公益社団法人アニマル・ドネーション(以下アニドネ)が「2023年度 犬や猫の飼養に関する全国調査」を実施。人々の意識の向上と課題が明らかになりました。 取材・文/安藤小百合
西平衣里さん
(公社)アニマル・ドネーション代表理事。株式会社リクルートで結婚情報誌『ゼクシィ』の創刊から制作に従事、2011年にアニドネを開始。
犬・猫の迎え入れ検討場所「次は保護施設から」大幅増
本調査は、全国の20〜69 歳の男女20,163人を対象に、犬・猫の飼養に対する実態や動物福祉に対する意識を確認する目的で、アマゾンジャパン合同会社と共同 で実施されました。まず着目すべきは、いま飼育している犬・猫を迎え入れた場所の多様化です。ペットショップは依然として最多で はあるものの、38 %と4割を切っており、保護施設や個人の保護活動家からの譲渡が23%であることが明らかになりました。また、次回の犬・猫の迎え入れ検討場所として、保護施設や個人の保護活動家からの譲渡が合計56%へと大幅に増加しました。(グラフ参照)
「保護犬・猫に対する関心や問題意識は、一般の方々やメディアの中でも高まっている実感はあります。しかし今回の調査で『犬・猫の保護活動や譲渡活動に興味がある』と回答したのは、今後の飼養意向がある層でも2割程度、実際に保護したり譲り受けたことのある方はさらに少ない結果でした。 私たちとしては、皆さんの意識をどう具体的な行動につなげていけるか、引き続き取り組んでいく必要性を感じました」(西平さん)
「本当に保護犬・猫?」自分の目で真実を確かめて
「知らなかったが、これから関心を持ちたいこと」として最も多かったのが、「一部には保護犬猫と偽り、同情や興味を引こうとしているケースがあること」。悲しいことに、引退繁殖犬・猫、流通から外れた遺伝子疾患のある犬・猫を、保護犬・猫と偽って譲渡している団体があると言います。「しかも、これらには一般より高額な寄付金や、ドッグフードなどの定期購入契約が付帯しているケースが多い。これは犬・猫の個体に値段がついているのと変わりません。保護犬・猫を迎えたい人たちの善意に入り込んだビジネスで、非常によくないと感じます」と、西平さんは警鐘を鳴らします。
また、飼育崩壊したブリーダーから救出した純血の犬・猫を、高価格で販売するケースも。いずれにせよ、私たちが説明を受ける犬・猫の背景とその実態とは異なることがあり得るのです。
こうした保護ビジネスに加担しないためには、「この子は本当に保護犬・猫なのだろうか」と疑問の目を持つことが大切です。
「そもそもは、日本に犬・猫のセーフティーネットがないことが問題です。その上で、いざ迎え入れる際には、私たちが正しい目を持つことがすごく重要です。犬・猫と暮らすことはものすごく幸せだけれど、大変なこともあるし、お金もかかるのが現実。ただ『かわいいから』ではなく、命を扱う覚悟を持って迎えてほしいですね」 と西平さん。
アニドネのサイトでは、厳しい審査を通過した信頼できる認定保護団体が紹介されています。こうした団体からの譲受も、選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。
保護犬・猫を受け入れるときのチェックポイント
- 譲渡費用が高すぎないか(猫3万円前後、犬5万円前後が妥当)
- 個体の背景が詳しく説明されているか(保護理由、健康状態、性格など)
- 動物福祉的な観点で扱われているか(保護施設の衛生、長距離輸送でないかなど)
What's アニドネ?
アニドネ
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