
「ビション・フリーゼは臭わないって聞いていたのに、最近なんだかくさい気がする...」
そんなふうに感じたことはありませんか?
ビション・フリーゼは一般的には「体臭があまりしない犬種」だといわれています。ニオイが強い場合は、お手入れの抜け漏れや体の異常があるのかもしれません。
この記事では、認定動物看護師の資格をもつ筆者が「ビション・フリーゼのニオイが強い原因」や「体臭の対策」などを解説します。
ビション・フリーゼは「体臭が少ない」とされる犬種
ビション・フリーゼが「体臭が少ない」といわれている理由は以下の通りです。
- 皮脂の分泌が少ない犬種である
- シングルコートで、ダブルコートの犬よりも通気性がいい
しかし、環境・体に起きている異常・お手入れ不足などによってニオイが強くなるときもあります。その原因を次の項でまとめました。
ビション・フリーゼが臭うときの5つの原因
ここでは、ビション・フリーゼの体臭がきついときに考えられる原因を5つ解説します。
被毛内にこもった湿気や汚れ
ビション・フリーゼは、被毛が密で湿気を含みやすい犬種です。
シャンプー後の乾かし残しや雨上がり・雨の中の散歩をしたあとなど、被毛に湿気がこもるとニオイの原因になることも。
この場合「濡れた雑巾」や「カビのようなニオイ」に例えられることが多いです。
脇の下・足の付け根など空気がこもりやすい場所からニオイが発生しやすくなります。
皮膚トラブル
皮膚トラブルが原因で膿や皮脂が分泌されている場合、独特のニオイが発生します。
「生ぐさいニオイ」や「血っぽいようなツンとしたニオイ」と感じることが多いでしょう。
皮膚トラブルの原因はさまざまです。自宅でシャンプーをしている場合は、流し残しによる皮膚の炎症によって膿んでしまうことがあります。
毛玉の梳き残しに絡まったゴミや汚れなども皮膚トラブルやニオイの原因になりやすいです。
また、ビション・フリーゼは毛が密で湿気がこもりやすいことから「急性湿性皮膚炎(ホットスポット)」という皮膚トラブルを発症することがあります。
画像引用元:かもがわ動物医療センター「ホットスポット」
毛玉の下で見えないうちに炎症が進行しているケースが多いです。赤くなり、ジュクジュク・ベタベタした見た目が特徴といわれています。
耳の中の汚れや湿気
垂れ耳のビション・フリーゼは耳の中が蒸れやすいため、外耳炎を起こしやすい犬種でもあります。
外耳炎になると「チーズのような発酵臭」や「すっぱいニオイ」と感じることが多く、耳をめくったときにふわっと臭うのが特徴です。
また、外耳炎のときは黒や茶色のべったりとした耳垢が増える傾向があります。
頻繁に耳を掻いたり、頭を振るようなしぐさが見られたら発症のサインかもしれません。
口臭
歯垢や歯石の蓄積、歯周病の進行などにより口臭はかなり強くなります。
この場合の口臭は「腐った魚のニオイ」や「下水のようなニオイ」と表現されることが多いです。
あくびをしたときや、口元をなめられた瞬間にツンと鼻を刺すようなニオイを感じます。
肛門腺が溜まっている
肛門腺には、犬特有の強いニオイがする分泌物が溜まります。
そのニオイは「鉄のようなニオイ」や「魚が腐ったような強烈なニオイ」と表現されることが多いです。衣服などに付くと洗濯をしてもなかなかニオイが取れません。
肛門腺が溜まっていると犬自身もお尻を気にしがちです。
お尻をしきりに舐めたり、床やソファなどでお尻をズリズリする仕草があれば、肛門腺が溜まっているサインかもしれません。
ビション・フリーゼのニオイを軽減する日常ケア方法
ニオイで悩まないためには日頃からの小さなケアの積み重ねが大切です。
