2021年のアメリカ国勢調査のデータによると、ペットを飼っている世帯は1億2900万世帯で、4世帯のうち3世帯が猫か犬を飼っていることになる。
犬猫がペットとして魅力的なのは言うまでもないが、環境への影響を考えると、ほかの動物の方がエコフレンドリーかもしれない。エコな動物としていま注目を集めているのがウサギだ。
犬猫の二酸化炭素排出量は、そのほとんどが肉食であるため非常に大きい。対照的に、ウサギはカーボンフットプリントをほとんど残さない。少量の干し草や、捨てられた野菜を食べ、その排泄物は庭の肥料になる。
「菜食主義の猫を飼っているようなものです」と、カリフォルニア州リッチモンドにあるハウス・ラビット・ソサエティが運営する保護施設のマネージャー、アンナ・レイノソは言う。
ウサギをペットにするという発想は、歴史的に見ると比較的新しい。何千年もの間、人類とウサギのおもな付き合いは狩猟や農耕だった。そのためウサギの評判はあまり良くない。臆病で個性がないように思われがちだ。
飼育放棄のケースも多く、ウサギはシェルターに引き渡される動物の中で3番目に多い。しかし「それはウサギが愛情深いペットになれないからではない。ウサギを飼う人は、ウサギのニーズと性格をよく理解する必要があるのです」と、ハウス・ラビット・ソサエティの管理職ベス・ウールブライトは主張する。
ウサギは「ラグモーフ」と呼ばれる、好奇心旺盛で社会的な動物の一群である。犬や猫と同じように、ウサギはトイレのしつけを簡単にでき、名前を呼ぶと返事をし、愛情を込めて飼い主に「鼻ポンポン」することもある。
また、家のなかにトイレや隠れ家、毛布、おもちゃなどが用意されていれば、多くのウサギはケージなしで室内で暮らすことができる。
さらに、菜食主義のウサギを飼うことで健康的なメリットも生まれる。カリフォルニア州エル・チェリト市市長のテッサ・ルドニック氏は、ウサギのウィローを飼ってから家族がより健康的な食生活を送るようになったと言う。「家の中にいつも新鮮な食べ物を置かざるをえなくなり、ケールをたくさん食べるようになりましたね」と彼女は笑う。
安易なイメージでウサギを飼うのはよくないが、飼育面での事前知識と覚悟があるのであれば、犬猫の代わりにウサギというサステナブルな選択肢も悪くない。