
ペキニーズを家族に迎え入れたい!
けれど、性格的に合うのか?一緒に暮らす際はどんなことに注意するべきなのか?不安でなかなか踏み出せない方も多いでしょう。
そう感じるのは「命ある存在を迎えること」を真剣に考えている証です。
この記事では、認定動物看護師の資格をもつ筆者が「ペキニーズの性格」や「飼い方・暮らし方」「ペキニーズと暮らす際の注意点」をわかりやすく解説します。
ペキニーズの性格4つの特徴
ここでは、ペキニーズの性格の特徴を4つまとめました。
マイペースで独立心があり“猫っぽい”
急に甘えに来たかと思えば、そっぽを向いて一人遊びを始めたり、どこかに行ってしまったり。
気まぐれでツンデレで媚びを売らない自由気ままでマイペースなところが、ペキニーズは“猫っぽい”といわれる理由です。
たくさんなでてもらって満足をしたら、その場をスッと離れることも多いのだとか。かまわれ過ぎるのはあまり好まない傾向があります。
愛情深くて甘えん坊
独立心がありながらも、飼い主さんや懐いている人に対してはべったり甘えることが多いです。
その反面、見知らぬ人には愛想を振りまくことがほとんどありません。
飼い主さんのことが大好きで、飼い主さんが他の犬を可愛がっていたらヤキモチをやきやすいのもペキニーズによく見られる特徴です。
また、飼い主さんに対してとても忠実なのもペキニーズの特徴のひとつ。見知らぬ人にはそっけない分、信頼できる人に対しては愛情深く関わります。
プライドが高く頑固な一面も
ペキニーズは幼いころからリーダー気質があり、プライドが高く頑固な一面があるともいわれています。そのため、しつけが入りにくく苦労する飼い主さんもいるのだとか。
小さい頃から「飼い主さんがリーダーである」ことを理解させるために、ほどよく威厳をもって関わることが大切です。
勇敢で怖いもの知らずだが、温厚な性格
昔は番犬としての役目を与えられていたこともあり、勇敢で怖いもの知らずな一面もあります。
小型犬の割には肝が据わっていて物事に動じにくいのも、ペキニーズが落ち着いた雰囲気に見られる理由でもあるでしょう。
一方で温厚な面も持ち合わせています。落ち着きがあり吠えグセがつきにくいのがペキニーズの魅力の一つです。
ペキニーズの性格につながる歴史・ルーツ
ペキニーズは、紀元前8世紀ごろに中国の王朝の宮廷犬として愛されていた歴史があります。
その頃は「神聖な存在」「王室の象徴」として扱われ、古代中国の皇帝や皇族のみがペキニーズを飼うことができました。皇帝や皇族以外がペキニーズを飼うことを禁じられていたともいわれています。
当時の“王族気質”が今も残っているのではないかという説もあるようです。
ペキニーズが中国外に広まり始めるきっかけとなったのは1860年。イギリス・フランス連合軍が北京を占領し略奪を行なった際に、イギリス兵がペキニーズを何匹か連れて帰ったといわれています。
それがきっかけとなり、イギリスの王族たちの間でペキニーズが知られていき、世界中に広まっていきました。
ペキニーズの性格に合った飼い方・暮らし方
ここでは、ペキニーズの性格を踏まえて飼い方や暮らし方の工夫・注意点をまとめました。
甘えん坊だけど過度なかまいすぎには注意
ペキニーズは信頼している飼い主さんに対しては甘えん坊ですが、独立心が高く気まぐれでマイペースな猫っぽい一面もあります。
かまいすぎに注意し、適度な距離感を大切にしながらスキンシップをとるのがおすすめです。
しつけのコツは「ご褒美」と「一貫性」
プライドが高く頑固な一面をもつペキニーズのしつけには「ご褒美」が効果的です。
おやつや少量のドッグフードなどを用意しておくといいでしょう。言葉でしっかり「褒める」のも大切です。
また、家族間でしつけの認識に差があると愛犬も戸惑ってしまいます。しつけには一貫性を持たせるよう、家族間で愛犬のしつけに共通認識を置いておきましょう。
子どもや他人・他犬との相性
ペキニーズは、自ら他人と仲良くしようとすることが少ないといわれています。
やんちゃな子どもや外で会った知らない人、他の犬など、不必要に近づけるのは避けた方がいいでしょう。
また、警戒心や大切な家族を守ろうとする意識が強い犬種でもあります。他人や他の犬に対して慎重になりすぎてストレスがかかる場合もあるでしょう。
ある程度ストレス耐性をつけるために、社会化のトレーニングを小さい頃から始めておくのがおすすめです。
留守番時の工夫
ペキニーズは“留守番が得意な犬種”としても知られています。
しかし、ペキニーズに限らずどの犬も最初はお留守番に不安を抱えるものです。
お留守番のストレスが強いと「分離不安」に陥り、飼い主さんと少しでも離れたら吠える・鳴く・暴れる・破壊行動をするなどの問題に発展する場合もあります。
子犬の頃からお留守番のトレーニングを少しずつ始めていき、ひとりでいる時間に慣れさせることが大切です。
ペキニーズの性格にピッタリな飼い主さんのタイプとは?
