可愛らしい短足がチャームポイントのマンチカン。飛んだり跳ねたりする姿が魅力的ですよね。

マンチカンはその短い足ゆえに、家庭内の階段でケガをするリスクが高く、特別な配慮が必要です。

本記事では、二級建築士の筆者が、マンチカンが階段を使用する危険性について詳しく解説し、安全な暮らしに役立つ対策をご紹介します。

愛猫の安全を守るために、ぜひ最後までご覧ください！

【マンチカンと階段の関係】注意が必要な理由とは？

短い足のマンチカンは、階段の上り下りに関して、一般的な猫よりも特別な注意が必要な猫種です。

愛猫の安全を守るために、マンチカン特有の身体的特徴を理解し、適切な環境づくりに活かしましょう。

マンチカンの特徴と運動能力

マンチカンの最大の特徴は、その短い足です。

一般的な猫に比べて骨が太く、筋肉質な体型が特徴です。

胴がやや長めな子も多く、急な階段の上り下りは少し苦手な傾向があります。

とはいえ、マンチカンは本来活発な性格で、遊んだり探検したりすることが大好きです。

足が短いからといって、運動を嫌うわけではなく、むしろ好奇心から、階段の段差にも果敢にチャレンジする姿が見られます。

ほかの猫同様、マンチカンも階段が大好き

猫は本能的に高い場所を好む生き物です。

高所から周囲を見渡して、安全を確保したり獲物を見つけたりしていた野生時代の名残りが影響しています。

マンチカンも例外ではなく、猫の本能的な欲求を満たすのに最適な「階段」が大好きです。

短い足で一生懸命階段を上り下りする姿は非常に愛らしいですが、身体的な特徴ゆえのリスクが潜んでいる点も忘れてはいけません。

一般的な猫と比べたマンチカンの階段リスク

マンチカンは足が短く、ジャンプ力も控えめなので、一般的な猫に比べて階段でのリスクが高くなります。

段差につまずきやすかったり、足を踏み外してしまったり…。

足が短く長い胴体を持つマンチカンにとって、着地時の衝撃や関節・背骨への負担も懸念されます。

階段を降りる際、一段一段の衝撃が、短い足と長い胴体を通じて身体に伝わります。

この衝撃が積み重なることで、関節や背骨に負担がかかりやすく、長期的には関節炎や椎間板ヘルニアなどのリスクを高める原因になるのです。

階段のある住環境でマンチカンを飼育する場合、一般的な猫よりも、安全対策や見守りを一層意識する必要があります。

マンチカンにとって危険な階段の特徴

「階段」と一口にいっても、住まいによって形状や素材はさまざまです。

階段の構造や材質、設置状況によって危険度は異なります。

ここからは、足の短いマンチカンにとって、特にリスクが高い階段の特徴を5つ解説します。

滑りやすい材質の階段

フローリングやタイルなど、表面がツルツルとした素材は、猫の肉球でも滑りやすく、上り下りの際に勢い余って足を取られてしまうことがあります。

マンチカンは足が短い分、踏ん張りがききにくく、滑りやすい階段は特に危険です。

滑り止めマットなどで対策する必要があります。

高すぎる段差や傾斜が急な階段

「段差が高い」もしくは「傾斜が急」という階段は、上り下りの際にも大きな力が必要です。

一般的な猫にとっては問題ない高さでも、足が短いマンチカンにとってはハードルが高いこともあるでしょう。

足や膝へ負担がかかりやすくなり、骨や関節のトラブルのリスクが高まります。

踏面が狭い階段

踏面（ふみづら）とは、階段の足を乗せる部材の「奥行き長さ」を指します。

階段の踏面が狭いと、短い足のマンチカンは体を置く場所が十分に確保できず、バランスを崩しやすくなり危険です。

建築基準法では、一般住宅の踏面寸法を「15cm以上」と定めていますが、マンチカンの安全な上り下りに必要な踏面は「28～30cm程度」を確保したいところです。
 

＜参照＞建築基準法施行令 | e-Gov 法令検索 第23条

スケルトン（オープン）階段

スケルトン（オープン）階段とは、骨組みと踏み板のみで構成された階段を指します。

踏み板から垂直に取り付けられた「蹴込（けこ）み板」がなく、開放的なデザインが魅力ですが、猫が隙間から滑落してしまうおそれがあります。

特に足が短く、階段を踏み外しやすいマンチカンは、段差を踏み外しそのまま隙間から落下してしまう危険性が高いです。

子どもやペット向けの落下防止ネットなどの活用が求められます。

余計なモノが置かれている階段

階段に余計なモノが置かれている状態も、マンチカンにとっては危険です。

おもちゃや衣類などの小さな障害物でも、足の短いマンチカンには大きなハードルとなり、つまずいたり避け切れずに転倒したりする原因になります。

階段にある障害物は、マンチカンだけでなく、一般的な猫や飼い主さんにとってもリスク要因です。

足を踏み外したり滑ったりするおそれがあるので、階段は常に片付けておきましょう。

マンチカンが安全に階段を使うための対策

愛猫が安全に階段を使用できるよう、マンチカンの身体的な特徴を考慮した対策が必要不可欠です。

ここからは、飼い主さんがすぐに取り組める具体的な安全対策を3つご紹介します。

以下の対策は、マンチカンだけでなく、シニア猫や子猫などにも効果的です。

滑り止めのマットやシートを設置する

短い足のマンチカンにとって、滑りやすい階段は転落や滑落のリスクを高めます。

