今年の米国オリンピックの体操競技の試技会で、例年とは違う顔ぶれが選手団の輪に入ったと話題になっている。通常であれば緊張で張り詰めた会場が、なぜか和やかで選手たちの表情もやわらかい。
それもそのはず、選手団の仲間入りをしたのはモフモフのゴールデンレトリバー「ビーコン」。セラピードッグとして米国体操連盟の新しいメンバーに登録され、「Goodest Boy(最もすばらしい子) 」という称号を持っている。ミネアポリスの大会では信任状まで身につけていた。
AP通信の報道によると、虐待行為をめぐるスキャンダルで揺れている米国体操連盟を立て直し、アスリートを最優先させるための大きな努力の一環としてビーコンを採用した。
体操選手のジョスセリン・ロバーソンは『ニューヨーク・タイムズ』紙に、「セラピー犬の導入は米国体操連盟が私たちにできる最高のことだ」と語っている。
ビーコンの扱い手であるトレーシー・キャラハン・モルナーは元体操選手であり、コーチでもある。彼女はセラピー犬たちの働きは、チームにとって大きな特権だと述べている。
「米国体操連盟がこのスポーツにペットセラピーを持ち込んだことを誇りに思います。それはただ持ち込んだのではなく、心で受け入れたのです」。
ペットセラピーの恩恵はマットの上だけにとどまらない。喪失感で悲しんでいるとき、病気で入院しているとき、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しんでいるとき、学校で悩んでいるときなど、あらゆるストレスフルな状況にある人々にとって、セラピードッグが非常に現実的な効果をもたらすことが研究によって明らかになっている。
セラピー犬の需要はアメリカに留まらず、これから世界中で高まっていくだろう。オリンピックのテレビ中継でセラピー犬を観られる日も遠くない。