オーストラリアの「パーク・センター・フォー・メンタルヘルス」の研究者らが、猫の飼育が統合失調症の発症リスクを2倍以上に増加させるという研究結果を発表した。
統合失調症は100人に1人が罹患する精神疾患で、幻想や妄想などの陰性症状や、意欲の低下や感情表現が乏しくなるといった陰性症状、また、集中力や記憶力、問題解決力が低下するといった認知機能障害が挙げられ、症状は多岐にわたる。
幼少期の猫との接触はとくにリスクが高く、フィンランドで行われた研究では、7歳未満で猫に暴露された場合、知覚異常や統合失調症、社会的快感消失のスコアが高くなることが報告されている。
英国の別の研究では、幼少期(4歳と10歳)と13歳の子供において、猫との接触と精神疾患に関連があることがわかった。
なぜ猫が人の精神疾患を招くのか?その原因となるのは、猫の体内に潜む寄生虫「トキソプラズマ・ゴンディ」だ。トキソプラズマ症は、世界的に感染の多い病気で、新生児が感染すると失明や視力低下、知的障害、痙攣などを引き起こす危険がある。
また、脳が発達過程にある子供がトキソプラズマに感染すると、統合失調症などの病気を招く恐れもある。実際に精神分裂病のいくつかの症状が抗寄生虫薬によって回復した例があり、トキソプラズマ感染が精神疾患症状の根本原因であるという可能性を示唆している。
トキソプラズマ寄生虫は外で感染するため、外に放し飼いにしている猫は体内に寄生虫を持っている可能性が高い。その寄生虫や卵は猫の排便によって体外に出され、人間や他の動物に感染してしまう。
猫との接触と統合失調症の関連についての研究はまだ決定づけられたものではなく、今後さらに詳しく関連性について調査が行われると思われる。
飼い猫をすぐに手放すという行動に走るのではなく、まずはトキソプラズマ感染について知識を深めることが飼い主に求められる。糞の始末はもちろんだが、飼い猫を外に出さないことが最も大切だ。
猫好きの人々からは、トキソプラズマよりも猫と触れ合えないことの方が精神崩壊につながると懸念する声も上がっている。正しい知識を身につけて行動すれば、過度に恐れる必要もないだろう。