「家族の一員として犬を迎えたい」と考える人にとって、飼いやすさは重要なポイントですよね。中には、飼育経験のない初心者には「飼いにくい」と感じる犬種も存在します。責任を持って育てるためには、あらかじめ飼うのが少し大変な犬種を把握することが大切です。
この記事では、飼いにくい犬の特徴や犬種について解説します。自分達のライフスタイルで迎えやすい犬種を見つけるポイントにも触れていますので、ぜひ参考にしてください。
飼いにくい・飼うのが難しい犬の特徴
犬を飼育したことがない人にとって、「飼いにくい」「飼うのが難しい」と感じる犬には、次のような特徴があります。「こんなはずじゃなかった」と、飼ってみてから後悔しないために、以下のポイントを把握しておきましょう。
お世話が大変
犬種によっては、お世話が大変な場合があります。運動量が多い犬は、毎日長時間の散歩や運動が必要で、これを怠るとストレスから問題行動を引き起こすことがあります。例えば、ラブラドール・レトリーバーやボーダー・コリーなどの犬種は、十分な運動が必要です。また、抜け毛が多い犬種は、掃除の手間がかかる上に、定期的なブラッシングが欠かせません。特に長毛種の場合、毛が絡まったり皮膚トラブルを引き起こすことがあるため、毎日のケアが必要です。シベリアン・ハスキーやポメラニアンなどが該当します。これらの犬種を飼うには、時間と労力をかける覚悟が必要です。
しつけが難しい
犬種によって、しつけの難易度も変わってきます。例えば、吠え癖や噛み癖がつきやすい犬は、上手くしつけないと、他の人や動物に噛み付いたり驚かせたりする可能性があります。ジャーマン・シェパードやダルメシアンなど、自立心が強い犬種や猟犬としての本能が強い犬は、飼い主さんの指示に従いにくい傾向が強いです。しつけには、根気と一貫したトレーニングが必要で、しつけを怠るとコントロールが難しくなることがあります。初めて犬を飼う人には、こうした犬種は向いていないかもしれません。場合によっては、プロのトレーナーの助けを借りる必要もあるでしょう。
警戒心が強く懐きにくい
警戒心が強い犬や懐きにくい犬は、見知らぬ人や環境に対して警戒心を抱きやすく、家庭に馴染むのに時間がかかることがあります。ドーベルマンやチャウチャウなどがその例です。また、「犬は懐くもの」と思っている人には、期待はずれでガッカリしてしまうこともあるかもしれません。家族以外の人に対して吠えたり、攻撃的になることもあるため、しつけや社会化が必要です。これらは防衛本能からくる行動で、子犬の頃からしっかりトレーニングを行う必要があります。
大きく成長しすぎる
大型犬や超大型犬は、成長すると体重が40kg以上になることもあります。これには広い生活スペースや運動場所が必要で、ごはん代や医療費も高額になることも。特に、集合住宅や一人暮らしでは飼育が難しい場合があります。また、力が強いため、散歩時のコントロールも難しく、飼い主さんに体力が求められます。日々のケアや健康管理に注意を払い、十分に運動させてあげることも必要です。
賢すぎる
賢すぎる犬は学習能力が高く、複雑な指示でも理解できますが、飼い主さんの一貫性のない態度や矛盾した行動を見抜くことがあります。ボーダー・コリーやプードルなどがその例です。賢い犬ほどしつけを怠ると、わがままで制御が難しい犬になってしまう可能性があります。しっかりとしたトレーニングと一貫性が求められ、常に犬とのコミュニケーションを大切にすることが重要です。
特定犬種に指定されている
地域にもよりますが、攻撃性が高いなどの理由で特定犬種に指定され、飼育が規制されている犬種も存在します。特定犬種制度を導入している自治体は、札幌市・茨城県・水戸市・佐賀県で、以下の犬種が該当します。- 秋田犬
- 土佐犬
- ジャーマン・シェパード・ドッグ
- セント・バーナード
- ドーベルマン など
参考:札幌市動物の愛護及び管理に関する条例の制定について|札幌市
