フランスのパリで乗客の飼い猫が電車に轢かれて死亡するという痛ましい事故が起きた。その事故は今年1月にパリ市内のモンパルナス駅で起こったのだが、鉄道会社の対応によっては、猫の死を防ぐことができたのではないかと考えられている。
その日、飼い主のジョージアさんは15歳の娘とともにボルドーへ旅行へ行く予定で、移動用カバンに飼い猫のNekoを入れていた。しかし、Nekoは駅構内でカバンから逃げ出し、駅で停車していた電車の下に潜り込んでしまった。ジョージアさんは駅員に電車の出発を遅らせて猫を救出してほしいと頼んだが、「それは鉄道ではなく飼い主側の問題で、たかが猫1匹のために電車の出発を遅らせられない。ヒモをつけておくべきだった」と拒否されたそうだ。
ほかの駅員はジョージアさんを助けようと耳を傾けたものの、20分にわたる必死の交渉もむなしく電車は時刻通り発車し、線路上にいたNekoはジョージアさんの目の前で体を引き裂かれて死んでしまった。
悲しみに打ちひしがれるジョージアさんと娘さんに鉄道会社は無料でボルドーまでの切符を提供したが、それだけで彼女らの悲しみと怒りは収まらなかった。
鉄道会社は「出発時に電車の下に本当に猫がいるのか確認できなかった。猫が死んでしまったことは悔やまれるが、線路に降りて電車の下の猫を見つけることは非常に危険で飼い主が感電して命を落とす恐れもあった」と説明している。
この事故を受け、ジョージアさんは動物の権利保護団体とともに鉄道会社に対して訴訟を起こした。6月の判決で「やむをえず飼い主に苦しみをもたらした」として、鉄道会社はジョージアさんに450ユーロ(約7万円)の賠償金を支払うよう命じられた。
しかし、保護団体は鉄道会社は「やむをえず」ではなく、動物の死を招くとわかっていて電車を発車させたと訴え、750,00ユーロ(約1170万円)以上の罰金あるいは5年以下の懲役を求めた。
動物権利保護の活動家たちは鉄道会社への抗議の声を高めるため、オンラインで署名を募っており、現在3万3000以上の署名が集まっている。今後、問題が大きく取り上げられるにつれ、鉄道会社がどういった対応をするか注目されている。