ペキニーズの性格に合う飼い主さんのタイプは以下の通りです。
- 気まぐれな行動を「個性」として温かく受け入れられる柔軟な人
- 厳しさと優しさをバランスよく使い分けられる人
- ベタベタしすぎず、適度な距離感を大切にできる人
- おっとりした性格のワンちゃんと暮らしたい人
- ワンちゃんを初めて飼う人
- しつけに根気よく向き合える人
ペキニーズは独立心が高くマイペースな一面から、犬を飼う初心者の人におすすめだといわれています。
しかし、犬もその子その子によって性格はバラバラです。あくまで参考として捉えておきましょう。
ペキニーズと暮らすうえで注意したい3つのこと
ここでは、ペキニーズと暮らすうえで注意したい3つのことをまとめました。
「鼻ペチャ犬」に多い短頭種気道症候群に注意
短頭種気道症候群とは、ペキニーズやパグ、ブルドッグなど、鼻が短い犬種がかかりやすい呼吸器系疾患の総称です。主に以下のような病気が含まれます。
- 外鼻孔狭窄(がいびこうきょうさく)
- 軟口蓋過長(なんこうがいかちょう)
- 気管低形成(きかんていけいせい)
- 咽頭虚脱(いんとうきょだつ)
- 喉頭小嚢外反(こうとうしょうのうがいはん)
「鼻ペチャ犬」といわれる短頭種の犬たちは、空気の通り道である気道が生まれつき狭い子が多いです。
空気の通り道が狭いため、呼吸がしにくく体への負荷が大きくなります。
ペキニーズを家族に迎え入れる際は、そういった呼吸器系の症状を発症するかもしれないことを想定しておきましょう。
短頭種気道症候群は、生活習慣での工夫や治療・手術などによって症状を改善・解消できる場合があります。相談できる動物病院を見つけておくのがおすすめです。
おっとりしているけれど運動は必要
ペキニーズに限らず犬の健康のために運動は欠かせません。
毎日適度な運動ができる環境を整えてあげることが大切です。
特別激しい運動をする必要はなく、毎日の散歩や家の中でのおもちゃ遊びなどが十分いい運動になります。
ペキニーズが発症しやすい気管虚脱について
気管虚脱とは、空気の通り道である「気管」が押しつぶされることで、呼吸がしにくくなる病気のことをいいます。
「ガーガー」というガチョウの鳴き声のような咳が特徴的で、興奮時や運動後に悪化しやすいです。
首輪で気管が圧迫されることで気管が潰れ、悪化することもよくあります。
気管の圧迫を防ぐため、散歩時はハーネスの使用がおすすめです。
ペキニーズとの暮らしにおすすめのアイテム5選
ここでは、ペキニーズとの暮らしにおすすめのアイテムを5つ紹介します。
静かに落ち着けるベッド
ひとりでいる時間を好むペキニーズには静かに落ち着けるベッドを用意してあげましょう。
上の商品のように、夏は接触冷感素材、冬は暖かいファー素材のカバーを付け替えられるタイプのベッドだと、1年を通して使えるためおすすめです。
私たち人間も自分の好みのクッションや枕があるように、犬たちもそれぞれに合うベッドがあります。
犬用ベッドではなく、飼い主さんが普段使っているクッションを好んで独占しようとする子もいたり、犬によってさまざまです。
愛犬のことをよく観察していちばん落ち着いて休める居場所を用意してあげましょう。
気道に負担をかけないハーネス
ペキニーズのような小型犬の気管は柔らかく、首輪で圧迫され続けたら潰れてしまうリスクがあります。
引っ張りの矯正やドッグトレーニングのときは首輪が適していますが、普段の散歩のときはハーネスを使うのがいいでしょう。
「FIELD MASTER ヘッドインハーネス」は、サイズの調整範囲が広く装着しやすいハーネスです。サイズ選びに困っている方は、ぜひチェックしてみてください。
