
犬は運動することが大好きな動物ですが、日常の中で愛犬との散歩や遊びに割ける時間が限られている方もいることでしょう。
しかし、愛犬が運動不足に陥ると、肥満やストレスにつながるほか、病気のリスクを高める可能性があります。
この記事では、犬が見せる運動不足のサインや必要な散歩時間、解消方法について解説します。
運動不足を放置するリスクや、散歩嫌いの場合の対処法も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
運動不足かも?愛犬に運動が足りていないサイン

毎日の生活の中で、愛犬に運動不足が起きていないか気付くのは難しいこともありますよね。
ここでは、愛犬に運動が足りていないときに見られるサインについて解説します。
お部屋の中を走り回る・遊びをやめない
運動不足の犬はエネルギーが有り余り、落ち着きを失いがちです。お部屋の中で激しく走り回ったり、おもちゃを使った遊びを長時間続ける場合、運動が足りていない可能性があります。
散歩や十分な運動がないと、犬はそのエネルギーを発散しようとし、興奮が続いたり、些細な物音にも過敏に反応することがあるのです。
こうした行動が見られたら、外での運動時間を増やしたり、お庭や公園での遊びを取り入れて、愛犬が十分に活動できる機会をつくるよう心掛けましょう。
ストレスから問題行動が増える
運動不足は、精神的なストレスを引き起こす原因にもなります。例えば、無駄吠えが増えたり、家具を破損するような行動が見られることも。
ストレスが溜まった犬は、自分の尻尾を追い回したり、手足を噛むなどの異常行動を示す場合もあります。
これは、運動不足によるエネルギー発散の場がないことが影響している可能性が高いです。
こうした問題行動が増えてきた場合には、適度な散歩や遊びを取り入れて、犬のストレスを軽減する工夫が必要です。
ボディラインが丸くなる
運動不足は体型にも影響を与えます。愛犬の腰のくびれが見えにくくなったり、体を触ったときに肋骨が感じられにくい場合、肥満のサインである可能性があります。
肥満は、関節への負担や病気を引き起こすリスクを高めるため、早めの対策が必要です。
「ボディコンディションスコア(BCS)」を参考に、愛犬の適正体重を知り、肥満度をチェックすることをおすすめします。

画像:ボディコンディションスコア (BCS)|環境省
適切な運動量とバランスの良い食事を意識し、愛犬の健康を維持しましょう。
愛犬の運動不足を放置すると危険?

愛犬の運動不足をそのままにしておくと、健康面や精神面でさまざまな悪影響が現れる可能性があります。
ここでは、運動不足を放置することで生じるリスクについて解説します。
肥満が原因で病気のリスクが高まる
運動不足は、肥満につながる大きな原因となります。余分な脂肪が蓄積されることで、心臓や関節に負担がかかり、関節炎・糖尿病・心臓病などさまざまな病気のリスクが増加するとされています。
肥満は犬の体力を奪い、運動能力を低下させる悪循環を引き起こすことも。
肥満を予防するには、適度な運動とバランスの取れた食事が必要です。
飼い主さんとして愛犬の体型や体重を定期的にチェックし、健康的に過ごせる環境を整えましょう。
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エネルギーを発散できずストレスが溜まる
十分に運動していない状態が続くと、精神的なストレスにもつながります。エネルギーを持て余した犬は、不安やイライラを感じ、問題行動を起こすことがあります。
さらに、ストレスが蓄積すると、しっぽや足を過剰に舐めたり噛んだりする自傷行為を示すことも。
皮膚炎につながることもあり、愛犬の体にも悪影響を及ぼします。
愛犬のストレスを減らすためには、日々の散歩や遊びの時間をしっかり確保し、エネルギーを発散させることが効果的です。
社会性が身につかない
犬にとって散歩は、社会性を身につける大切な時間です。外出することで、車やバイクの音・他の犬や人々との出会い・自然の香りなど、家庭内では得られないさまざまな刺激を経験します。
こうした体験は、脳を活性化させるだけでなく、社会との関わりを学ぶ絶好の機会となります。
しかし、散歩の機会が少ないと警戒心が強くなり、臆病な性格になってしまうことがあります。
その結果、動物病院や避難所、旅行先など、慣れない環境でストレスを感じやすくなり、対応が難しくなることも。
高齢になったときに筋力が低下しやすくなる
犬も人間と同じく、歳を重ねると筋力が衰えやすくなります。若いうちから運動不足が続くと筋肉が十分に鍛えられず、高齢になった際に歩行が困難になったり、関節への負担が増えて体調を崩しやすくなることがあります。
また、基礎代謝が低下し、太りやすい体質になることも問題です。
特に後ろ足の筋力は衰えやすいため、散歩や遊びで全身の筋力をしっかり維持することが重要です。
運動習慣を取り入れ、高齢期を健康的に過ごせる体づくりを目指しましょう。
【犬種別】犬に必要な1日の運動量

