完全室内飼いの猫の縄張りは、おうちの中に限られています。安全な生活と美味しいゴハンさえあれば、果たして幸せなのでしょうか?
猫はとてもかわいいですが、習性を理解していないと、愛猫と飼い主さんの両方がストレスを溜めてしまうかもしれません。
「高い場所が大好き」という猫の本能を満たし、運動不足やストレスを解消するにはキャットタワーが役に立ちます。
この記事では、キャットタワーのメリット・必要性・選び方について解説します。
キャットタワーの5つのメリット
キャットタワーには5つのメリットがあり、完全室内飼いの猫におすすめのアイテムです。
キャットタワーでは上下運動や爪とぎができ、ストレスの発散ができます。
また、大好きな高い場所で休憩したり縄張りを見渡したりできるので、限られたスペースで暮らす猫も快適に過ごせます。
運動不足の解消
室内で暮らす猫は縄張りのパトロールやエサ探しに労力を使わないため、運動不足になりがちです。
猫と暮らすのに広い部屋は必要ありませんが、周囲を見渡せる高い場所が必須となります。垂直方向の移動ができるようにしてあげましょう。
キャットタワーがあれば、ステップを上り下りしたりポールをよじ登ったりできるため運動不足が解消できます。
運動不足で肥満になると、さまざまな病気にかかりやすくなります。キャットタワーを設置して、運動量を増やしましょう。
運動は骨や筋肉を鍛えるだけでなく、認知機能の発達にも役立ちます。
健康促進や肥満防止になるので、子猫からシニア猫まで長く使えるキャットタワーがおすすめです。
ストレスの解消
猫には、高い場所を好む習性があります。そもそも猫は木登りをして暮らしていた動物だからです。
高い場所は獲物を見つけやすく天敵からも逃げられるため、安心できる居場所として本能に刻まれています。
キャットタワーを窓際に設置すると、外の景色を見ることができます。車や人を観察したり、小鳥のさえずりを聞いたりして退屈しのぎをするでしょう。
さまざまな刺激を受けることで気分転換ができ、ストレスが解消されます。
猫は、退屈してストレスを感じるとイタズラをしがちです。飼い主さんの気を惹くために壁で爪とぎをしたり、物を落としたりします。
キャットタワーで運動や昼寝をすれば暇つぶしができるので、イタズラも防げるでしょう。
リラックス空間の確保
キャットタワーは、高い場所でリラックスして昼寝するのに最適です。猫は寝るのが大好きなので、ベッドやハンモックなどの寝床やボックスタイプの隠れ家があると満足感が高まります。
キャットタワーを窓辺に設置すると、日向ぼっこを楽しむこともできます。天気の良い日中には身体全体をポカポカと暖めて、のんびりと毛づくろいをして過ごせるでしょう。猫にとって日向ぼっこは健康の維持に役立ちます。
また、ステップや付属品が多いキャットタワーであれば、複数の猫が一定の距離を保つことができるため、ケンカを避けたり隠れたりできます。多頭飼いの場合でも、それぞれにリラックス空間を確保して快適に過ごせるでしょう。
見張り場所の確保
猫は縄張りをとても大切にする動物です。完全室内飼いの猫にとって、部屋の中や飼い主さんが縄張りとなります。
キャットタワーがあれば、高い場所から縄張りを見渡せるので満足感が高まるでしょう。
リビングなど家族がよく過ごす場所にキャットタワーを設置すると、テレビを見たり食事をしたりする飼い主さんの様子を観察できるため、愛猫も安心して過ごせます。
また、高い場所にいると周囲の変化に気づきやすくなり、危険を察知しやすくなります。多頭飼いの場合、相性の良くない猫同士が顔を合わせなくてもすむように行動できるのでケンカが減るでしょう。
爪とぎ場所の確保
猫にとって爪とぎは大切な習性です。縄張りを誇示したり、ストレスを発散したりする目的があります。
壁や家具などを爪で傷つけられたくない場合には、爪とぎしてもいい場所を用意する必要があります。
