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【専門家監修】犬が毛を食べる理由とは?危険なリスクや対処法を解説

「愛犬が毛を食べている...!」

そんな状況を目の当たりにし戸惑う飼い主さんは多いでしょう。美味しくもない毛をなぜムシャムシャ食べるのか、理解できませんよね。

しかし、犬が毛を食べるのにはちゃんとした理由があります。まずは理由を知って適切な対処をしてあげることが大切です。

この記事では、認定動物看護師の資格を保有し犬の行動学にも詳しい筆者が「犬が毛を食べる理由や対処法」「毛を食べることによる身体への影響」などについて解説します。

犬が毛を食べる【身体的な理由】


ここでは犬が毛を食べる「身体的な理由」をまとめました。

吐きたい

ぬいぐるみの綿や小石など、消化されない異物が胃の中にあると吐きだそうとして毛を食べる場合があります。

また、病気・体調不良・体質などの関係でドッグフードの消化が上手くいかずに吐きだしたくて毛を食べることもあります。

嘔吐した際は、吐しゃ物の中に何が含まれているか確認し、動物病院で説明しましょう。

栄養バランスの崩れや食事量不足

犬は栄養バランスの崩れ足りない食事量を補うために毛を食べることがあります。

フードの分量を間違えていないか?栄養バランスの偏りがないか?見直してみましょう。

ダイエット中だとしても食事量を極端に減らすことは避けてください。毛を食べることにつながるだけでなく、低血糖症を引き起こす場合があります。

身体がかゆい

自分の体毛を食べるほど身体がかゆくなるときに考えられる原因は主に以下の4つです。
1.ノミやダニなどの外部寄生虫
2.アトピーやアレルギー
3.乾燥(シャンプーのし過ぎや皮膚炎、過敏症など)
4.自己免疫疾患(天疱瘡⦅てんぽうそう⦆や全身性エリテマトーデスなど)

放っておけば皮膚炎が悪化したり傷口から細菌などの二次感染を引き起こす場合があります。
皮膚が赤くなったり、血が出るまで皮膚を噛んだり、何かに憑りつかれたようにかゆがる様子が見られたりしたら、早めに動物病院へ行きましょう。

犬が毛を食べる【精神的な理由】


次に犬が毛を食べる「精神的な理由」をまとめました。

緊張・不安・ストレスなど

犬が毛を食べるのは「緊張・不安・ストレスなどの精神的な重圧を紛らわせるため」という場合も多いです。
犬が精神的な重圧を抱えやすい状況を以下に挙げました。
  • 散歩・運動量不足
  • お留守番が長い・慣れていない
  • 騒音・ニオイ・光などの外的な刺激
  • 苦手な人が近くにいる
  • 怒られてばかりで精神的に苦痛
  • 体罰・乱暴なしつけや接し方など
  • 引っ越しや旅行など環境の変化
  • 同居動物

犬がこのような状況で毛を食べる行動は「転位行動(てんいこうどう)」とも呼ばれます。
転位行動とは、どうすればいいか分からない極限状態に陥った時に気を紛らわせるべく取る行動です。人間なら、イライラして細かく足踏みをする・問題の答えに葛藤し頭を掻くなどの行動が当てはまります。
しっぽを追いかけてグルグル回る・足を舐め続ける・穴掘りのような行動が続くなど他の異常行動を示す場合もあります。
このような異常行動の原因の特定や改善においては、犬の行動学に専門的な知識・技術を持つドッグトレーナーに相談するのがおすすめです。


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注目してほしい

犬が「注目してほしい」と思う主な原因は以下のとおりです。
  • かまってくれる時間が少ない
  • おもちゃで遊んでいても飼い主さんがスマホやテレビにずっとよそ見している
  • 褒められ不足
  • お留守番が長い
  • お散歩の時間・回数が少ない

過剰なスキンシップや過保護な関わり方はかえって問題行動につながりやすくなるため、ある程度は犬一人で過ごさせる時間が必要です。しかし、放ったらかしで寂しい思いをさせ過ぎるのは良くありません。

