湿度や温度が高まりジメジメする夏は、さまざまな虫が増える時期でもあります。
人間だけでなく犬にとっても屋外はもちろん、室内でも虫刺されには気をつけなければなりません。
中には恐ろしい病原菌や原虫を持っている虫もおり、犬が刺されることで死に至る感染症を引き起こすリスクがあるため注意が必要です。
この記事では、犬の虫刺されの影響や虫に刺されたときの対処法、虫刺されの予防対策について詳しく解説しています。
犬の虫刺されによる影響
虫が多い季節を健康に乗り越えるためには、飼い主さんが虫刺されの影響について詳しく把握しておく必要があります。
万が一愛犬が虫に刺されたらどのような影響があるのか、虫除け対策の重要性とあわせて紹介します。
犬が虫に刺されたときの症状
犬が虫に刺されたときの症状は刺された虫によって異なりますが、一般的に以下の症状が表れます。【軽い症状(初期症状)の場合】
- 痒み
- 痛み
- 湿疹
- 赤み・腫れ
- 犬のかきむしりによる皮膚の炎症
【重い症状の場合】
- アナフィラキシーショック
- 元気がなくなる
- 食欲不振
- 吐き気
- 頭痛
- 発熱
- 呼吸困難
- 歩行困難
普段から愛犬の様子をよく観察しておき、異変に気づくことが重要です。
軽い症状でも軽視せずに、少しでも気になることがあれば獣医師に相談するようにしましょう。
病気や体調不良のリスク
犬が虫に刺されたり寄生されたりすると、病気や体調不良が引き起こされるリスクがあります。感染症
犬が虫に刺されると、虫を媒介した感染症が引き起こされる可能性があります。
【感染症の例】
- フィラリアに感染した蚊に刺されて発症するフィラリア症
- バベシアという原虫を持つマダニに刺されて発症する血液の病気
- サナダムシの卵を持つノミをなめたことで、体内にサナダムシが寄生する病気
皮膚炎
皮膚が赤くなったり痒みがあったり、発疹や炎症、腫れなどの症状が起きる可能性があります。
虫刺されの不快感から掻きむしったり舐めすぎたりする物理的な皮膚へのダメージによるものもあれば、虫刺されによるアレルギーなど体の内部からのダメージもあります。
【皮膚炎の例】
・マダニに刺されて起こる炎症
・耳ダニによる外耳炎
・ノミの吸血による湿疹
・ノミのヨダレによるアレルギー性皮膚炎
など。
虫除け対策の重要性
愛犬を虫から守るためには、日ごろから虫除け対策に気を配る必要があります。何もしなければ愛犬は虫に刺されてしまい、先述のような病気を引き起こしてしまう可能性があるのです。
普段から防虫を心がけて予防薬の投与をし、虫除けアイテムを使い、外出後はブラッシングをして体のチェックをし、虫が増殖しない生活環境を整えることが大切です。
すべての虫を排除することはできませんが、できるだけ愛犬に近づかせない対策はできます。
虫除け対策をすることによって虫刺されの頻度を減らすことができ、虫に刺されたとしても重症化を防ぐことができるはずです。
犬が虫に刺されたときの対処法
愛犬が虫に刺されたと確信した場合は、まずは安静にさせて様子を見ることが大切です。軽度の虫刺されの場合であれば、しばらく安静にしていれば刺された部分の不快感がおさまり、愛犬も安定した状態に戻るはずです。
ただし、虫に刺された部分が腫れあがったり、愛犬がいつまでも患部を気にする仕草をしたりする場合は、すぐに病院を受診しましょう。
その際には刺された部分を水で洗い流し、適切な治療方法がわかるまでは温めたり冷やしすぎないようにすることが大切です。
また、ハチなど虫の針が刺さったままである場合はすぐに引き抜く必要がありますが、自宅での処置は危険を伴うため病院で処置することをおすすめします。
吸血中のダニやマダニが愛犬にくっついている場合は、無理に取ろうとせずにそのまま病院を受診しましょう。
