
近年、「保護犬」という言葉を耳にする機会が増え、里親として新しい家族を迎えたいと考える人も増えています。
しかし、「保護犬を迎えるにはどうしたら良いのか」など、飼うための方法や条件が分からないという方も多いかもしれません。
この記事では、保護犬を飼うための条件や譲渡の流れ、注意点について詳しく解説します。
これから犬を飼おうと考えている方には、保護犬の受け入れも視野に入れ、そのメリットや準備すべきことを知っていただきたいと思います。
そもそも「保護犬」とは?

「保護犬」とは、一度は人間と一緒に生活していたものの飼育を続けられなくなり手放された犬、劣悪な環境や多頭飼育崩壊で行き場を失った犬、さらには人と接触したことのない野犬などを指します。
それぞれの犬が異なる経歴を持ち、犬種・体のサイズ・年齢・性格もバラバラです。
こういった犬たちは、動物愛護センター・保健所・民間の動物愛護団体などによって一定期間保護され、新たに「保護犬」として新しい飼い主さんを探すことになります。
保護犬は、一般的にさまざまな犬種や年齢の犬がいますが、成犬が多いのが特徴です。
ペットショップには純血種の子犬が多く並びますが、保護犬は純血種や雑種、病気やケガを負った犬など、多様性があります。
各施設では健康管理や人馴れトレーニングを行い、犬たちが安心して新しい家庭に迎えられる準備をしています。
犬たちの日常やケアの様子は、各保護団体のホームページやSNSでも発信されていますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
保護犬を飼うには心構えが大切
保護犬たちは、前の飼い主から手放されたり、人と一緒に生活した経験がないことが多いため、不安や恐怖を抱えている場合があります。保護して新しい環境に慣れるまで時間がかかることも多いため、人に慣れるまで辛抱強く見守る必要があります。
保護犬はトラウマを抱えていることが多く、少しの刺激にも敏感に反応してしまいます。
そのため、吠えたりいたずらをしてしまうことがあっても、怒らず冷静に対応する姿勢も大切です。
また、犬を飼うことで生活が変わることを理解し、家族全員で協力して犬を迎える準備を整える必要があります。
旅行に行く機会が減ったり、家族の行動が制限されることがあるかもしれません。
これらの点を十分に考慮し、保護犬を迎える決断をすることが大切です。
保護犬を飼うメリット

保護犬を新しい家族として迎えることで、あなた自身だけでなく、犬にも新たな幸せをもたらします。
ここでは、保護犬を飼うメリットについて詳しく見ていきましょう。
一つの命を救える
保護施設は限られた資源の中で多くの犬を保護していますが、すべての犬や猫を保護し続けることは難しいため、残念ながら一定数の動物が殺処分されてしまう現実があります。環境省によれば、2019年度から2020年度の1年間で5,635匹の犬が殺処分されています。
この数は年々減少しているものの、まだ多くの命が断たれています。
しかし、保護犬を迎え入れることで、その命を救うことが可能です。
新しい家を見つけることで、保護施設には新たな犬を受け入れる余裕が生まれ、より多くの命を救うことにもつながります。
参考:統計資料 「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」 |環境省
どんな状態の犬なのかを把握した上で引き取れる
多くの保護団体では、犬の健康診断やワクチン接種が行われています。また、施設のスタッフが犬の性格や行動を観察し、詳しく把握しているため、「どの犬が自分たちのライフスタイルに合うのか」をアドバイスしてくれることもあります。
さらに、トライアル期間を設けて、先住犬との相性や家族全員と過ごす際の様子を確認することも可能です。
保護犬を迎え入れる前にその犬の状態を十分に理解し、安心して新しい生活をスタートできます。
子犬期を終えた子に出会える
保護犬の多くは成犬であり、子犬期を過ぎた犬たちが多くいます。成犬はすでに落ち着いている場合も多く、性格も定まっているため、自分たちのライフスタイルに合うかどうかを見極めやすいです。
また、成犬になると、保護団体がしつけやトレーニングを進めていることも多く、手間が少なくて済む点もメリットと言えます。
子犬のように四六時中お世話をしなければならない訳ではないので、飼いやすいでしょう。
「生後数ヶ月のうちから一緒に暮らさないと懐かないのでは」と心配になる方も多いかもしれませんが、成犬になってからでも信頼関係を築くことは可能です。
保護犬を受け入れるための条件