人気だけど飼うときに注意が必要な犬種
人気な犬種でも、飼う際には注意が必要な場合があります。例えば、以下に挙げる犬種は、家庭犬として人気が高いですが、場合によっては「飼いにくい」と感じる人もいることでしょう。特性を理解したうえで、生涯育てる覚悟を持つことが大切です。
ジャック・ラッセル・テリア
ジャック・ラッセル・テリアは、活動的でエネルギッシュな性格が魅力ですが、飼うのが大変な面も多くあります。特に運動量が多く、毎日しっかりとした運動が必要です。運動不足になると、ストレスから問題行動を引き起こすことがあるため、十分な運動と遊びの時間を確保することが求められます。また、抜け毛が多く、お手入れも欠かせません。好奇心旺盛でヤンチャな性格のため、家中をボロボロにすることもあります。
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シベリアン・ハスキー
シベリアン・ハスキーは、狼のようなクールな容姿と神秘的な青い瞳が特徴です。しかし、そり犬としてのルーツを持ち、運動量が多いため、毎日の長時間の散歩や運動が必要になります。また、極寒のシベリアが原産地のため、高温多湿には弱く、日本の夏には特に注意が必要です。脱走癖があることも多いため、しっかりとした管理が求められます。さらに、年に2回の換毛期には大量の毛が抜けるため、定期的なお手入れが必要です。
ポメラニアン
ポメラニアンは、小さくてふわふわの姿が魅力的な犬種ですが、意外に活発で自己主張が強く、吠え癖がつきやすい面があります。警戒吠えや要求吠えが多いため、早めのしつけが必要です。また、手足が細く骨折しやすいので、段差からの飛び降りや抱っこからの落下に注意が必要です。毛量が多く、抜け毛が多いため、定期的なお手入れも欠かせません。さらに、社会化が不十分だと気性が荒くなる傾向があるため、しっかりとした社会化トレーニングが求められます。
柴犬
柴犬は、日本犬として人気がありますが、飼うのが大変な面もあります。もともと猟犬としての気質が強く、警戒心が高いため、社会化が不十分だと吠え癖がつきやすいです。また、抜け毛が多く、換毛期には大量の毛が抜けるため、お手入れも大変でしょう。アレルギー体質で皮膚病にかかりやすく、定期的なケアも欠かせません。さらに、認知症を発症しやすい犬種でもあり、13歳からそのリスクが急増します。
ビーグル
ビーグルは、その愛らしい垂れ耳と活発な性格が魅力ですが、飼うのが大変な点もあります。猟犬としての本能が強く、吠え癖や噛み癖がつきやすいです。特に吠え声が大きく、ご近所トラブルの原因になることがあります。また、外耳炎になりやすいため、マメな耳のお手入れが必要です。食いしん坊で太りやすいので、食事管理にも注意が必要です。さらに、ストレスをためやすい性格のため、十分な運動とスキンシップが求められます。
初心者でも飼いやすい犬
飼育経験がない方が犬を飼う場合、必要な運動量が多すぎる犬種は適しません。例えば、1日1~2回、30分程度の散歩で満足する犬種であれば、初心者にとって負担が少ないでしょう。トイプードルやヨークシャー・テリアなどの小型犬は、一般的に運動量が少なく済むため飼いやすいと言われています。
また、人に懐きやすい犬種も初心者に向いています。人懐っこく、家族と良好なコミュニケーションを築きやすい犬種は、しつけも比較的簡単です。ゴールデンレトリーバーやビション・フリーゼは、その温厚な性格から初心者にも適しています。
さらに、体のお手入れが楽な犬種もポイントです。シングルコートの犬種は換毛期による抜け毛が少なく、日常的なお手入れが簡単です。特に小型犬は体が小さいため、シャンプーやトリミングがしやすく、初心者でも扱いやすいでしょう。
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犬種ごとに性格が違うのはなぜ?