患部を清潔にしてから撮影や記録をして獣医師に刺された経緯を説明できるようにしておくと診察がスムーズに進むはずです。
愛犬が虫に刺されないための予防対策
アウトドアで愛犬と楽しむ機会が増える夏は、愛犬が虫に刺されないようにしっかりと予防対策する必要があります。
被毛が少なく皮膚がむき出しになっているところは特に注意が必要です。
ここでは、愛犬を虫刺されから守るため、日常的な対策から在宅時や外出時などの対策を紹介しています。
定期的な予防薬の投与
予防薬には、スポットタイプ、首輪タイプ、スプレータイプ、飲み薬タイプなどさまざまなタイプがあります。予防したい虫の種類や愛犬に合ったタイプのものなど、病院で相談したうえで投与することをおすすめします。
特にフィラリアの予防薬は一般的であり、愛犬をフィラリア症や蚊アレルギーから守るためには必須だと心得ておきましょう。
【室内対策】ペット用の網戸を使う
家の中は虫のいない安心安全な空間をつくってあげたいもの。虫の室内への侵入を防ぐために網戸はとても効果的ですが、ペットを飼っているご家庭には通常の網戸よりもペット用の網戸の利用をおすすめします。
ペット用につくられた網戸は破れにくく丈夫につくられており、爪もひっかかりにくいため安全に使用可能。
ペット用の網戸については、【AMILIE建材設備】引っ掻いても丈夫な網戸「ペットネット」がおすすめです。
「愛猫が玄関から脱走するのを防ぐには?注意ポイントやおすすめの脱走防止アイテムをご紹介!」の記事でもペットがいるご家庭におすすめの網戸を紹介しているので、参考にしてください。
【室内対策】こまめに掃除する
虫のエサになるようなゴミやほこりがたまらないように、部屋の四隅や家具の下、家具と壁との隙間、マットなどをこまめに掃除するようにしましょう。植木の受け皿や雨上がりの水たまりなど蚊が卵を産む水が溜まる場所をつくらない、庭の雑草をこまめに引く、植木を清潔に手入れするなど、虫が増殖しないように家の中や周辺をきれいに片づけておくことが大切です。
【室内・屋外対策】犬用虫除けアイテムを使う
散歩や外出時にはペット用虫除けスプレー、室内では蚊取り線香などの犬用虫除けアイテムの使用をおすすめします。犬用虫除けアイテムはいろいろありますが、以下の点に注意して購入するようにしましょう。
- 犬の体内に入っても安全なもの
- ニオイがきつくないもの
- 愛犬のアレルギー成分が入っていないもの
人間用の虫除けスプレーは刺激が強すぎるため、必ず犬用の安全性の高いものを使いましょう。
虫除けアイテムについては「愛犬に安全な虫除けアイテムとは?虫除け対策が必要な理由や注意ポイントを解説」の記事で詳しく説明しているので、参考にしてください。
【屋外対策】虫除け服を着させる
防虫加工されている虫除け服を着させて散歩すれば、虫の付着を防ぐことができるうえに虫刺されも防ぐことができます。山林や草むらなど虫がたくさん潜んでいる場所を散歩する場合は、虫除けスプレーとあわせて虫除け服を着用させれば安心ですね。
また、ドックランなどほかの犬と接触する機会がある場合にも虫除け服を着させていれば、ダニの感染や病気の感染から愛犬を守ることができるはずです。
【屋外対策】外出後にブラッシングをする
散歩の後やほかの犬との交流があった後には、家に入る前にブラッシングをして体についた害虫やゴミを取り除くようにしましょう。飼い主さんと愛犬のコミュニケーションともなるブラッシングは、皮膚の状態のチェックや害虫の発見に効果的です。
さらには、定期的に体を洗い、愛犬の皮膚や被毛を清潔に保つように心がけましょう。
【犬が気をつけたい夏の虫8選】虫刺されの症状と対処法
夏になると活発になる虫は多くいますが、ここでは犬にとって気をつけたい有害な虫と刺された場合の症状や対処法について紹介しています。
蚊