ここでは、ビション・フリーゼのニオイを軽減する日常ケア方法をまとめました。
毎日のブラッシング
どんな犬種でも、毎日のブラッシングは大切なお手入れです。毎日ブラシを通してあげるだけで毛艶も毛並みも体臭も違います。
とくにビション・フリーゼは巻き毛でゴミやほこりが絡まりやすく、毛玉もできやすい犬種です。
毛玉や毛の絡まりは、ニオイの原因になるだけでなく、皮膚が引っ張られて痛みにもつながります。ブラッシングは毎日してあげるようにしましょう。
耳掃除と顔周りのお手入れ
耳掃除は月1回のトリミングや通院時にやってもらうのがおすすめです。
外耳炎の子の場合は、処方される洗浄液で獣医師の指示に沿って耳掃除をしてあげましょう。
また、顔周りに目ヤニやごはんなどがついていた場合は、濡れタオルや濡れティッシュなどで優しくふき取ってあげてください。
足裏・肉球周りのケア
体臭対策には、足元のケアも大切です。外から帰ってきたあとは足を洗ったりきれいに拭いたりして清潔を保つようにしてあげましょう。
また、肉球の間の皮膚は炎症を起こしても気づきにくいことが多い部位です。炎症が進行して膿んでしまうと、きついニオイにつながることがあります。
肉球を気にしている様子がないか、赤くなっていたり腫れていたりしないかなどを日々よく観察しておきましょう。
歯磨き・オーラルケア
歯磨きは愛犬が「口を触れられることに慣れる」ことから始めるのが大切です。
歯磨きが上手にできる子なら、歯ブラシで毎日しっかり歯を磨いてあげるのがおすすめ。
それでもやっぱり「歯磨きが苦手」「暴れるくらいストレス!」という子には、ブラシで磨かなくてもできるオーラルケアを考えてあげましょう。
デンタルケアができるおもちゃや、飲み水の中に入れるお口洗浄液などがおすすめです。
肛門腺絞り
肛門腺絞りは1カ月に1回程度行なうことが推奨されています。
画像引用元:犬の肛門嚢炎~症状・原因から治療・予防法まで | 子犬のへや
肛門を中心に「時計の4時・8時の位置」にあるのが肛門腺。
犬を立たせた状態でしっぽを優しく持ち上げ、人差し指・親指を関節を伸ばした状態で肛門腺に当てる。そのまま肛門に向かって押し上げるように絞る。
〈肛門腺絞りの注意点〉
肛門を正面からのぞき込むのはNG!分泌物が顔にかかる危険性があります。犬おしりを上から見下ろすような体勢で肛門腺しぼりを行ないましょう。
犬の肛門腺しぼりは飼い主さんでは難しい場合も多いため、不安な場合は動物病院やトリマーさんにお願いしましょう。
ペットサロンで月1程度のトリミング
愛犬のケアをおうちでやり続けるのにはやはり限界があるため、月1回程度プロにお任せするのがおすすめです。
飼い主さんでは難しかった耳掃除や肛門腺絞りも安心してお任せできます。
ペットサロンは愛犬との相性もあるため、愛犬を安心して預けられるペットサロンを見つけておきましょう。
ビション・フリーゼのニオイ対策おすすめアイテム6選
ここからは、ビション・フリーゼのニオイ対策におすすめのアイテムを6つ紹介します。
【除菌脱臭機】気になるニオイを急速で脱臭
ベッドやカーペットを洗ったり、愛犬のケージ内やトイレを洗ってきれいにしたりしても、部屋中に充満したニオイは対策しきれないことも多いでしょう。
そんな時に便利なのが「光触媒除菌脱臭機『KL-WC01』」です。
汚れた空気を吸い込み除菌・脱臭。常に循環させ、キレイな空気を出して部屋に充満させてくれます。
トイレや愛犬のケージなど、ニオイが特に気になる場所の近くに設置すると効果的です。
【消臭スプレー】獣医師も推奨!
