
高齢になっても、犬と触れ合う暮らしを続けたいと願う人は少なくありません。しかし、体力や住環境、家庭の事情から、その思いを形にできない場合もあります。
施設でのドッグセラピーは、「犬と家で暮らす」以外の関わり方を示すひとつの選択肢です。
取材協力/介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)ニチイホーム 八幡山
老いの時間に、そっと寄り添う存在―ドッグセラピーの現場を訪ねて

お話を伺ったのは、「ニチイホーム 八幡山」(左)ホーム長 若松 悠生さん (右)機能訓練指導員 田中 尚子さん
「ワフトは入居者さんだけでなく、 私たちスタッフにも癒しと活力を与 えてくれているんです」と若松さん。
セラピー犬・ワフトの1日のスケジュール

「ニチイホーム 八幡山」二代目セラピー犬のワフト(4歳)
ニチイホームのセラピー犬はすべてオーストラリアン・ラブラドゥードル。アレルギーを引き起こしにくく、抜け毛の少ない人懐っこい性格の犬種。
【午前】
- 集団での体操に同席
- リハビリへの参加
【午後】
- リハビリへの参加 (毎週土曜日)
- ドッグセラピー
- 入居者へ配布物をお渡しする際に一緒に居室へ訪問
すべて機能訓練指導員による指導。そのフォローとして参加。リハビリが無い日は、玄関(面会)対応、お客様が事務所へ来られた際の対応
日常の中に自然に溶け込むドッグセラピー

東京都世田谷区にある介護付きホーム、ニチイホーム八幡山では、セラピー犬としてオーストラリアン・ラブラドゥードルのワフトが日常的に施設内で過ごしています。
ここで行われているドッグセラピーは、特別な演出や強い刺激を伴うものではなく、日々の暮らしの中に自然に組み込まれている点が特徴です。
犬がそばにいることで、入居者の表情が和らぎ、視線が自然と向けられる場面が見られます。無理に声をかけなくても手が伸び、体が犬の方へ向く。
その変化はささやかなものですが、日常の中では確かな違いとして積み重なっていくそうです。
ホーム長の若松さんは、入居者のこうした様子について次のように話します。
「ワフトがいることで、表情が柔らかくなったり、口角が上がったりする方がいます。こちらが何かを求めなくても、自然に起きる変化なんです」。
犬が生む“動きたい気持ち”――リハビリの現場で

リハビリの場面でも、犬の存在はひとつの役割を果たしています。
「あそこまで歩きましょう」と促す代わりに、「ワフトが待っていますよ」と声をかけることで、行動のきっかけが義務から目的へと置き換わるそうです。
機能訓練指導員であり、セラピー犬の指導を行う田中さんは「無理に頑張るのではなく、ワフトがいることで『あそこまで行ってみよう』という気持ちが生まれるんだと思います」と語ります。
また、犬を介した関わりは、言葉や仕草にも影響を与えていると言います。普段は反応が少ない入居者がワフトの名を呼んだり、体を起こそうとしたりする場面も。
「私たちでは引き出しにくい反応が、ワフトを前にすると見られることがあるんです」という言葉が、その関係性を物語ります。
セラピー犬の幸せも守るために

一方で、犬の負担や安全性への配慮も丁寧に設計されています。
専用の居室でワフトに十分な休息を確保し、日々の衛生管理や適切なしつけを行うことで、セラピー犬としてゆとりを保つ環境が整備されています。
一定の年齢を目安に「卒業」の時期を設け、その後は家庭犬としての暮らしにつなげる考え方も、犬のQOL(クオリティー・オブ・ライフ)を重視した運用の一環です。
セラピー犬のワフトは、日々の暮らしを柔らかくしてくれる存在。
ワフトがいることで生まれる入居者のささやかな表情の変化や意識の変化──その積み重ねが、老いの時間に静かな彩りを添えているようです。
セラピー犬の印象を入居者さんに伺いました

(左)初めて施設を訪れた際、犬がいて驚いたというAさん。「当初は心配だったものの、すぐに優しい犬だとわかりホッとしました」。
(中)秋田犬を飼っていたという愛犬家のAさんは「触れ合っていると、心が豊かになっていくんです」とニコニコ。
(右)「ワフトちゃんが夢の中にも出てきて話しかけてくれるんです」とNさん。「おりこうさん」と、自然に手が伸びます。
〈AMILIEチャンネルで動画公開中!〉
「ニチイホーム 八幡山」の施設や、ホーム長 若松さんのインタビューはYouTubeで公開していますのでぜひご覧ください♪
「AMILIE マガジン Vol.12」にも掲載中!無料で読めますので、ぜひ下のバナーからチェックしてみてくださいね♪

ペット愛好家のみなさまに住まいの情報を日々発信中!