一般的に、保護犬を迎える際には以下の条件を満たす必要があります。
- 一人暮らしではないこと:家族の協力が必要です。例外もありますが、基本的には複数人で世話ができる環境が望ましいです。
- 高齢者ではないこと:高齢犬なら譲渡可能な場合もありますが、基本的には終生飼養できること(その動物が寿命を迎えるまで責任を持ち飼えること)が条件です。60歳以下としているところが多いですが、団体によって異なります。
- 同居している家族全員の同意を得ること:家族全員が保護犬を迎えることに賛成している必要があります。
- 日中世話ができる家族がいること:特に子犬の場合、長時間の留守番は難しいため、日中の世話が可能な家族が必要です。
- ペット可の住宅に住んでいること:マンションなどの場合、ペット可の契約書を提示することが求められます。
- 不妊去勢手術を実施すること:犬の健康状態によって異なりますが、手術が済んでいない場合は早期に実施することが条件です。
- 適切な飼育環境を整えられること:完全室内飼育で、犬が安全に過ごせる環境を整える必要があります。
- 安定した収入があること:犬の飼育には費用がかかるため、一定の収入があることが条件となります。
保護犬を迎えるには、譲渡元の条件をしっかり確認し、家族全員が協力して新しい家族を迎え入れる準備を整えましょう。
保護犬譲渡までの流れ

保護犬の譲渡では、ペットショップでの引き渡しと異なる点も多くあります。
ここでは、保護犬の探し方から受け入れるまでの一般的な流れを説明します。
団体ごとに若干の違いはありますが、大まか流れは以下の通りです。
インターネットなどで保護犬を探す
まずはインターネットで保護犬を探しましょう。動物愛護センターや民間の保護団体、保護犬カフェなどのサイトをチェックしてみてください。
また、地域の情報誌や動物病院の掲示板でも里親募集の情報が掲載されていることがあります。
最初は多くの情報を収集し、どの保護犬が自分のライフスタイルに合うかを見極めましょう。
写真やプロフィールを確認し、気になる犬が見つかったら、次のステップに進みます。
実際に会いにいく
インターネット上で気になる保護犬が見つかったら、保護団体に連絡をして実際に会いに行きましょう。インターネットの写真だけでは犬の性格や大きさを把握することは難しいため、実際に対面することが大切です。
施設のスタッフからその犬の性格や健康状態について詳しく聞き、家族全員で慎重に検討しましょう。
複数回訪問することも可能なため、コミュニケーションを深め、一緒に暮らす準備を整えます。
譲渡希望の申込みをする
実際に保護犬と対面し、家族として迎え入れる決心がついたら、譲渡希望の申込みを行います。申込書に記入し、譲渡条件に同意する誓約書にも署名します。
また、譲渡前に講習会が開催される場合は、必ず参加しましょう。
講習会では、保護犬を迎えるための基礎知識や心構えについて学べます。
さらに、保護団体のスタッフに、家族構成や飼育環境について詳しく説明することが求められます。
家庭訪問やトライアルをする
譲渡希望の申込みが受理されると、保護団体のスタッフが家庭訪問を行います。飼育環境や家庭の状況を確認し、保護犬が快適に過ごせるかどうかをチェックすることが目的です。
家庭訪問後には、実際に保護犬と一緒に生活するトライアル期間が設定されます。
トライアル期間は通常2週間程度で、この期間中に犬との相性や生活リズムを確認します。
トライアル中に問題が発生した場合は、スタッフに相談しましょう。
問題がなければ一緒に暮らし始める
トライアル期間が無事に終了し、犬との相性が良好であることが確認されたら、正式に保護犬を迎え入れます。引き渡しの際には、マイクロチップの登録やワクチン接種、ノミ・ダニ駆除などの必要な手続きを行います。
あとは新しい家族として、保護犬と一緒に楽しい毎日を過ごすだけです。
保護犬を迎え入れることで、あなた自身も多くの喜びと学びを得られるでしょう。
保護犬と暮らす上での注意点