犬が蚊に刺されると赤みや腫れ、痒みなどの症状がほとんどで時間が経てばおさまりますが、ミクロフィラリアを持つ蚊に刺された場合は、フィラリア症を発症すると言われています。フィラリア症とは、フィラリアの幼虫が犬の体内で育ち、肺や心臓に負担がかかり以下の症状が現れる病気のこと。
- 元気がない
- 食欲がない
- 咳が出る
- 呼吸が苦しそう
- 腹水がたまる
初期の段階では無症状であることも多く、感染に気づかずに放置すると命に関わることもあるため、蚊が発生する前にフィラリアの発症を予防するための投薬をしておきましょう。
ノミ
散歩やノミを持つ犬と接触して愛犬に寄生したノミは快適な家の中で産卵し、愛犬のベッドや家具の隙間など暗くて湿気のある場所で繁殖します。犬がノミに寄生して吸血されると痒みや湿疹の症状が現れ、ひどくなると抜け毛の症状も。
愛犬が体を舐めてノミを飲み込むとノミについている寄生虫が犬の消化管に寄生し、下痢や嘔吐、食欲不振、肛門周辺の痒みなどを引き起こすと言われています。
定期的な予防薬の投与をしておきましょう。
マダニ
路上の雑草や庭の植え込みなど散歩で触れた際に愛犬に寄生するマダニに吸血されると、バベシア症やライム病、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などさまざまな病気を引き起こし、病原体によっては命に関わることもあるため、注意が必要です。散歩の後は日常的にマダニがついていないか確認し(特に目や口周り、耳、胸、内股、お尻周りなど被毛の少ない場所)、見つけたら病院を受診して適切な治療を受けましょう。
定期的な予防薬の投与をおすすめします。
ハチ
野山や家の周辺などさまざまな種類がいるハチですが、特にスズメバチは黒いものに反応する習性があるため、黒い鼻や目をねらわれる危険性があります。犬がハチに刺されると、人間と同じく痛みや腫れを引き起こすと言われています。
意識障害や呼吸困難を引き起こすアナフィラキシーショックを起こす可能性もあるため、刺されたら一刻も早く病院を受診しましょう。
ムカデ
ムカデは雑木林や落ち葉、石の下などジメジメした場所に潜み、踏んでしまうと肉球周辺を刺されてしまう可能性があり、腫れや痛みを引き起こすと言われています。場合によっては、ハチと同様にアナフィラキシーショックを起こす可能性も。
ムカデに刺されたら患部をしっかりと洗い流し、早めに病院を受診することをおすすめします。
アリ
アリに多数噛まれたり刺されたりした場合は、腫れや痛み、痒みを伴うことがあると言われています。愛犬がいつまでも患部を気にしている場合は病院を受診し適切な治療を受けることをおすすめします。
アブ
雑木林や谷などの水辺に潜んでいるアブ自体は毒を持っていませんが、皮膚を切り裂いて吸血するため強い痛みを引き起こすと言われています。刺されたこと自体で症状が一気に悪くなることはありませんが、いつまでも患部を気にする場合や腫れがひどい場合は、早めに病院を受診しましょう。
ヒル
山林や川、落ち葉の下など湿気の多い場所に生息しているヒルに吸血されると、出血が止まらなくなり傷口が化膿したり痒みが発症したりすることがあると言われています。ヒルを無理に取ろうとせずに、水をかけたり塩水や砂糖水、お酢をかけて引き離し、傷口を流水で十分に洗い流してから病院を受診しましょう。
まとめ
さまざまな虫が活発になる夏の季節には、愛犬への虫刺されには注意が必要です。
特に外出後は愛犬が虫に刺されていないか確認し、刺された跡が見つかった場合は早めに病院を受診しましょう。
異変を感じ取るためには、普段から愛犬の様子をよく観察することが大切です。
被毛の少ない耳やお腹、胸、お尻周りを中心に全身を確認していれば、虫刺され跡や害虫被害をいち早く見つけることができるはずです。
外出後は愛犬のボディチェックを習慣化し、虫除けの対策を徹底して愛犬を苦しめる害虫から愛犬を守りましょう。