日本の夏は高温多湿で、梅雨の頃から気温は30度を超え始め、湿度が80%以上になる日もあります。
気温が高くなるほどジメジメと感じるのは、空気中の水蒸気量が増えるためです。
なんだか体が重くて、元気が出ない。そんな「梅雨バテ」は、人だけでなく猫にも起こります。
猫は祖先が砂漠で暮らしていたため、湿気に弱い動物です。
この記事では、おすすめの湿気対策を紹介します。しっかりと湿気対策をして、梅雨や夏を快適に過ごしましょう。
猫に最適な湿度とは
猫にとって快適な湿度は、40〜60%と言われています。人が快適に過ごせる湿度は50〜60%ですので、飼い主さんが気持ちよく過ごせる湿度に調節すれば良いでしょう。
梅雨から夏にかけては、意識的に除湿しないと快適な湿度に保てません。
湿度計を部屋に置き、エアコンのドライ機能や除湿器などを活用するのがおすすめです。
ジメジメとした環境は、カビや細菌が繁殖しやすく、体調不良の原因となります。
夏は熱中症への注意だけでなく、湿気対策も重要です。
湿気が多い時に猫がする行動
湿気が多いと不快に感じますが、猫も食欲や元気がなくなることがあります。
雨の日が続く梅雨やジメジメとした夏には、人も猫もグッタリしがちです。
子猫やシニア猫は特に体調を崩しやすいので、湿気対策が大切です。皮膚への影響が出ることもあるため、夏場は温度だけでなく湿度にも注意しましょう。
食欲が落ちる
湿気が多い季節には、猫も食欲が落ちることが多くなります。
その理由は、水分の排出がうまくいかなくなったり、自律神経の乱れで胃腸の調子が悪くなったりするためです。
食べ残したフードは腐りやすいので、注意が必要です。
ウェットフードは水分補給に役立ちますが、とても腐りやすいため、30分経っても残っている場合には廃棄しましょう。
ドライフードは、唾液がついた部分が腐りやすいです。半日経ったら捨てましょう。
いつもの6割以下の食事量が続いたり、まったく食べないのが24時間以上になった場合には、早めに受診すると安心です。
運動量が減る
猫はしゃべらないので、本当の自覚症状は人には伝わりませんが、ダルさや頭痛などがあると運動量が減ってしまいます。
なんとなく元気がなかったり、動きが鈍くなったりすることが多いです。寝ている時間も長くなるでしょう。
オモチャで遊んであげると、気分転換やストレス解消になります。
飼い主さんが積極的に関わることで運動量が増えれば、少しずつ活発になることもあります。
猫はもともとよく寝るからといって、寝てばかりの愛猫を放置しないようにしましょう。
体をかく
ジメジメが続くと、皮膚炎やノミ・ダニの繁殖によって体が痒くなりがちです。
5〜9月には、皮膚や耳の炎症で動物病院を受診する犬猫が増えるそうです。これは、「季節性の痒み症状」と呼ばれています。
ブラッシングをして被毛を取り除いたり、シャンプーで汚れを落としたりしましょう。
痒みが強く出る場合は、早めに動物病院を受診して、炎症などを悪化させないことが大切です。
空気清浄機やエアコンのフィルターに発生するカビも、皮膚炎を悪化させる原因となります。
使用する前にはキレイに掃除しましょう。
梅雨や夏の湿気対策
日本の夏は高温多湿です。なにも対策をしないと、部屋の中の湿気を減らすことはできません。
ジメジメした環境は、気持ち的にも身体的にも不調をきたしやすいです。工夫をして、人も猫も快適に過ごせる空間を作りましょう。
エアコンのドライを使う
蒸し暑い季節には、エアコンが活躍します。
しかし、冷房と除湿のどちらを使えばいいのか迷うこともあるでしょう。
冷房は空気を強く冷やし、温度を優先的に下げます。一気に冷えることで湿度も下がります。
除湿(ドライ)は、部屋を冷やし過ぎずに湿度を下げることが可能です。弱冷房として使うことができ、長時間のエアコン使用でも省エネになります。
除湿で湿度が下がらない場合は、冷房でいったん設定温度を2〜3℃下げ、ジメジメ感が減ったら設定温度を戻しましょう。
除湿器を使う
除湿器は、部屋の湿度を下げるための機器です。大きく分けて、コンプレッサー式とデシカント式の2タイプがあります。
コンプレッサー式とデシカント式の特徴を活かし、それぞれのデメリットを補うハイブリッドタイプも人気です。
夏だけでなく、1年中使うことができます。
室内干しの洗濯物も湿気の原因となりますが、パワフルな除湿器を使えばすぐに乾きます。
ジメジメする季節は、除湿器を使うと快適に過ごせるでしょう。
窓を開けて換気する
部屋を閉め切ると、湿気がたまりやすくなります。エアコンを使用すると換気しなくなりがちですが、定期的に空気を入れ替えましょう。
2ヵ所以上窓を開けると、空気の流れができて換気ができます。
窓を開ける際は、愛猫の脱走に注意しましょう。猫の頭が入らない程度に細く開け、ストッパーを設置すると安全です。
