彼は家の空中階段の上に寂しげに座り、上体を少し前にかがませ、手を膝の上に乗せて、大きな窓の向こうの夏の木々を見つめている。彼は何かを深く考えているように見える。おそらく人生そのものの意味を問うているのかもしれない。
実はこの「彼」というのは渋いおじさんではなく、もふもふのゴールデンドゥードルなのだ。お尻を階段にのせ、後ろ足を人間と同じように一段下に降ろして座っていたため、そのうしろ姿は、犬というよりは人間にしか見えない。
犬の飼い主であるローレンス・スクテルスキーさん自身も、愛犬の体のなかにまるで人間が入っているかのように感じ、TikTokに投稿した動画には「これからドゥードルについているジッパーを探そうと思います」というジョークがキャプションに付けられていた。
この動画は9200万回以上再生され、動画を観たほかのドゥードルの飼い主もつられて愛犬の人間っぽい仕草を動画にアップしている。
この動画はスクテルスキーさんがニューヨーク郊外の両親の家を愛犬のブラディーと訪ねたときに撮られたもので、ブラディーが階段の上を人間のように座っているのをその時はじめて目撃した。
しかし、ブラディーにはほかにも人間のような行動を取ることがあり、ある日スクテルスキーさんが仕事から戻るとブラディーはスクテルスキーさんのベッドの上で、毛布を自分の体にかけて寝ていたそうだ。
ドゥードル種専門のドッグトレーナーであるコリン・ギアハートさんは、「ゴールデンデュードルは非常に繊細で頭がよく、人間の心を読む力に長けている」と話す。
TikTokのコメント欄には、デュードルが人間っぽいのはそのボディランゲージだけではなく、目の表情も独特だからだという意見もある。大きな瞳と、上下によく動く眉毛が感情表現をより豊かにしており、目が合うといつも何か言いたげな顔つきをしていることが多いという。
デュードルが人間らしいと思われる理由はおそらく科学的にも説明ができそうだが、見た目が人間に似ているからと言って犬の特性が失われたわけではない。専門家は人間側が勘違いをせず、犬としてきちんと扱ってやることが大切だと述べている。