
猫は一日のほとんどを眠って過ごす動物として知られていますが、「うちの子の眠りは浅い気がする」「本当にぐっすり眠れているのかな?」と心配になったことはありませんか?
この記事では、猫の眠りが浅くなる理由や、快適な睡眠環境を整えるためのポイントをご紹介します。
見過ごしてはいけない体調不良のサインについても解説しているので、愛猫の健やかな毎日を守るために、ぜひ参考にしてください。
猫の睡眠とその特徴
猫の眠り方には、人間とは異なる特徴があります。
愛猫に毎日元気に過ごしてもらうためには、彼らの眠りについて知っておくことが大切です。
猫は1日12〜16時間眠る
猫は、「寝る子」がその名の由来とされるほど、多くの時間を睡眠に費やす動物です。
一般的に、成猫は1日に約12〜16時間の睡眠をとるとされており、子猫やシニア猫はさらに睡眠時間が長い傾向にあります。
子猫が長時間眠るのは、成長と発達に必要なホルモン分泌を促すためです。
一方、シニア猫の場合は、加齢に伴う体力低下や身体の回復に、より多くの休息が必要となります。
睡眠時間は個体差や生活環境によって異なりますが、猫の心身の健康維持には十分な睡眠が不可欠です。
睡眠時間の約70%が浅い眠り
猫の睡眠は、一見すると深く眠っているように見えますが、その大部分が「浅い眠り」である点が特徴です。
猫の睡眠時間の約70%はレム睡眠に該当するといわれています。
レム睡眠の状態では、周囲のわずかな物音や動きにも敏感に反応し、すぐに覚醒できる準備ができています。
飼い主さんが軽く動いただけでも、瞬時に顔を上げて状況を確認することも。
長い時間眠っていても、その大半は周囲の情報を察知している状態なのです。
本能的に熟睡しすぎないようにしている
猫が熟睡しすぎないようにしている背景には、「野生の本能」が深く関わっています。
かつて野生で生活していた猫たちは、常に外敵からの脅威に晒されており、身を守るために警戒を怠ることができませんでした。
深い眠りに陥ってしまうと、敵の接近に気づくのが遅れ、生命の危険に直面する可能性が高まります。
このため、彼らは熟睡しすぎず、常に周囲を警戒する習性を発達させました。
現在、安全な室内で暮らす猫たちにも、この本能的な習性は色濃く残っています。
猫の眠りが浅いときに考えられる理由
猫の眠りがいつもより浅いと感じる場合は、もしかしたら寝心地が悪かったり、十分にリラックスできていなかったりするのかもしれません。
ここでは、愛猫の眠りの質を下げてしまう可能性のある理由について見ていきましょう。
環境が合っていない
猫にとって、安心して眠れる場所はとても大切です。
周囲が騒がしかったり、照明が明るすぎたりすると、落ち着いて眠りにつくのが難しくなります。
また、寝床の素材や場所が気に入らない場合、居心地が悪くて頻繁に寝返りを打ったり、場所を変えたりすることも。
頻繁に寝床を変えている様子が見られたら、快適な環境かどうか、一度見直してあげると良いでしょう。
ストレスを感じている
「新しい家具が搬入された」「見慣れない来客があった」「他のペットが増えた」など、環境の変化は猫にとって大きなストレスになることがあります。
緊張状態が続くと十分にリラックスできず、深い眠りに入りにくくなってしまうのです。
愛猫が安心して過ごせるよう、心安らぐ空間づくりを心がけてあげましょう。
季節や室温の変化
室温が高すぎたり低すぎたりすると、猫も快適に眠ることができません。
猫が過ごすのに理想的な室温は20〜28°、湿度は50〜60%とされており、人間にとって快適な室温とそれほど変わりません。
猫は比較的暑さに強い動物ですが、睡眠の質を高めるためには快適に過ごせる適温を維持してあげることが大切です。
エアコンの風が直接当たる場所や、日差しが強く当たる場所は避けるなど、猫ちゃんが心地よく過ごせる室温を保つ工夫が大切です。
体調不良・病気の兆候
いつもより眠りが浅く、頻繁に起き上がったり呼吸が普段より荒かったりする場合は、何らかの体調不良や病気が隠れている可能性も考えられます。