お手入れしやすいブラシ
被毛がダブルコート(上毛と下毛の二重構造の被毛)のペキニーズは、毎日の丁寧なブラッシングが大切です。
上の画像にあるスリッカーブラシは筆者も愛用していました。ブラシの面がカーブしているため、分厚い被毛に深くピンが入っていきます。
なお、ブラッシングの際には愛犬の皮膚を傷つけないよう以下のことに気を付けましょう。
【犬のブラッシングで気を付けること】
- ブラシの柄はギュッと握らない。人差し指と中指の上に柄を置いて親指で軽く押さえるようにして持つ。
- 力を加えずブラシの重みを使って梳く。
- ブラシの柄が犬の体表に対して垂直になるとピンが皮膚に刺さる。柄が体表と常に平行になるように持つ。
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しつけに役立つご褒美
頑固な一面があるペキニーズは、しつけに一苦労する飼い主さんも多いといわれています。
しつけに役立つご褒美を用意しておくといいでしょう。
ご褒美の選び方も重要です。
ガムやジャーキーなどは喉に詰まる危険性や高カロリーになってしまう場合があります。ご褒美には小さいクッキーやボーロなどを選ぶといいでしょう。
いつものドッグフードを数粒ご褒美用に使うのもおすすめです。
夏場の暑さ対策アイテム
短頭種であり被毛が分厚いペキニーズは、夏場の熱さに注意が必要です。
とくに、おうちの中で過ごす時間が多いワンちゃんは住環境の工夫をするといいでしょう。
例えば、外気の熱が室内に影響しないように断熱材を貼る方法があります。
おすすめは「AIB(アイビー)工法」です。壁に貼るだけの断熱材であるため、既存の壁を剥がすような大きな工事をする必要はありません。
優れた断熱性能で室内の温度を一定に保ってくれて、効果的な暑さ対策になります。
ペキニーズの性格にまつわるQ&A
ここでは、ペキニーズの性格についてよくある疑問を3つまとめました。
ペキニーズの性格はオスとメスで違う?
オスは甘えん坊でやんちゃ、メスはマイペースで落ち着きがあるといわれることが多いです。
しかし、育った環境や生まれつきの性格によって全然違うこともあります。
「オスだからこう」「メスだからこう」と思いすぎないようにしましょう。
ペキニーズはよく吠える?
ペキニーズは「落ち着きがあり吠えにくい犬種」といわれています。
しかし、見知らぬ人や他の犬に対しては警戒心が高く、飼い主やテリトリーを守ろうとする本能から吠えることがあります。
無駄吠えを防ぎたい場合は、注意したあとに静かにしてくれたらご褒美をあげるなど、しつけをしていくのがおすすめです。
ペキニーズは子犬と成犬で性格が変わる?
子犬のときは好奇心旺盛でやんちゃ、そのうえプライドが強く頑固であることも多いです。
成長とともに落ち着き、独立心や温厚な性格が出てきて、性格が丸くなっていく傾向があります。
ペキニーズとの幸せな暮らしは、性格を理解することから
猫のような自由気ままでマイペースで人に媚びないところもあれば、実は甘えん坊なところもあったり。
ペキニーズの性格は、知れば知るほど奥深く面白いです。
全ての子に当てはまるわけではありませんが、参考として性格や特徴を理解しておくといいでしょう。
わんちゃんを家族に迎え入れるときは、心配や不安が付き物です。
しかし、その心配や不安が「家族になった愛犬を大切に想う気持ち」につながります。
新しい家族との幸せな暮らしが始まるよう、この記事が参考になれば幸いです。

(パピヨン/男の子)