところ。
〈わんちゃん用のアメニティ。ティッシュやゴミ箱が高い位置に設置してあるので、いたずら防止にもうれしいですね(左)。〉
〈ホテル周辺の情報をまとめた案内冊子。旅の思い出作りにも役立ちそう。〉
わんちゃんの飲み水やごはんを入れるお皿やケージはないので、普段から使っているものを持参できると、わんちゃんも安心して過ごすことができますね。
室内は、マナーウェア(オムツ)を着用していれば、わんちゃんも自由に歩き回ってOK。ソファ・ベッドの上でもくつろげます。
ただ、マナーウェア(オムツ)を履くのに慣れているわんちゃんなら問題ないのですが、初めて履く子・あまり慣れていない子の場合は、慣れるまでしばらく時間がかかる場合もあります。事前に自宅で練習しておくと、飼い主さんもわんちゃんも安心ですよ。
筆者の愛犬たちは、最初こそウロウロ・くんくん・キョロキョロと忙しそうでしたが、一通り探検が済むと、ふかふかのベッドにご満悦な様子でした。
〈愛犬もふかふかのベッドの上で飼い主さんと一緒にくつろげます。〉
犬の同伴無しで宿泊される方もたくさんいらっしゃる同ホテル。「犬が吠えたら、その方たちに迷惑じゃないかな」と心配になりスタッフさんに伺ってみたところ、その日の宿泊状況に応じて「わんちゃん同伴は〇階、人間のみの宿泊は△階」というように、なるべくフロア分けをしているとのこと。そのような細かな配慮もうれしいですね。
〈ホテルオリジナルの館内着で、旅館の浴衣気分を味わうのも楽しそう。〉
提供するのは「当たり前に愛犬と過ごせるホテル」
いわゆるドッグリゾートのように、わんちゃんのためのサービスやアメニティなどが豊富にそろっているホテルと比べると、いたってシンプルな作りの「ICIホテルホテル浅草橋」。
「わんちゃんと『特別な場所で過ごす』というよりは『飼い主さんと当たり前に移動し宿泊できる』という、人間と犬との共生を目指している」と同ホテルの担当者さんは話します。
「犬をあえて特別扱いしない」というのは、言い換えれば「犬も人間と同じように受け入れる」ということ。
人間の赤ちゃんを連れて旅行へ行くときにオムツやミルクを持っていくのが当然なように、犬にだってドッグフードやお皿、リードやマナーウェアは必要です。だからこそ、同ホテルではわんちゃんへ向けた過剰なサービスを提供するのではなく、あくまで「飼い主さんとわんちゃんを同等に」受け入れるという姿勢をとっているのです。
今回、愛犬たちと「ICIホテルホテル浅草橋」にお邪魔して一番うれしかったのは、スタッフさん達が愛犬達の目線までかがんで「こんにちは」と声をかけてくれたことでした。
「この子達のこともちゃんと受け入れてくれる」そんな安心感を感じたからだと思います。
リゾートのような特別なサービスはないけれど、飼い主さんもわんちゃんも、普段と同じようにリラックスして過ごせる空間。
飼い主さんとわんちゃんが「いつも通り安心して過ごせる場所」が、そこにはありました。