ふとしたときにプンと臭う愛犬のケモノ臭や排泄物のニオイがどうしても気になってしまう……。
そんな飼い主さんにおすすめなのが「Peletty(ペレッティー)」という消臭スプレー。
空間消臭・粗相やおしっこの飛び散りの拭き取り消臭・おもちゃなどのウイルス除菌など、1本でマルチに使える消臭スプレーです。
獣医師さんからのリピートも高く、動物が舐めても安心・皮膚や粘膜にも悪影響を与えない安全性に定評があります。
【スリッカーブラシ】毛の奥まで残さず梳かす
巻き毛でゴミやほこりが絡まりやすく毛玉ができやすいビション・フリーゼは、毎日の丁寧なブラッシングが大切です。
上の画像にある「SHOWTECHスリッカーブラシ」は、筆者が専門学生のときに巻き毛のワンちゃんをブラッシングする際に愛用していました。
ブラシの面がカーブしているため、巻き毛で分厚い被毛でも深くピンが入っていきます。
なお、ブラッシングは愛犬の皮膚を傷つけないよう持ち方や梳かし方に気を付けましょう。
【犬のブラッシングで気を付けるポイント】
- ブラシの柄はギュッと握らず、人差し指と中指の上に柄を置いて親指で軽く押さえるようにして軽く持つ。
- 力を加えず、ブラシの重みを使って梳く。
- ブラシの柄が犬の体表に対して垂直になるとピンが皮膚に刺さるため、柄が体表と常に平行になるように持つ。
【デンタル液】歯磨きが苦手な子のオーラルケアに
歯磨きが苦手でとにかく暴れまくる。保定をすることすらできない。けれど、歯をきれいにしないと歯周病や口臭が……。
そんな「愛犬の歯磨きの悩み」を抱える飼い主さんにおすすめなのが、ペットキンの「飲み水に入れるデンタル液」です。
無味・無臭・無色の液のため、水をいつも通り飲んでいる間に愛犬が気づかないうちにデンタルケアができます。
歯ブラシで磨くのがどうしても難しい場合は、デンタル液を使って様子を見るのも一つの手段としていかがでしょうか?
【浸け置き洗剤】ブランケットやおもちゃのお手入れに
おもちゃに付いたゴミやよだれ、ベッドやブランケットに染み付いた皮脂のニオイ。
布製のものはニオイが染み付きやすく雑菌も繁殖しやすいため、定期的なお手入れが大切です。
そんな時には「きれいッ粉」がおすすめ。浸けて置いておくだけで染み付いたニオイや菌を除菌・消臭してくれます。
皮膚へのダメージの原因となる界面活性剤が使われていないという点も、安心して使えるポイントです。
【消臭・調湿効果つき塗料】カビ・ニオイ・ウイルス対策に
湿気が多い日本の気候は、ペットがいる家庭にとってニオイの原因になりやすいもの。
そこでおすすめなのが、消臭・調湿効果つき塗料「アレスシックイ」です。室内の湿気を吸湿し、湿度のバランスを保ってカビの発生を防いでくれます。
また、湿気やカビとあわせて気になる部屋のニオイも吸着分解。ペットとの暮らしを居心地のいいものにしてくれる万能塗料です。
ビション・フリーゼのニオイ対策は“やりすぎ注意”!
愛犬自身や愛犬が使うグッズから漂う“ケモノ臭”は、犬たちにとっては安心できるものでもあります。
また、ベッドやブランケットなどについている飼い主さんのニオイが愛犬の安心材料となっている場合もあるでしょう。
そのため、ニオイ対策のし過ぎで過剰に消臭してしまうのはNGです。例えば以下のようなニオイ対策がNG例に当てはまります。
【ニオイ対策のNG例】
- 過度なシャンプー(目安は月1〜2回)
- 過剰な耳掃除(健常な犬の場合は月1~2回でOK)
- 少しのニオイが気になって、頻繁にベッドやカーペットを洗ってニオイを消す
- 消臭スプレーを毎日部屋に噴霧する
- 愛犬の体からニオイを感じなくなるまで拭き続ける
ニオイ対策のやり過ぎは、皮膚の炎症を悪化させてしまったり、愛犬のストレスにつながったりします。
やり過ぎに注意し、一気にニオイ対策をやらないように。日の間隔をあけることを意識するといいでしょう。
例えば、ベッドの洗濯をしたなら、カーペットの洗濯や愛犬のシャンプーは日の間隔をあける、といったイメージです。
がんばりすぎず、ニオイ対策は“ちょっとずつ”がカギ
飼い主さんにとっての負担になりすぎないために。そして、愛犬にとっても、安心材料であるニオイが一気になくなってストレスや不安につながらないために。
ニオイ対策はできることから、がんばりすぎず“ちょっとずつ”がカギです。
また、皮膚トラブルや歯周病からくる口臭など、愛犬の体に異常がある場合は早めに動物病院を受診するようにしましょう。
飼い主さんの愛犬を大切に想う気持ちに、この記事が少しでも寄り添えていたら幸いです。

(パピヨン/男の子)