他にも、食欲不振・嘔吐・下痢などの気になる症状が見られるようであれば、早めに動物病院を受診しましょう。
異変に気づくためには、日頃から愛猫の睡眠の様子を観察しておくことが大切です。
認知症
一般的に、シニア猫はレム睡眠(浅い眠り)の時間が短くなり、ノンレム睡眠(深い眠り)が増える傾向にあります。
しかし、認知症を発症すると、睡眠の質が変わってくることがあります。
例えば、寝る時間になっても寝ない、夜中に徘徊をするなど、睡眠サイクルに異常がみられることがあるのです。
加齢とともに睡眠の変化が見られたら、動物病院へ相談することをおすすめします。
眠りが浅い猫への対処法
愛猫の眠りが浅いと感じたとき、安心してぐっすり眠れるよう、生活環境や接し方を見直してあげましょう。
ちょっとした工夫で、愛猫の睡眠の質を高めることができます。
静かで暗めの寝床を用意する
猫は暗くて狭く、そして暖かい場所を好む習性があります。
これは、外敵から身を守り、安心して休むための本能的な行動です。
そのため、静かで落ち着ける場所に隠れられるようなベッドを置いてあげると、より安心して眠りにつくことができるでしょう。
遮光カーテンや遮音カーテンを活用し、周りの騒音や光が届きにくい工夫をしてあげるのも効果的です。
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生活リズムを整えてあげる
人間と同様に、猫も規則正しい生活リズムが大切です。
毎日の起床時間や食事、遊び、そして睡眠の時間をできるだけ一定にすることで、体内時計が整い、夜にしっかりと眠りやすくなります。
特に、夜に活発になる傾向のある猫の場合、日中の遊び時間を確保して十分な運動を促すと、夜の質の良い睡眠につながります。
寝る前に軽く遊ばせて心地よい疲れを
日中に十分に遊べていない猫は、有り余るエネルギーを夜に発散しようとすることがあります。
そのため、寝る前に軽く遊んであげて、心地よい疲れを感じさせるのがおすすめです。
羽のおもちゃを使ったハンティング遊びなど、猫が夢中になれる遊びを短時間でも良いので取り入れてみましょう。
ただし、興奮させすぎないよう、クールダウンの時間も設けてあげてくださいね。
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室温・湿度を調整する
猫が快適に眠れる室温は、一般的に20〜28度、湿度は40〜60%程度とされています。
暑すぎたり寒すぎたりすると、猫も寝苦しさを感じ、眠りが浅くなってしまうのです。
夏場は冷感マットやひんやりグッズ、冬場は保温性のあるベッドや毛布を用意するなど、季節や室温に合わせて快適な寝床を整えてあげましょう。
また、エアコンの風が直接当たらないように注意することも大切です。
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不安を減らすために適度に触れ合う
愛猫が安心して眠るためには、飼い主さんとの信頼関係も重要です。
不安を感じていると警戒心が強くなり、深く眠ることが難しくなります。
日頃から優しく話しかけたり、心地よいスキンシップをとってあげたりしていれば、リラックスして眠りにつくことができるでしょう。
過剰な触れ合いは避け、愛猫が求めているときに寄り添ってあげるのがポイントです。
眠りが浅い猫が注意すべき症状
愛猫の眠りが浅い状態が続くときは、もしかしたら不調のサインかもしれません。
特に、普段と違う行動が伴う場合は、早めに気づいてあげることが大切です。
ここでは、眠りの浅さに加えて注意して見てほしい症状について解説します。
頻繁に起きてうろつく・鳴く
夜中や早朝に頻繁に目を覚まして部屋をうろうろしたり、大きな声で鳴いたりする場合は、認知機能の低下やホルモンバランスの異常が関係している可能性があります。
特にシニア猫に多く見られる症状で、不安や混乱から落ち着きがなくなり、眠りが浅くなることがあるのです。