爪とぎ器を兼ねたキャットタワーを設置すれば、他に爪とぎ場所を用意しなくてすみます。ポールに麻ヒモや綿ヒモを巻いた商品や、段ボールを使った商品がメジャーです。
キャットタワーがあるとよいおうちの特徴
猫と暮らす上で、キャットタワーは必須ではありません。
しかし、完全室内飼いの猫は運動不足になりがちなので、おうちの条件によっては設置する方がおすすめです。
ワンルーム・平屋である
移動できる部屋がないワンルームや階段がない平屋の場合、室内飼いの猫は運動不足になりがちです。
運動不足はストレスや病気の原因になるので、上下運動できるキャットタワーを用意してあげましょう。
猫が快適に暮らすのに、平面的な広いスペースは必要ありません。その代わり、上り下りができる立体的なつくりが不可欠です。
省スペースのキャットタワーであれば、圧迫感がないのでワンルームでも設置できます。また、階段のない平屋でも、キャットタワーを設置すれば日常的に上下運動するので、猫の生活の質が上がります。
賃貸住宅である
賃貸住宅の場合、爪とぎ器を兼ねたキャットタワーが便利です。退去時の修繕費用の請求を避けるためには、壁や柱での爪とぎに注意する必要があります。
猫にとって爪とぎは大切な習性なので、人の都合でやめさせることができません。こまめに爪切りをし、お気に入りの爪とぎスポットを用意してあげましょう。
キャットタワーの多くはポールに麻ヒモや綿ヒモが巻いてあり、爪とぎ器を兼ねています。猫が背伸びをして力強く爪とぎをしてもグラつかないキャットタワーがおすすめです。ストレス発散ができると、賃貸住宅の壁や柱にイタズラしなくなるでしょう。
高い場所がない
出窓や背の高い家具がない場合は、外の景色や部屋の様子が見えるキャットタワーがあると便利です。猫はそもそも木に登って生活していたため、高い場所を好む習性があります。
高い場所は敵に見つかりにくく獲物を見つけやすいという好条件が揃っているので、猫は安心して過ごすことができます。逆に、家の中に高い場所が全くないとストレスを感じるでしょう。
キャットタワーを設置すれば、飼い主さんが何をしているのかを把握でき、慣れない来客時にも隠れることができて快適に過ごせます。キャットタワーは、愛猫にとって自分だけの大切な居場所となります。
1匹での留守番が多い
愛猫1匹での留守番が多いご家庭の場合には、オモチャやハンモック付きのキャットタワーがあると便利です。
飼い主さんが不在でも、遊んだり昼寝をしたりして退屈しのぎができます。
猫は単独行動をする動物なので、半日程度であれば問題なく留守番させることが可能です。しかし、寂しがり屋の性格や分離不安症の猫の場合、1匹で過ごすと粗相やイタズラをする可能性があります。
外の景色は、猫にとって「テレビ」のようなものです。キャットタワーを窓際において外を見られるようにすると、暇つぶしができて寂しさを紛らわすことができます。帰宅後には撫でたり遊んだりして、たっぷりと愛情を伝えましょう。
猫同士の相性が悪い
多頭飼いをしていて猫同士の仲が良くない場合には、避難場所となるキャットタワーを用意しましょう。
ステップや付属品が多ければ縄張りを分けることができ、鉢合わせすることなく別々の場所で寛ぐことができます。
猫は高い場所にいる方が優位性を示すという習性があります。上にいる猫が下の猫を攻撃する可能性もあるため、ボックスやハウスなどの隠れ家があるキャットタワーがおすすめです。
猫は相性が非常に大切で、合わない猫同士が仲良くなることはほとんどありません。どうしてもケンカをしてしまう場合には、複数のキャットタワーを設置したり交代でケージに入れるなどして、生活空間を分離しましょう。
キャットタワーの選び方
キャットタワーを選ぶ時は「デザイン・耐荷重・素材・付属品」に注目しましょう。
お部屋の広さによっては、スリムタイプを選ぶと圧迫感がありません。愛猫が快適かつ安全にキャットタワーで過ごせるように、年齢・体型・頭数を考慮して選ぶことが大切です。
デザインで選ぶ