愛犬を運動不足にさせないためには、1日に必要な運動量の目安を知っておくことが大切です。
ここでは、小型犬・中型犬・大型犬それぞれに必要な運動量についてご紹介します。
小型犬は20〜60分
小型犬の散歩時間は、1回20〜60分が目安です。一般的に、チワワやシー・ズー、ポメラニアンなどの愛玩犬は20〜30分程度で十分ですが、トイ・プードルやミニチュア・シュナウザーなど活動量が多い犬種では40〜60分の運動が推奨されます。
ただし、小型犬は骨や関節が繊細なため、急な坂道や階段は避けるようにしましょう。
また、長時間の運動は疲労につながるため、愛犬の様子を見ながら適切な運動量を調整することが大切です。
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中型犬は30~120分
中型犬の場合、必要な運動量は1回30〜120分と幅があります。例えば、柴犬やビーグル、ボストン・テリアは30〜60分の運動が適していますが、ボーダー・コリーやウェルシュ・コーギー・ペンブロークなどエネルギー消費が多い犬種では90〜120分の運動が必要な場合も。
散歩だけで満足できない場合は、ドッグランでの自由運動やフリスビー遊びなど、楽しみながらエネルギーを発散させるアクティビティを取り入れるのも良いでしょう。
大型犬は30~60分
大型犬には、1回30〜60分程度の散歩が理想的です。ゴールデン・レトリーバーやラブラドール・レトリーバー、秋田犬などは体が大きいため、走ったり激しい運動をすることは関節への負担となる場合があります。
特に成長期の子犬には無理な運動を避け、ゆったりとしたペースで長距離を歩かせるのがポイントです。
大型犬はしっかりとした筋力維持が必要。適度な運動を心がけて健康をサポートしましょう。
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愛犬の運動不足を解消する方法

