アイオワ州マーシャルタウンにある墓地「リバーサイド・セメトリー」にはいつも野生のガチョウが群れをなして暮らしている。
しかし、ブロッサムという名前のメスのガチョウだけはいつもひとり寂しそうに過ごしている。ブロッサムにはかつてバドという愛するパートナーがおり、2羽はどこに行くにも一緒だったのだが、悲しくも昨年夏にバドは亡くなってしまった。
伴侶の死を受け入れられないのか、ブロッサムは墓地の周りをひとりで歩き回り、窓ガラスや墓石に反射して映る自分の姿をバドだと勘違いして覗き込んだりしていた。
そんなブロッサムの姿を見て不憫に思ったセメトリーの管理者は、ブロッサムに話しかけたり餌をあげるなどして見守った。ガチョウの繁殖期になればきっと本能的に新しい相手を見つけるだろうと期待していたが、それでもブロッサムはバドのことを忘れられない様子だった。
ついにはストレスと寂しさでセメトリーの事務所のドアをくちばしで突いたり、ドアの前でフンをするといういたずらまでするようになり、見かねた管理者はある行動を起こした。セメトリーのフェイスブックページでブロッサムのパートナーを募ったのだ。
「リバーサイド・セメトリーで私のライフパートナーになってくれるガチョウを探しています。ここではすばらしい湖で泳げるし、美味しい食べ物があって、友達もたくさんいます。オフィスを覗くと変だけど親切な人間がいて、美味しいおやつをもらえるのよ。私は若々しくて冒険好きで元気いっぱい。人からは美しいって言われるの」と、まるでブロッサムが話しているような口調の投稿文を寄せた。
投稿後まもなく、管理者のもとにある家族から連絡が来た。その家族のもとにもパートナーを失った1羽のオスのガチョウがいた。フランキーという名前のそのガチョウは、同じ悲しみを抱えるブロッサムの良きパートナーになれるのではないかと両者は希望をもった。
バレンタインデーの日にブロッサムとフランキーは初対面を果たしたそうだ。対面してどうだったかはまだ報告されていないが、2羽のロマンスが成立したことを願いたい。