犬種にはそれぞれ異なる歴史や目的があり、その役割によって特定の性格が培われてきました。例えば、牧羊犬のルーツを持つボーダー・コリーは知能が高く、指示に忠実で仕事熱心な性格です。一方、愛玩犬のチワワは人と親密な関係を築くために、甘え上手な性質を持っています。
また、育つ環境も性格に大きな影響を与えます。例えば警戒心の強いチワワでも、適切な社会化を受ければフレンドリーな性格に育つことがあります。同じ犬種でも個体ごとに性格は異なり、兄弟でもまったく違った性格を持つこともあるのです。
犬種の特徴や遺伝的な要素は、性格の基本を形作りますが、最終的な性格はその後の育つ環境によっても大きく左右されます。犬種で一概に性格や飼いやすさを判定することはできず、個性によって大きく異なることも多いです。「この犬種だから、こういう性格だろう」と決めつけるのではなく、家族の一員として個性を尊重し、愛情を持って接しましょう。
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ライフスタイルに合った犬種を見つけるポイント
ご自身や家族のライフスタイルによっても、飼いやすい・飼いにくい犬種は異なることがあります。以下のポイントを考えながら、どのような性格や特徴を持つ犬を迎えるべきか、じっくり考えてみましょう。
飼育スペースの広さ
マンションやアパートなどの限られたスペースでは、体格の大きな犬種や運動量を多く必要とする犬種は飼うのが難しいでしょう。トイ・プードルやチワワなど、比較的小さなスペースでも快適に過ごせる犬種から選ぶ必要があります。一方、一軒家や広い庭がある場合は、中型犬や大型犬も選択肢に入ります。ゴールデン・レトリーバーやラブラドール・レトリーバーなど、大型犬には広いスペースが必要です。飼育スペースの広さを考慮し、愛犬が快適に過ごせる環境を整えられるか、確認しましょう。
散歩や触れ合いの時間をとれるか
犬を飼う際には、毎日の散歩や触れ合いの時間をどのくらい確保できるかを考えましょう。運動量が多い犬種は、長時間の散歩やアクティブな遊びが必要です。例えば、ボーダー・コリーやジャーマン・シェパードは、エネルギッシュで運動を好みます。一方、シーズーやパグなど、運動量が少なくてもストレスを溜めにくい犬種は、忙しい方や高齢の方に向いているでしょう。飼い主としてのライフスタイルに合った犬種を選ぶことが、愛犬の健康と幸福につながります。
家族構成や留守にする時間
家庭に小さな子どもがいる場合は、穏やかで辛抱強い犬種を選ぶと安心です。ラブラドール・レトリーバーやゴールデン・レトリーバーは、お子さんとも相性が良く、家庭向きと言えます。また、留守にする時間が長い場合は、自立心が強く無駄吠えが少ない犬種が適しています。柴犬やフレンチ・ブルドッグは、留守番が得意とされており、日中の数時間であれば心配が少ないです。
愛犬と何をして楽しみたいか
愛犬との生活で何を楽しみたいかも、犬種選びのポイントです。アクティブに過ごしたい場合は、ドッグスポーツが得意な犬種を選ぶと良いでしょう。ボーダー・コリーやシェットランド・シープドッグは、アジリティやフリスビーなどのドッグスポーツで活躍します。一方、一緒におしゃれを楽しみたい場合は、トリミングでのアレンジが楽しめる犬種が向いています。トイ・プードルやヨークシャーテリアは、さまざまなカットスタイルが楽しめ、おしゃれ好きの飼い主さんに人気です。愛犬と共に楽しみたい活動に応じて、最適な犬種を選びましょう。
どんな犬種でも覚悟と責任を持って迎えよう
どんな犬種であっても、犬を飼うということには大きな責任が伴います。愛らしい外見や一時の人気だけで選ぶのではなく、犬種ごとの特性や必要なケア、ライフスタイルとの相性をしっかりと理解することが大切です。愛犬は、一生のパートナーとして迎えるべき存在です。日々の散歩や食事、健康管理、しつけなど、多くの手間や時間がかかります。しっかりとした覚悟と愛情を持って、家族として迎え入れ、共に幸せな時間を過ごしていきましょう。