イギリスは、培養肉をペットフードに使用することを承認した最初のヨーロッパ国となった。
実験用食肉会社Meatlyは、動物細胞から培養した鶏肉のペットフードメーカーへの販売を計画している。同社によれば、最初のサンプルは早ければ今年中に販売されるが、商業的な生産量に達するのは約3年後だという。
消費者がペット用の培養肉にどの程度の関心があり、現在のペットフード市場にどの程度の影響を与えるかはまだ明らかになっていない。しかし、MeatlyのCEOであるオーウェン・エンザー氏は十分な需要を見込んでおり、同社は、安全かつ低コストで培養肉を迅速に市場に投入する方法があることを証明していると語った。
「多くのペットの飼い主たちは、犬猫により良い方法で肉を食べさせたいと望んでいます。本物の肉を地球とほかの動物に優しい方法で与えられるのが培養肉なのです」。
2013年にロンドンで、25万ポンド以上かけて作られた最初のラボグロウン・バーガーが発表されて以来、世界中の何十もの企業が人間とペットの両方に手頃な価格の培養肉を市場に提供するために競争してきた。
シンガポールでは、規制当局が2020年12月にレストランでの培養肉の販売を許可し、米国とイスラエルも食用として認可している。
しかし、アメリカやほかの国々では、実験室で作られた肉を食べることが物議を醸している。フロリダ州では、共和党のロン・デサンティス知事が、「グローバル・エリートとその権威主義的計画から我々の牛肉を救う」と、培養肉の製品を禁止した。
イギリスでは、人が食べるための細胞培養製品の認可はまだ下りていない。実験室で作られた食肉は、一部の国では賛否が分かれ、擁護派は環境や動物福祉の利点を指摘する一方、批判派は高価で農家に悪影響を与えかねないと述べている。
イギリスでは今のところ認可が下りているのはペットフード用だけである。
Meatly社によれば、この製品の試験には、培養された鶏肉に細菌やウイルスが含まれていないこと、細胞を増殖させるために使用される栄養素が安全であること、そして最終的な食肉製品が安全で栄養価が高く、遺伝子組み換え生物、抗生物質、有害な細菌、重金属、その他の不純物が含まれていないことを実証することが含まれているという。
環境・食料・農村地域省の一部である動植物衛生庁は、検査を経てこの製品にゴーサインを出した。FSAの食品政策担当副局長であるジェームス・クーパー氏も培養肉を動物飼料に使用するというイノベーションを歓迎しているようだ。
今後さらなる研究開発が必要となるが、世界的に培養肉は人用よりもペット用の方が先に市場に出回っていくだろう。