犬を飼い始めたときに、噛み癖に悩む飼い主さんは多いでしょう。
特に噛みやすいベッドや布団などの寝床は、すぐにボロボロになってしまいますよね。
噛む行為は犬の習性ですが、なんでもかんでも噛む行為はやめさせたいもの。
愛犬と快適な生活を送るためには、まず犬がベッドや布団を噛む理由を把握したうえで、適切な対策をすることが大切です。
犬にとって自然な行為である「噛むこと」を、人間社会のルールに合わせてもらう必要があるということを飼い主さんは理解しておきましょう。
「家具の嚙み癖をなんとかしたい!犬が家具を噛む理由や対策を解説」の記事とあわせて参考にしてください。
「噛むこと」は犬の本能だと知っておこう
犬の本能であり習性である「噛むこと」について詳しく見ていきましょう。
「噛むこと」は犬の本能
犬は人間のように話すことや手を使って確かめることができない代わりに口を使います。また、犬は元来狩猟する生き物であり、獲物を捕えるために「噛むこと」は必須であることから「噛む」は本能的な行動のひとつと言えるでしょう。
本能を発揮することが犬の心と体の健康には大切なことですが、人間社会で犬は本能のまま一緒に暮らすことはできません。
ペットである犬は、この「噛むこと」を抑制しなければならず、知らず知らずのうちにストレスがたまり、噛み癖がなおらない、すぐに吠えるなどの問題行動があらわれることもあるのです。
狩猟をしなくなった現代では、遊びで「噛むこと」により本能を満たし、ストレスやエネルギーを発散するようになったと言えるでしょう。
よって、闇雲に「噛むことはダメ!」としつけするのではなく、犬にとって「噛むこと」が必要な一面もあることを理解することが大切です。
噛み癖を放っておくとどうなる?
本能である「噛むこと」が噛み癖となってしまったら、人間を噛んだりトラブルのもとになったりと、人間社会で暮らすことが困難になるため注意が必要です。子犬が甘噛みするのは当たり前でかわいいと放っておくと、成犬になっても噛み癖がなおらない可能性があります。
しかし、犬にとって「噛むこと」は、ストレス発散・エネルギー発散に必要なことであるため、むやみに全てを抑制することはできません。
かといって放っておくと、家族をケガさせたり外出が大変になったりと、一緒に暮らすことが困難になってしまいます。
「ベッドや布団を噛むくらいなら」と放っておくと、思いもしないトラブルを引き起こし兼ねないのです。
人間と犬が快適に共存するためには、むやみに噛まないように噛み癖をなおす必要があるのです。
甘噛みや噛み癖などの問題行動をやめさせるしつけの仕方については「犬の問題行動の直し方を解説!正しい叱り方とは?」の記事で詳しく紹介しているので、参考にしてください。
犬がベッドや布団を噛む理由
愛犬が寝床のベッドや布団を噛むのはなぜなのか、理由によって対策が変わるため、愛犬に当てはまる原因をしっかりと見極めることが大切です。
歯が痒い
子犬の場合は歯が生えてくる際や乳歯から永久歯に生え変わる際に、むず痒くなることで何かを噛んで落ち着きたい衝動から、ベッドや布団を噛んでしまうことがあります。この場合は、成長するに伴って自然とおさまることが多いため、様子を見ておきましょう。
成犬が歯がむず痒くて噛んでいる場合は、歯槽膿漏や歯肉炎、虫歯が原因かもしれません。
この場合は、早めに病院を受診することをおすすめします。
遊んでいる
ベッドや布団をおもちゃとして認識して噛んで遊んでいる可能性があります。噛んだ感触が心地よかったり、噛んで糸がほつれる、綿が出てくるなどの状況が楽しかったりと単に遊びの延長、一環としてベッドや布団を噛んで遊んでいると言えるでしょう。
遊び足りない、楽しいおもちゃがないなどが原因かもしれません。
ストレス
先述した通り、噛むことがストレス発散になるため、愛犬が抱えているストレスのはけ口としてベッドや布団を噛んでいる可能性があります。ストレスの原因は愛犬によって異なりますが、愛犬にストレスがあるとしたらどんな原因なのか以下を参考にしてみてください。
- 散歩不足で体力が有り余っている
- 飼い主さんが忙しくて遊び足りない
- スキンシップ減少によるや愛情不足
- 慣れない場所への訪問や住環境の変化
- 取り巻く人間環境の変化
- 空腹や睡眠不足
留守番時の不安や退屈
留守番させている際にベッドや布団が噛まれている場合は、留守番時の不安や退屈でベッドや布団を噛んでいる可能性があります。急にひとりで留守番をさせるようになった、留守番時に怖い体験をしたなどのことから、飼い主さんと離れることで不安を感じる「分離不安症」という病気になることも。
留守番時にベッドや布団が噛まれている状態が続くようならば、早めの受診をおすすめします。
飼い主さんの気を引いている
飼い主さんにかまってほしい、気を引きたいという一心でベッドや布団を噛んでいる可能性があります。ベッドや布団を噛むと飼い主さんが怒る、声をあげる、笑う、驚くなど、とにかく反応するため、「ベッドや布団を噛む=飼い主さんが相手をしてくれる」と認識してしまっているのです。
飼い主さんが反応すればするほど楽しくなってしまうのですね。
なんとなく
特に理由もなくベッドや布団を噛んでいる可能性もあります。なんとなく暇をしているなど、そこにベッドがあったからくらいの感覚で噛んでしまっていることも。