放置する時間と愛情を注ぐ時間のバランスは難しいですが、大切なのは「愛犬の気持ちを俯瞰したところから想像し、愛情を履き違えないこと」です。

愛犬が「注目してほしいサイン」として毛を食べる行動が増えたら、愛犬との関わり方を見直してみましょう。

毛を食べるのが癖になっている

犬自身は「毛を食べる癖がある」ということを認識しませんし、飼い主さんが伝えたところで気付きもしません。

癖になっている場合は「条件付け」で癖をやめさせる方法がおすすめです。

「毛を食べたら苦い味がした」「飼い主さんが遊びをやめてしまった」など、愛犬にとって「毛を食べる=嫌なことがある」という認識になると、毛を食べる癖がなくなる可能性があります。

犬が毛を食べる【その他の理由】


ここでは身体的・精神的な理由のいずれにも当てはまらないその他の理由をまとめました。

遊びの延長やニオイチェック時の誤飲

毛は、不規則な動きや引っ張ると取れる様子が犬にとって「楽しさ」を覚えるものになりやすいです。

また、毛についたニオイをチェックしようとしてかいだり舐めたりする子もいます。

そういった遊びの延長ニオイチェック時の誤飲などで毛を誤って食べてしまう場合もあるでしょう。


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手足についたニオイが気になる

手足についたニオイが気になり、舐める延長で毛を食べてしまうこともあります。
ニオイが気にならなくなり舐めるのをやめるのであれば問題ありませんが、何度も繰り返すようであればアレルギー・ケガ・皮膚炎など別の症状を疑ってみましょう。

犬が毛を食べることによるリスク


犬が毛を食べることには以下のようなリスクが伴います。

消化管に毛が詰まる

毛は胃腸でうまく消化できないため、消化管に詰まるリスクがあります。
食欲不振・嘔吐・元気消失などから始まり、さらに胃の中でからまって毛玉が形成されると「腸閉塞(異物が腸の管を塞いでしまう状態)」になることも。腸閉塞になれば、お腹を開けて毛玉を取り出す手術が必要です。

危険物を一緒に誤飲してしまう

床に落ちている毛を食べる場合、危険物を誤飲してしまうリスクがあります。
考えられるのは、髪の毛についたスタイリング剤です。場合によっては中毒症状を引き起こす可能性も否めません。
その他にも、落ちた毛を食べると同時に犬が食べると危険なものを食べてしまう可能性もあります。
愛犬がいる空間の床は常にきれいに保ちましょう。

犬が毛を食べるときの対処法6選


ここでは犬が毛を食べるときの対処法を6つ紹介します。

1:運動量を見直してみる

犬は運動量が足りないことがストレスになり毛を食べる行動につながる場合があります。
犬の主な運動は散歩です。1日2回散歩に行く場合、目安時間は以下を参考にしてみましょう。
  • 小型犬:1回20~30分(チワワ、ヨークシャー・テリア、ポメラニアンなど)
  • 中型犬:1回30~40分(柴犬、スピッツなど)
  • 大型犬・運動量の多い犬種:1回40~60分(シェットランド・シープドッグ、ボーダー・コリー、トイ・プードルなど)

上記はあくまで目安のため、愛犬の様子をよく見ながら目安時間を参考に散歩の時間を見直してみましょう。

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2:叱り方に気を付ける

やってはいけないり方は「体罰」「名前で叱ること」です。体罰はトラウマになり飼い主さんとの信頼関係が崩れます。また、名前で叱ると「名前で呼ばれる=嫌なこと」と認識してしまうリスクがあります。
叱るときのポイントは以下の通りです。
  • 名前で叱らず「おい!」「こら!」「ダメ!」など端的な言葉で叱る
  • いつもの話声よりトーンを下げる
  • 時間が経ってからではなく、その場で叱る

愛犬への愛情はたっぷり注ぎつつ、やめて欲しいことはしっかり伝わる方法を心がけましょう。

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3:毛で遊び始めたらその場からサッと立ち去る

毛で遊び始めたときに過度に反応すれば「毛にじゃれつくと飼い主さんがこっちを向いてくれる」と勘違いします。

”サッと避けて無視をする”のが効果的です。
 

4:蓋つきのゴミ箱を使用する

ブラッシング後の毛をゴミ箱から漁る場合は、蓋つきのゴミ箱に変えるのがおすすめです。
ゴミ箱を変えるだけではなく”ゴミ箱を漁るのはいけないことだと分かるようなしつけ”も行ないましょう。
「叱り方に気を付ける」の項で説明したように、名前で叱らず・端的な言葉で・トーンを下げて・その場で叱ることが大切です。
 