普段は静かな子が急に夜中に鳴き始めるなど行動に変化が見られたら、注意深く観察し、必要であれば動物病院を受診しましょう。
短時間しか寝ない・眠ってもすぐ起きる
猫は一日の大半を寝て過ごしますが、「短時間しか眠らない」「少し物音がしただけですぐに起きてしまう」という場合、どこかに痛みを感じていたり、体調不良を抱えていたりする兆候かもしれません。
慢性的な痛みや不快感があると、猫は深く眠ることができません。
いつもより警戒心が強く、少しの刺激にも敏感に反応するようなら、愛猫の健康状態を一度チェックしてあげることが大切です。
他の行動の異常も合わせて見られる
眠りが浅いことに加えて、他の気になる行動の変化が見られる場合は、さらに注意が必要です。
例えば、食欲がなくなったり、逆に異常なほど食欲が増したり、トイレの頻度が変わったり、水を飲む量が増えたりといった変化が挙げられます。
また、以前は穏やかだった子が急に攻撃的になったり、体を執拗に舐め続けて毛が薄くなったりするような場合も、ストレスや病気のサインであることがあります。
複数の症状が現れた場合は、迷わず動物病院を受診しましょう。
愛猫の眠りが浅いときの睡眠チェック方法
愛猫の眠りが浅いと感じたとき、「もしかしてどこか悪いのかな?」と心配になりますよね。
睡眠時の様子をよく観察することで、その眠りが正常な範囲内なのか、それとも獣医師に相談した方が良いサインなのかを見極められます。
ここでは、ご自宅で簡単にできる愛猫の睡眠チェック方法をご紹介します。
睡眠中の姿勢や呼吸の様子を観察する
猫が深く眠っているときは、体を横にしてすっかり力が抜けたような姿勢で、呼びかけてもなかなか起きないことが多いです。
呼吸もゆったりとして落ち着いているでしょう。
もし、うつ伏せで体を丸めたままだったり、少しの物音でびくっと目を覚ましたり、ひげがぴくぴくと頻繁に動いたりするようであれば、眠りが浅いサインかもしれません。
普段と比べて寝ている姿勢に変化がないか、呼吸が荒くないかなど、細かくチェックしてあげましょう。
睡眠時間や起きている頻度を記録しておく
「最近、うちの子あんまり寝てない気がする」と感じても、具体的にどれくらいの時間、どのくらいの頻度で起きているのかを把握するのは難しいものです。
数日間、簡単なメモで良いので、愛猫が寝ている時間帯や、起きて活動している時間を記録してみましょう。
特に、夜中に頻繁に起き出して鳴いたり徘徊したりするようであれば、その回数も記録しておくと良いでしょう。
客観的なデータは、動物病院で相談する際に役立ちます。
獣医師に相談すべきタイミングを見極める
愛猫の眠りの浅さが数日間続く場合や、眠りが浅いこと以外にも気になる症状が見られる場合は注意が必要です。
特に、以下の症状がある場合は、迷わず動物病院を受診することをおすすめします。
- 食欲の低下
- 嘔吐や下痢
- 呼吸の異常
- 行動の変化 など
猫は体調の悪さを隠そうとする傾向があるため、飼い主さんが気づいたときには病気が進行していることも少なくありません。
早期に異常を発見し、適切な処置を受けることが、愛猫の健康を守る上で何よりも大切です。
猫の浅い眠りは理由を見極めて優しく改善を
猫の睡眠時間は12〜16時間とされており、その大半が浅い眠りの「レム睡眠」です。
多くの時間を眠って過ごすのはごく自然なことなので、それ自体を心配する必要はありません。
しかし、もし愛猫の眠りがいつもより浅かったり、寝ている様子に変化が見られたりするようなら、注意が必要です。
環境の見直しや生活リズムの調整で改善されることもありますが、中には体調不良や病気が隠れている可能性もあります。
特に、シニア猫の場合は、認知機能の低下や甲状腺機能亢進症など、早期発見が大切な病気のサインであることも。
日頃から愛猫の睡眠中の様子をよく観察し、少しでも気になる変化があれば、迷わず獣医師に相談しましょう。

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