天候や飼い主さんの生活リズムによっては、十分なお散歩時間を確保することが難しい場合もあるかもしれません。
ここでは、そんなときに役立つアイデアをご紹介します!
雨の日やいつもの散歩に室内遊びをプラス
雨の日や外に出られないときは、室内遊びを活用して愛犬の運動不足を補いましょう。例えば、引っ張り合い遊びや宝探し遊びなどはスペースが限られていても楽しめます。
引っ張り合いでは専用のおもちゃを使い、愛犬の噛む力を活かしながらコミュニケーションを深めることが可能です。
また、宝探し遊びはおやつを隠してそれを探させる遊びで、愛犬の好奇心を刺激しながらエネルギーを発散させる効果があります。
どちらも短時間で取り組めるため、忙しい日でも取り入れやすい方法です。
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運動に役立つアイテムを取り入れる
室内での運動をさらに充実させたい場合には、犬用のバランスボールやアジリティ用のグッズを活用してみましょう。バランスボールは体幹を鍛えるトレーニングに役立ち、後ろ足の筋力強化やバランス感覚の向上を促します。
また、アジリティグッズを使えば、障害物をくぐったり渡ったりする動作で愛犬の知育効果も期待できます。
アイテムを活用することで、室内でも本格的な運動が可能となり、愛犬が楽しく過ごせる環境を整えられるでしょう。
ドッグランやアウトドアに連れて行く
休日や時間のある日に、ドッグランやアウトドアで思いっきり運動を楽しませてあげるのも良いでしょう。ドッグランではノーリードで自由に走り回れるため、エネルギーを存分に発散させられます。
また、ほかの犬との交流で社会性が身につくなど、心身の成長にも役立つでしょう。
アウトドアでは、ハイキングやキャンプといったアクティビティもおすすめです。
自然の中で走ったり探検したりすることは、愛犬の好奇心を刺激し、ストレスの軽減にもつながります。
週末や休暇を利用して、新しい環境での運動を楽しんでみましょう。
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お庭やベランダを活用する方法も
お庭やベランダを上手に活用することで、愛犬の運動不足を解消しながら、楽しい時間を一緒に過ごすこともできます。例えば、お庭ではボール遊びやフリスビー活用してエネルギーを発散させたり、簡単なアジリティ用具を設置して遊びながら筋力を鍛えたりすることがおすすめです。
また、日光浴は愛犬の健康を維持するために大切な時間でもあります。
感染症予防や精神の安定、さらにはノミ・ダニ予防効果も期待できるので、日差しが強すぎない時間帯に庭遊びを取り入れると良いでしょう。
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愛犬が散歩嫌いな場合の対処法

愛犬が散歩を嫌がる場合、無理に連れ出そうとするのではなく、原因を探りながら対処していくことが大切です。
ここでは、散歩嫌いな愛犬をサポートする方法についてご紹介します。
散歩コースや時間帯を変えてみる
散歩を嫌がる原因がコースや時間帯にある場合があります。人混みや交通量が多い時間帯や、愛犬が苦手とするニオイや音のする場所が嫌なのかもしれません。
まずは、自然豊かな公園や静かな住宅街など、愛犬にとって落ち着ける場所を選びましょう。
また、いつもと異なる時間帯で散歩してみることも効果的です。
複数のコースを準備し、バリエーションを増やすことで「散歩は楽しいものだ」と感じてもらえる可能性が高まります。
ハーネスやリードを変えてみる
愛犬が散歩に行きたがらない理由として、ハーネスやリードが不快に感じられる場合があります。まずは、サイズが合っているかどうかを確認し、愛犬の体型や成長に応じた製品に変更することが大切です。
また、素材やデザインによって装着感が変わるため、柔らかい素材や調節可能なものを選ぶと良いでしょう。
デザインよりも機能性を重視して選ぶことで、愛犬が快適に過ごせる環境を整えられます。
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子犬の場合は練習で改善できる場合も
子犬が散歩を嫌がる場合は、散歩の練習で改善できる場合があります。まずは室内で首輪やハーネス、リードをつけた状態に慣れさせることからスタートします。
次に、自宅の庭や人通りが少ない近隣エリアなど、安心できる場所で短時間の散歩を試してみましょう。
徐々に行動範囲を広げ、外の環境に慣れさせながら、楽しい散歩の時間をつくってあげてください。
焦らず、愛犬のペースに合わせて進めることがポイントです。
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愛犬の運動不足を解消しよう!
運動不足は愛犬の身体や心にさまざまな影響を及ぼしますが、日々の工夫次第でしっかりと対策を取ることができます。犬種や年齢、個々の性格に合わせた運動習慣を心がけ、愛犬の心身を健康に保ちましょう。
一緒に過ごす運動の時間は、健康維持だけでなく飼い主さんとの絆を深める貴重なひとときとなります。
愛犬が元気で幸せな毎日を過ごせるよう、楽しみながら運動不足の解消に努めましょう!