初夏の風物詩でもあるホタルは水辺を飛び回り、夜になるときれいな光の演出で私たちの目を楽しませてくれる。
しかしそんなホタルを食べてしまったカエルの姿をとらえた動画が話題になっている。
動画では、窓の冊子にしがみついているカエルのお腹がホタルのように光って点滅している。どうやら丸飲みしてしまったようで、お腹の中でまだホタルは生きている様子だ。
虫を食べるカエルがホタルを捕食するのは当たり前かもしれないが、体に害はないのだろうか?人間で言うと誤って電池を飲み込んでしまったような感覚だ。
ホタルは複雑な化学反応を利用してお腹を光らせることができる。下腹部にある特別な発光器官にはルシフェラーゼという酵素と、ルシフェリンという化学物質、アデノシン三リン酸(ATP)という生物発光酵素が含まれている。そこに酸素が加わると化学反応が起こり、光が発生するのだ。
ホタルが光を放つ理由はさまざまで、種類や年齢によって異なる。成虫になったホタルの中には、独自の発光パターンで同じ種類の個体を識別したり、点滅の速さを変えて仲間を引き寄せたりするものもいる。
また、この光は捕食動物に対する抑止力にもなる。毒をもつ毛虫の鮮やかな模様と同じように、ホタルの腹部の閃光は相手に「食べると毒だよ」と知らせる文字通りの「警告灯」なのである。
北米に生息する約2,000種のホタルのうち数種は、ルシブファジンという非常に毒性の高い防御ステロイドを体内で生み出し、鳥やカエルなどの爬虫類にとって致命的となりうる。
この動画に映っているカエルがホタルを食べて無事だったかは不明だが、有毒なルシブファジンを含まないホタルを食べたか、あるいはカエルが毒素を無毒化させる何らかの免疫を持っていたかもしれない。
おそらくホタルを食べたカエルは自分の体がなぜチカチカ光っているのかわからないまま、眠れぬ夜を過ごしたことだろう。