人間も無意識に行動することがあるように、犬も意味なく噛むこともあると言えるでしょう。
犬がベッドや布団を噛むのをやめさせる6つの対策
日常的に噛むことを放っておくと、噛むことが当たり前になってしまいます。
ベッドや布団を噛む根本的な原因を見つけないと、いくらしつけをしても噛む癖は治りません。
まずは、なぜ愛犬が寝床のベッドや布団を噛むのか理由をしっかりと把握し、それによって以下の対策をとりましょう。
運動量を増やす
ストレスでベッドや布団を噛んでいる場合は、スキンシップや散歩の時間を多くする、ドックランで思い切り遊ばせるなど運動量を増やすことをおすすめします。運動量を増やすことでストレスが発散されて、ベッドや布団を噛むことが軽減される可能性があります。
留守番が多い、ひとりでいる時間が多い、散歩が少ない、遊ぶ時間がない、スキンシップしていないなど愛犬がストレスをためている要因がないか、今一度立ち止まって考えてみましょう。
留守番の不安をやわらげる
留守番時にベッドや布団を噛んでいる犬は、飼い主と離れてひとりになることで不安になる「分離不安症」という病気の可能性があるため、病院の受診をおすすめします。そうならないためには、ひとりでも留守番できるように徐々に留守番の練習をしておきましょう。
最初は10分ほどの短時間からひとりで過ごす時間を設けていき、徐々に20分30分と留守番時間を増やしていきます。
その際、愛犬のゲージやベッドの近くに飼い主さんのニオイがついた服やタオルなどを置いておくと、安心して過ごすことができるでしょう。
また、留守番時にひとり遊びできるおもちゃやおやつを与えてハウストレーニングをし、クレートやゲージを安心できる場所と認識させることができれば、留守番の負担がぐっと軽くなるはずです。
噛んでもOKなおもちゃを与える
「噛むこと」は犬の習性であるため、ベッドや布団の代わりになる噛んでもOKなおもちゃを与えましょう。噛みたい衝動を噛んでもOKなおもちゃで解消することで、ベッドや布団を噛まなくなる可能性があります。
犬用の噛むおもちゃは、さまざまな種類がそろっており、選ぶのも迷うほどたくさんあります。
中におやつを入れられるタイプのおもちゃは、おやつを取り出そうと夢中になって遊ぶこと間違いなしでしょう。
中でもおすすめなのは、噛んで遊びながら歯磨きができる「ハーツ チューデント 歯ブラシおもちゃ S ~5kg」。
優しい噛み心地でありながら、獣医師監修の表面の突起と溝で歯についた汚れをしっかり落とします。
さらに、愛犬のすきなおやつを入れられる構造なので、飽きずに遊ぶことができるでしょう。
「犬用のおすすめ玩具を5タイプ12アイテムで紹介!」の記事では、噛んで遊べるおもちゃをたくさん紹介しているので、参考にしてください。
噛んでも丈夫なベッド・布団に替える
どうしても噛むことをやめない場合は、噛んでも丈夫なベッドや布団に替えてみましょう。噛んでも丈夫なベッド・布団は、犬にとって「噛んでもつまらないベッド・布団」です。
それは、噛んだら破けたりほつれたりすることが楽しいと感じる犬が多く、噛んでも何ともならないベッドや布団はつまらないと思う可能性が高いからです。
噛み応えのないプラスティック製のものや固いデニム製のものにすれば、噛んでも何も出てこない、おもしろくないと感じて噛まなくなるかもしれません。
噛んでも破れないベッドについては、「犬用ベッドの人気おすすめ20選 夏用・冬用から噛んでも破れないベッドまで!」の記事で紹介しているので、参考にしてください。
いたずら防止スプレーを使う
犬が噛むと苦いと感じるスプレーをベッドや布団に振りかけてみましょう。もちろん、安全な犬用のいたずら防止スプレーなので害はありません。
ベッドや布団を噛むと嫌な味がすると刷り込むことで、ベッドや布団を噛まなくなるはずです。
「ジョイペット ザ・しつけ ちゃんと しつけ剤 200ml」は、寝床だけでなくフローリングやソファなどの家具にも使えて、人間には気にならない程度のニオイであるため、いたずら防止におすすめです。
さらに、ベッドや布団を噛むと同時に大きな音を立てて驚かせることも効果的。
繰り返し行うことで、「ベッドや布団を噛むと苦いし大きな音が出る」と学習し、噛まなくなる可能性が高くなります。
無反応を貫く
「遊んでほしい」「かまってほしい」という理由でベッドや布団を噛んでいる場合は、愛犬がこれみよがしにベッドや布団を噛んでも、無反応を貫きましょう。飼い主さんが驚いたり叱ったりと反応することで、「遊んでもらえる」と誤って認識してしているため、ベッドや布団を噛んでも無視をすることをおすすめします。
この状態が続くと、「ベッドや布団を噛んでも遊んでくれないんだ」と認識し、次第に噛まなくなる可能性が高くなります。
まとめ
ベッドや布団を噛む行為が続けば、代替品購入による出費、噛みちぎった布団を食べてしまう誤飲などさまざまなリスクにつながります。
しかし、犬の本能である噛む習性を理解して適切な対策を取ることができれば、ベッドや布団を噛むことをやめさせることができるのです。
飼い主さんは犬にとって「噛むこと」が正常な行動欲求であることを理解したうえで、人間と一緒に暮らすルールとして「噛んではダメ」と教えることや上記の対策を講じることが大切。
愛犬に我慢させることなく、噛んでよいものと噛んではいけないものの区別をつけさせることができるはずです。