最も手軽で効果的な対策のひとつが、滑り止め効果のあるマットやシートの設置です。

滑り止めが施されていることで、短い足でも踏ん張りが効き、階段の上り下りが安定します。

市販の滑り止めグッズは手軽に導入でき、ハサミで簡単にサイズ調整できるタイプが多いのが特徴です。

着脱が簡単なものを選べば、掃除やメンテナンスもしやすく便利です。
 

落下防止ネットを取り付ける

階段に隙間があるスケルトン（オープン）階段には、落下防止ネットを取り付けましょう。

万が一、階段の隙間からマンチカンが落下してしまっても、ネットが受け止めてくれるので、ケガのリスクを軽減できます。

せっかくのおしゃれなスケルトン階段の見栄えが劣ってしまうデメリットがありますが、愛猫の安全には代えられません。

マンチカンは好奇心旺盛な子が多く、階段の上から下をのぞき込んだり、飛び降りたりする場合もあるでしょう。

落下防止ネットを取り付けることは、マンチカンの安全確保に有効な対策です。
 

階段の高さや傾斜を調整する

一段一段が高すぎる階段や、急すぎる傾斜は、マンチカンにとって大きな負担です。

小型のステップや踏み台を設置して、段差を補助する方法をおすすめします。

リフォームが可能な場合は、段差を低くしたり、傾斜を緩やかにしたりといった対策で安全性がアップします。

ただし、住宅リフォームの中でも「階段のリフォーム」は構造上の制約が多く、専門的な知識と技術が必要とされるため、安易に実施できるものではありません。

マンチカンの安全対策で階段リフォームを考えている方は、リフォーム業者や建築士に相談し、無理のない方法を検討しましょう。

改修工事が難しければ、DIYでスロープを設置するのもひとつの方法です。

マンチカンを階段に侵入させないためのアイテム

マンチカンの安全を守るのに最も効果的なのが、危険な階段へのアクセスそのものを、物理的に制限することです。

特に飼い主さんの留守中や就寝中など、目を離さざるを得ない時間帯は、階段への侵入防止柵があると安心です。

市販の脱走防止柵の活用や、DIYなどで対策できます。

市販の脱走防止柵

手軽に設置したい方におすすめなのが、市販の脱走防止柵です。

猫用の脱走防止柵「にゃんがーど」なら、猫がよじ登りにくい設計になっており、高さも十分に確保されています。

天井や壁に穴を開けずに設置できる突っ張り式なので、賃貸住宅でも安心して取り付けられます。

階段の前に設置して、マンチカンの階段侵入を防ぎましょう。
 

DIYならサイズ調整やカスタマイズも自由

市販品では自宅にピッタリ合わない場合や、インテリアにこだわりたいときには、DIYを検討してみてはいかがでしょうか？

階段や廊下の幅や高さ、設置場所の形状に合わせ、オリジナルの侵入防止柵を制作できます。

木材やネットを組み合わせたり、透け感のあるアクリル板で見た目を工夫したりと、アイデア次第でさまざまなカスタマイズを楽しめます。

高さを調整したり追加でストッパーを付けたりと、マンチカンの成長や性格に合わせて変化を加えられる点もDIYの強味です。

マンチカンを階段以外の場所で遊ばせるアイデア

マンチカンが階段でケガをしないよう、階段を使わなくても十分に運動や遊びができる環境を整えてあげるのも大切です。

最近は、室内で安全に遊べるキャットステップやキャットウォークなど、多彩なアイテムが登場しています。

ここからは、マンチカンの運動欲求や好奇心を満たしつつ、体格に合った遊び場を作れるアイテムを2つご紹介します。

にゃんボールMAG｜位置調整が簡単なキャットステップ

「にゃんぼーるMAG」は、磁石で簡単に取り付け・取り外しができるキャットステップです。

マグネット対応の壁面にリフォームする手間はありますが、マンチカンの成長や運動能力に合わせてステップの位置や高さを自由に変更できるのが魅力です。

丸みを帯びたかわいらしい形状が特徴で、デザインも豊富。複数のアイテムの組み合わせによって、変化に富んだ楽しい遊び場をつくれるでしょう。

マンチカンが飽きずに長く使えるよう、ときどき配置を変えるなど工夫するのもよいですね。
 

ねこステップ｜階段状のステップで運動不足解消

「ねこステップ」は、建材メーカーDAIKENが提供する、猫専用の階段状ステップです。

猫の行動習性を研究して開発され、実際の階段と同様の上り下りの動きを安全に楽しめます。

段差の高さは約15cmと、猫に適した設計になっており、短足のマンチカンも無理なく利用できます。

DAIKENのねこステップは、単なるペット用品としてだけではなく、住宅設備の一部として活用できる本格的な製品です。

部屋のインテリアとの調和や、長期使用を前提とした耐久性を備えており、マンチカンの日常的な運動不足解消に最適なアイテムといえるでしょう。
 

まとめ：階段の安全対策で、マンチカンとの生活をより快適に

マンチカンは、短い足と長い胴という身体的な特徴から、一般的な猫に比べて階段でケガをするリスクが高い猫種です。

マンチカンの安全を守るには、階段の安全対策が欠かせません。

すべての対策を一度におこなうのは難しいかもしれませんが、できることから一つずつ始めてみましょう。

飼い主さんの愛情と心配りが、愛猫の健やかな毎日につながっていきます。

本記事でご紹介した内容を、ぜひ参考にしてみてくださいね！