5:消化の良いフードに切り替える

毛を食べる犬の中にはフードの消化が上手くいかず吐きたくて毛を食べる子もいます。

状況を獣医に伝え、フード切り替えの相談をしてみましょう。

6:体の異常は動物病院へ

愛犬の体に異常が起きた場合は動物病院へ連れていきましょう。

飼い主さんの不注意で異物を食べた場合、それを伝えるのが後ろめたくても正直に詳細を伝えることが愛犬の命を守るために大切なことです。

ドッグトレーナーに相談するのもおすすめ


体の異常は動物病院で診てもらうのが安心ですが、犬の問題行動は犬の行動心理学などに詳しいドッグトレーナーを頼るのがおすすめです。

まずは問題行動に潜む根本的な理由を見つけてあげることが、愛犬を救い健康を守ることにつながります。

ときには辛抱強く愛犬と向き合うことも必要ですが「うちの子ならできる」と愛犬を信頼し、飼い主さん自身も「できる」と信じることが、トレーニングやしつけを成功させるコツです。

動物病院とドッグトレーナーそれぞれの役割を理解して上手に頼っていきましょう。

愛犬に毛を食べさせないために日頃からできる対策


愛犬に毛を食べさせないために日ごろからできる対策をまとめました。

毛がよく落ちている場所には近づけない

お風呂場や洗面所など毛がよく落ちている場所には愛犬を近づけないために、柵を設置するドアを閉めるなどの方法が最も簡単です。

犬用の柵には「ドギーフェンス」のようなガラス張りのものや「スタンド簡易ペットゲート」のような簡易的なものなど、さまざまな種類があります。

ドギーフェンス

スタンド簡易ペットゲート

部屋をこまめに掃除する

人間の抜け毛は1日50〜100本あると言われています。家族が多いならさらに量は増え、愛犬の抜け毛もあわせると、1日に部屋の床に落ちる毛は大量になるでしょう。

部屋をこまめに掃除すればハウスダストや菌の増殖も防いで愛犬の健康維持にもつながります。頻度は1日1回で十分です。

ちなみに、抜け毛の多いパピヨンが居る筆者の家では、愛犬がいる空間は毎晩掃除をしています。お掃除ロボット・ワイパーがけ・コロコロ粘着シートなど、手軽にできる掃除用具なら負担も少なく日課にしやすいです。

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毛で遊ぶ癖をつけない

毛で遊ぶ癖がある子は、遊ばないようにしつけをしましょう。
  • しつけとして叱るときには、以下のポイントをおさえてください。
  • 名前で叱らず「おい!」「こら!」「ダメ!」など端的な言葉で叱る
  • いつもの話声よりトーンを下げる
  • 時間が経ってからではなく、その場で叱る

ストレス解消や暇つぶしになるおもちゃを与える

ストレスが溜まっているときや暇なときに、自分の毛を食べてしまう子もよくいます。

ストレス解消や暇つぶしができそうなおもちゃを何種類か与えてみて、お気に入りのおもちゃを見つけてあげましょう。

おすすめの犬用おもちゃは以下の記事で紹介しているため、ぜひチェックしてみてください。

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定期的に病院で検診を受けさせる

栄養不良・皮膚病・アレルギー・内部疾患など、身体の不調が毛を食べる癖につながることがあります。
早く気付いて治してあげるためにも、毎月1回動物病院での定期健診を受けさせるのがおすすめです。
血液検査やレントゲンなど細かい検査を毎回する必要はなく、体重測定と簡単な触診だけでも意味があります。
 

犬が毛を食べる原因を知り、適切な対処をしよう

犬が毛を食べるのには「身体」と「心」の原因が隠れています。毛を食べる行為を無理にやめさせるのではなく「何が原因なのか?」をさまざまな視点から見て適切な対処をしてあげることが大切です。

分からない場合や飼い主さんの判断で心配な場合は、気兼ねなく専門家である獣医師・看護師・ドッグトレーナーなどを頼りましょう。

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