公益社団法人アニマル・ドネーション(以下アニドネ)が、昨年12月に「いぬねこ保護団体ミーティング2022」をオンラインにて開催。その詳細を、主催者に伺いました。取材・文/安藤小百合
今回、お話をお聞きしたのは
西平衣里さん
アニマル・ドネーション代表理事。株式会社リクルートで結婚情報誌『ゼクシィ』の創刊から制作に従事、2011年にアニドネを開始。
今崎湘子さん
アニマル・ドネーションのリサーチャーとして、認定団体の相談窓口を務める。フリーライターとして犬に関するメディアへ執筆中。
動物保護団体からみたペットを取り巻く問題点とは
私たちアニドネは日頃から寄付金を動物保護団体に届けていますが、それだけでなく、情報を提供したり、情報交換し合う場を設けたりするなど、さまざまな付加価値も提供していきたいと考えています。そんな思いで始めた本ミーティングも、今回で3回目。アニドネを含むアニドネ認定団体20(計40名)が参加し、日頃の保護活動で直面している課題や事例を共有し合いました。現場で多くの命と向き合う皆さんのリアルな声が集まり、正しい現状認識と、今後取り組むべき課題を明らかにすることができました。中には保護犬を病院に連れて行きながら参加する方もいて、オンラインながら現場の空気と熱意を感じられる場になりました。
今回議題にあがったのは、「保護犬・保護猫を利用したビジネスの横行」と「多頭飼育崩壊」。近年は保護犬・保護猫への社会的認知と関心が高まっていて、保護犬・保護猫を迎える人が増えています。本来であれば喜ばしいことで
すが、その裏では引退繁殖犬やペットショップの売れ残りなどを「保護犬・保護猫」とうたい、実際にかかった医療費以外に、フードや保険が譲渡費に含まれている譲渡活動も散見されます。ペットショップから迎えるのではなく、行き場のない保護犬猫を探しているのに、意図せず営利活動に近い保護活動に加担してしまうこともあるのです。皆さんはそのような業者に当たらないために、譲渡費が異様に高くないか、譲渡の前にちゃんとお試し期間があるか、その犬猫のバックストーリー(保護された場所、性格、メディカルチェック歴)が明らかになっているかを確認してください。
また、依然として「多頭飼育崩壊」も後を絶ちません。これはブリーダーや一般オーナーが去勢や避妊をせずに一緒に飼育することで、管理できないほどに頭数が増えてしまう問題です。ブリーダーの高齢化も原因の一つで、人間側の問題が大きく影響していると言
えます。
保護団体は課題が山積み!アニドネ経由でサポートを
保護団体運営への課題もあがりました。特に多かったのは、物資、資金、人材の不足です。これらは非営利だからこそ生じる問題。特に人材はボランティア主体なので、常にリソースが足りていません。アニドネは保護犬・保護猫をとりまくさまざまな発信を続けることで、問題を知る人を増やし、寄付してくれる個人や協力してくれる企業を増やし続けています。そのような人や企業と、動物のために頑張っている団体を結びつけることで、活動存続のカギとなる資金面をサポートしています。保護団体は、犬猫に向き合うことに日々注力しており、ネットワーク作りなどの余裕があまりありませんので、今後もこうした会合でつながりをつくっていきます。アニドネ認定団体ならお互い安心して付き合えると思いますし、ディープな保護活動をしているからこそ分かり合える悩みを相談し合ってほしいですね。いずれは、アニドネ認定団体だけでなく全国の保護団体が集まるサミットを開催したいと思っています。これからも「日本の動物福祉を世界トップレベルに」を掲げ、活動を続けていきます。
犬や猫が安心して暮らせる環境は、動物福祉の基本です。住まいにおいても、犬が滑らない床材を採用したり、猫が運動できる設計にしたりすることは必須です。その基本を皆で世の中に広めて、人もペットも心地よく共生できる社会を実現していきましょう。皆さんもぜひ、アニドネのサイトをご覧になってください。
保護団体(計25 団体)へ行ったアンケート調査の一つ。ブリーダーや一般飼養者の「多頭飼育崩壊」、保護犬・保護猫を利用したビジネス化への強い問題意識が明らかになった。
What's アニドネ?
動物のために頑張っている団体と思いのある人や企業を結ぶ、日本初の動物専門寄付サイト。犬猫への「キモチ」を「カタチ」に。
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