大雨や強風の場合を除き、雨の日でも窓を開けることで室内の湿気を逃がすことができます。
雨が降りこむと床や壁が濡れてしまうので、雨が激しい時は換気扇を使うのがおすすめです。
空気を循環させる
エアコンを使ったり、換気をしたりする時にサーキュレーターや扇風機を使うと、効率的に部屋の湿度を下げることができます。
サーキュレーターは、扇風機よりも風量が強く、局所的に風を送ります。空気を循環させることを目的とするため、風で涼むのには適しません。
サーキュレーターや扇風機は置き方を工夫することで、節電しながら部屋の温度や湿度を調節するのに役立ちます。エアコンだけでなく、除湿器と併用するのもおすすめです。
おすすめのサーキュレーター:アイリスオーヤマ AZ-SC15TEC-W
吸湿グッズを活用する
電気を使わない置き型の除湿剤や吸湿効果のある壁材も便利です。設置しておくだけで、室内の除湿ができます。
置き型の除湿剤は、吸湿後にはタンクに水が貯まるものが多く、目で見てどれくらいの湿気が取れたかがわかります。
押し入れやシンク下などに設置するのがおすすめです。比較的安いので、気軽に使いやすいでしょう。
また、吸湿効果のある壁材は、半永久的に使用することが可能です。吸湿だけでなく加湿もできると、1年中快適に過ごすことができます。
湿気が多い時の注意点
ジメジメとした季節は、カビや細菌が増えやすくなるため、衛生管理に気をつける必要があります。
また、猫は泌尿器系の病気に注意することが大切です。トイレを清潔に保ち、しっかりと水分補給をさせましょう。
トイレを清潔にする
猫は砂をかいて排泄物を隠す習性がありますが、トイレ砂の種類によっては、湿気によってオシッコを吸いにくくなることがあります。
ベタベタして砂が足にくっつくと、不快に感じるでしょう。
シリカゲル入りのトイレ砂は消臭機能もあり、夏におすすめです。
固まらずにオシッコや湿気を吸着するため、サラサラした状態を保ちます。
また、湿気が多いとカビが生えやすいので、定期的にしっかりとトイレ掃除をすることが大切です。
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腐ったフードを食べさせない
猫は、一回の食事で少しずつしか食べません。ちょこちょこ食べをするので、一度にたくさん与えると食べ残しやすいです。
ウェットフードは特に腐りやすいので注意しましょう。与えてから30分経過しても残っている場合には、廃棄してください。
缶やパウチに残ったウェットフードは冷蔵庫で保管します。
ドライフードのストックは、密封容器で保管しましょう。
また、飲み水も腐らせないように注意が必要です。お皿は毎日洗って、水の交換も忘れないようにしてください。
猫の寝床を夏用にする
猫はフワフワの柔らかい布が大好きですが、湿気がたまるとダニやカビが増えやすくなります。
梅雨頃には冬用の寝床を片付けて、通気性の良い夏用のものに替えましょう。
愛猫の寝床にしているタオルやブランケットは、晴れた日に洗って天日干しすると衛生的です。洗う時は、ニオイの強い洗剤を使わないようにしましょう。
また、箱や容器に入るのが好きな猫の習性を利用した「猫鍋」ですが、暑い季節には冷たいアルミ鍋もおすすめです。
水分補給をさせる
猫はあまり水を飲みませんが、ジメジメしている季節には余計に飲まなくなることがあります。
しかし、泌尿器系に負担をかけないためには、しっかりと水分補給をして排泄することが大切です。
猫は、わざわざ水を飲みに行くというよりは、たまたま移動中に水場があると飲むという習性があります。
気温が高いと熱中症も心配なので、部屋の複数ヵ所に水飲み場を設置しましょう。
どうしても水を飲みたがらない時は、大好きな液体オヤツ(ちゅ〜るなど)を水に溶かして味をつけるのもおすすめです。
部屋を冷やしすぎない
猫は、暑がりの寒がりです。エアコンで部屋の温度を下げることは必要ですが、寒いと感じた時の避難場所を用意してあげましょう。
ドアを少し開けておいて自由に家の中を移動できるようにしたり、ちぐらなどの暖かい場所を用意したりするのがおすすめです。
猫の快適な温度は、1年を通して21〜28℃くらいと言われています。
夏のエアコンの設定温度を26℃くらいにすると、飼い主さんも愛猫も気持ちよく過ごせるでしょう。
【まとめ】湿気対策をして愛猫と快適に過ごそう!
梅雨から夏にかけてジメジメとした日が続くと、鬱々とした気分になりますね。
人だけでなく猫も、なんとなく元気が出なかったり食欲が落ちたりしがちです。
祖先が乾燥した地域で暮らしていたため、猫は湿気に弱い動物です。エアコンや除湿器などを活用して、部屋の湿気を取り除くようにしましょう。
また、カビや細菌も増えやすいので、トイレ掃除やフード・水の衛生管理を徹底する必要があります。湿気対策をして、長い夏を健康に乗り切りましょう。