米国疾病予防管理センター(CDC)の報告によると、テキサス州の酪農場で、乳牛の生乳を飲んだ猫たちが集団で死亡した。
猫たちが飲んだのは、ウイルス検査で鳥インフルエンザ陽性となった牛の低温殺菌されていない初乳と牛乳で、致死的な全身性インフルエンザ感染症を発症した。
当初、猫たちには抑うつ精神状態や、硬直した体の動き、運動失調(協調運動障害)、失明、旋回運動、大量の眼鼻汁などの症状が見られたと報告書は述べている。
また、検査では神経学的な影響も見られた。病気にかかった牛の生乳を与えられた約24匹の猫のうち、約半数が3月19日から3月20日の間に死亡した。
死亡した猫のうち2頭から採取された組織サンプルから、HPAI H5N1ウイルス陽性であったことが判明した。
感染した牛の低温殺菌されていない生乳の中には「ウイルス核酸」が多量に含まれているため、今回の猫の感染経路は生乳であるとほぼ断定されている。
猫に限らず、人間にも好んで生乳を飲む人がいる。スーパーなどで販売される牛乳は、政府の規制により低温殺菌することが義務づけられているが、酪農家から直接生乳を買い求めて飲む人はかなり危険に晒されている。
鳥インフル拡大を受けて、政府は酪農家に殺菌していない生乳の販売を規制している。今のところ生乳を飲んで健康被害を訴えている人はいないが、感染した牛との接触で酪農家が1人感染したとの報告がある。
人への感染拡大を防止するため、牛乳は必ず低温殺菌されたものを消費するよう政府は呼びかけているが、生乳愛好家はそれでもなお反発しているようで、規制は前途多難になりそうだ。