キャットタワーには「据え置き型」と「突っ張り型」があります。それぞれの特徴を知り、お家に合ったデザインのキャットタワーを選びましょう。
据え置き型のキャットタワー
据え置き型のキャットタワーは、床のみで支える構造です。
設置場所を移動しやすいというメリットがある一方で、床板が小さいとグラつきやすいというデメリットがあります。
据え置き型は、重心が下の方にあり、安定感のあるキャットタワーを選びましょう。
低め(ロータイプ)の製品が多く、ジャンプに失敗しても大けがをする心配がありません。子猫のキャットタワーデビューやシニア猫・短足種の運動用におすすめです。
ロータイプの据え置き型は飼い主さんの目や手が届きやすく、掃除が簡単にできます。また、キャットタワーにいる愛猫をすぐに抱き上げることも可能です。
突っ張り型のキャットタワー
突っ張り型のキャットタワーは、床と天井で支える構造です。
2点以上で支えるため安定性が高いというメリットがある一方で、気軽に設置場所を移動しにくいというデメリットがあります。
突っ張り型は、天井の頑丈さを確かめてから設置するようにしましょう。
スリムな製品が多く、スペースを有効活用できます。天井近くまでステップがあるため、活発な成猫や多頭飼いにおすすめです。
おすすめのスリムタイプのキャットタワーについて詳しくはこちら
スリムタイプの突っ張り型は省スペース設計なので、ワンルームでも使いやすいです。壁際に設置すれば、生活の邪魔になりにくいでしょう。
耐荷重で選ぶ
愛猫の体重や頭数を考慮して、安全に使用できるキャットタワーを選びましょう。
商品説明で確認しておきたい耐荷重には、2種類あります。「キャットタワー本体」と「各パーツ」のどちらの耐荷重も記載されていると安心です。
キャットタワーの耐荷重には幅がありますが、1匹だけの場合は10キロ以上の製品がおすすめです。多頭飼いの場合は同じ場所でくっついて寝ることがあるため、合計の体重に耐えられる製品を選びましょう。
ポールが太く2本以上で支えるタイプのキャットタワーは耐荷重が大きめです。細い1本のポールだけで支えるタイプのキャットタワーよりも高価ですが、丈夫で長く使えて経済的です。
素材で選ぶ
キャットタワーに使われる素材は、主に2種類あります。「木材」と「ファブリック(布)」です。
それぞれに特徴があるので、好みに合わせて選びましょう。
木製のキャットタワーは、ツルツルした表面なので掃除がしやすいです。嘔吐や粗相をした場合にも水拭きができます。滑りやすい場合には、薄いコルクマットやカーペットを貼りつけると良いでしょう。
ファブリック(布)製のキャットタワーは、猫が好むフワフワの感触なので寝るのに適しています。抜け毛や汚れが絡みつきやすいので、分解して洗濯機で丸洗いできる製品がおすすめです。
付属品で選ぶ
キャットタワーには、さまざまな付属品があります。爪とぎ器・ベッド・ハウス・オモチャなどの付属品が豊富だと、猫の生活の質が高くなるでしょう。
ほとんどのキャットタワーは、ポールが爪とぎ器を兼ねています。研ぎカスが気になる方には、綿ヒモを使用したキャットタワーがおすすめです。
猫は寝るのが大好きなので、寝心地の良いベッドやハンモックがあると気に入ってくれるでしょう。臆病な性格の愛猫なら、ボックスやハウス付きのキャットタワーを選ぶと、来客時などに隠れることができます。
【まとめ】猫はキャットタワーがあると嬉しい!
猫は「高い・狭い・暖かい」ところが大好きです。猫は1日のほとんどを寝て過ごすので、ベッドやハンモック付きのキャットタワーは自分だけの大切な居場所となります。
完全室内飼いの猫は、運動不足になりがちです。ステップを日常的に上り下りすることで肥満を防止でき、ストレスの発散もできます。
キャットタワーは、ワンルームでも設置できる省スペースタイプや、子猫からシニア猫まで使えるロータイプなど種類が豊富です。愛猫の年齢・体型・頭数に合ったキャットタワーを選びましょう。