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「日本の動物福祉を世界トップレベルに」社会情勢に負けず動きつづける

動物を取り巻く環境は、ここ数年で変化しています。その変化や今後への課題、飼い主が心がけたいことを、アニマル・ドネーションの西平さんに伺いました。 取材・文/安藤小百合




支援団体の認定は、面談や現地視察と外部の有識者で構成された審議委員会の承認を経て、理事会で決定するという厳正なプロセスをとっている。今年度新たに9団体が加わった。

動物たちを取り巻く環境が複雑になっている

 私が11年前にアニマルドネーション(以下、アニドネ)を始めた当初に比べて、保護犬・保護猫の認知度は年々上がってきています。殺処分数が年々減っていたり、動物愛護法の改正により数値規制が運用されたりと、国内の動物を尊重する意識が高まっています。

 2019年以降の新型コロナウィルス禍では、在宅時間の増加にともない新規飼育率が上がり、もともとあった動物福祉の問題が顕在化しています。例えば、コロナ罹患や収入源により犬猫を手放さざるを得ない人が増えていますが、そうして保護される犬猫の多くは健康状態が悪く、日頃のずさんな飼育状況が浮き彫りになっているのです。保護団体が外で活動できなかったために野良の子猫が爆発的に増えてしまった時期もありましたし、特に地方での多頭飼育崩壊も増えています。

 最近はメディアの影響もあり、保護動物マーケットがブームになっています。認知度が上がるのは喜ばしいことですが、残念ながら、社会貢献目的なのか、営利目的なのか、不明瞭な保護活動も散見される現状があります。日本ではまだ動物福祉の知識が浸透してはいないので、善意の一般ユーザが気づかぬうちに営利ビジネスに加担をしていることも……。このように近年は、良いこともあれば悪いこともあり、状況はとても複雑化しています。

 皆さんが保護犬・保護猫の譲渡を受ける際は、その保護団体が適切な対応をしているのかを見極めてください。ポイントは、「その個体の病歴や性格を細かく把握しているか」「正式な譲渡前にトライアル期間を設けているか」「団体の活動収支の情報公開をしており、譲渡費用は医療費など保護してから譲渡するまでにかかった実費相当の金額となっているか」の3点です。複数の保護団体を比較したり、譲渡会に足しげく通ったりして、信頼できる団体を見つけてください。

法律で動物たちを守れる社会にしたい

 アニドネは今後、アドボカシー(政策提言)活動にも力を入れていきます。日本は動物関係の法律が未発達なので、法律で動物を守れる社会になるよう動いていきます。動物福祉の知識を広げる目的で立ち上げたWEBサイト(AWGs)が1周年を迎えたので、訪問者数を増やすことにも注力します。

 本誌の読者の皆さんは、犬猫と快適に暮らせる家づくりに関心を寄せられていると思いますが、それも立派な動物福祉です。ご自身の優良な飼い主としての活動を、積極的に周りに発信してください。

 これから2頭目以降の犬猫を迎えるなら、ぜひ適切な団体による保護犬・保護猫を検討してください。動物は迎えたら終わりではなく、その子たちが幸せに暮らすことがゴールです。私たちが正しい知識を得ながら、動物が真の意味で幸せに暮らせるようアクションしていきましょう。


西平 衣里さん
アニマル・ドネーション代表理事。
株式会社リクルートで結婚情報誌「ゼクシィ」創刊から制作に従事し、2011年にアニドネを開始。


開設から1周年を迎えたAWGs(Animai Welfare Goals)。日本の動物福祉の問題のなかから、解決したい13のゴールを掲げている。

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