新しい家族となる保護犬が安心して過ごせるように、いくつかの準備や心構えが必要です。
ここでは、保護犬と暮らす上での注意点について解説します。
必要な準備を整えておく
保護犬を迎えるためには、生活環境を整えることが大切です。ケージ・トイレ・食事・リードなどの基本的な備品を揃えましょう。
また、家の中をスッキリさせ、犬が安心して過ごせるスペースを確保してください。
特に、先住犬がいない場合や初めて犬を飼う場合は、しっかりとした準備が必要です。
犬の年齢や健康状態に応じて、ペット保険への加入も検討しましょう。
トイレトレーニングやハウストレーニングなど、家庭で簡単にできるトレーニング方法を知っておくと、スムーズな生活が送れます。
ご褒美として、おやつやおもちゃを用意することもおすすめです。
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脱走しないよう対策する
新しい環境に慣れるまでは、不安からパニックを起こし、逃げ出してしまうことも考えられます。脱走対策として、玄関の前にはペットゲートを設置し、庭には放さないようにしましょう。
フェンスや門扉は犬が飛び越えられない高さに設定し、ドアや窓を開ける際には、愛犬が近くにいないか確認することがポイントです。
また、迷子札をつけた首輪を常に装着し、散歩の際には首輪・ハーネス・リードをきちんと取り付けてください。
もし脱走してしまった場合は、すぐに保護団体に連絡し、捜索方法を相談しましょう。
地域の動物愛護センターや保健所、警察署にも連絡して、迅速に対応することが重要です。
飼い始めてすぐに写真を撮っておくと、万が一の際に犬の情報を拡散しやすくなります。
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新しい環境に慣れるまではあまり構わない
保護犬が新しい環境に慣れるまでには、時間がかかることがあります。特に最初のうちは、犬のペースを尊重し、あまり構いすぎないようにすることが大切です。
愛犬がリラックスできる環境を整え、飼い主さんが近くにいることを感じさせつつ、無理に触れ合おうとせずに見守りましょう。
少しずつ接することで安心感が高まり、新しい環境に慣れるスピードも上がります。
体調の変化を見逃さないように
新しい環境に慣れるまでに、体調を崩してしまうケースも少なくありません。しかし、犬は体調が悪くてもそれを表に出さないことが多いです。
飼い主さんとして、愛犬の小さな変化を見逃さないように毎日体調チェックを行いましょう。
特に食欲や活動量の変化、便の状態などを観察することが大切です。
万が一、体調不良が見られた場合は、速やかに動物病院を受診してください。
事前に近くの動物病院をリサーチしておくと、緊急時にも慌てずに対応できます。
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保護犬を迎える前に受け入れ態勢を整えよう
保護犬は、これまでの環境が変わることで不安を感じることが多いです。中には、過去に辛い経験をしたことでトラウマを抱えている場合もあります。
そのため、犬の気持ちを理解し、根気よく寄り添う姿勢が求められます。
しかし、保護犬もペットショップに並ぶ子犬たちも、なんら変わりはありません。
どの子犬もそれぞれ異なる個性を持ち、性格も一頭一頭で違います。同じ犬種でも、兄弟姉妹でさえ性格に違いがあるものです。
保護犬も同様で、各犬はそれぞれ個性を持ち、新しい飼い主さんとの出会いを待っています。
大切なのは、どの犬もその子自身の特性を理解し、向き合うことです。