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【獣医師監修】猫への蚊取り線香の影響は?知っておきたい注意点と虫除け対策

私たち人間は蚊に刺されると強いかゆみが生じるため、できるだけ蚊が室内に入ってこないように、蚊取り線香などで対策をとります。

猫と生活する飼い主さんも、蚊の猫への影響や最適な虫よけについて考えたことがあるでしょう。

この記事では、猫のいる家庭で蚊取り線香などの虫よけを使用する際の注意点について、獣医師である筆者が解説します。

猫も蚊に刺される?注意点やリスクを獣医師が解説

人間は蚊に刺されると、皮膚が赤く腫れ、強いかゆみを感じます。

では猫は蚊に刺されるとどうなるのでしょうか?そもそも猫は蚊に刺されるのでしょうか。

猫も蚊に刺される!

結論からお伝えすると、猫も蚊に刺されます。

猫は被毛に覆われているので、人間と異なり皮膚が露出している部分が少ないですが、耳や額、鼻筋など被毛があまり生えていない部分は皮膚が露出しているため、蚊に刺されやすい傾向があります。

人間は刺された部分が膨らんでかゆくなることが多いですが、猫の場合、人間と同じような反応が起こらないため、赤く腫れて膨らむことは少ないです。

そのため、蚊に刺されたことがわからない場合も多くあります。

蚊に刺されると腫れるなどの負担はありませんが、他の疾患につながる危険性があるため注意が必要です。

蚊へのアレルギー反応に注意

猫は人間のように、蚊に刺されることで赤く腫れあがることはありませんが、蚊刺咬過敏症と呼ばれるアレルギー反応が起こることが知られています。

アレルギーを持つ体質の猫は、蚊に一度刺されただけでも強いアレルギー反応を起こすことがあります。

特に一度でも反応を示した猫は、次回以降も重い症状が出るリスクが高まります。そのため、蚊よけ対策を行う必要性があるでしょう。

顔や耳などがアレルギー反応が出やすい場所とされています。

特に外に出る猫などは蚊に刺される機会も多いため起こりやすいとされていますが、室内で飼育されている猫も、十分な蚊よけ対策をしないと、蚊に刺されてアレルギーが起こる危険性があるため注意が必要です。

フィラリア症に感染するリスク

最も注意しなければならないのが、猫のフィラリアの感染です。

猫のフィラリア症は感染すると死に直結するリスクのある怖い病気です。

今までは犬のフィラリア症ばかり注目されてきましたが、近年猫もフィラリアに感染することがわかりました。

犬と同様、フィラリアの子虫を持つ蚊が猫を吸血することで、猫の体内にフィラリアが感染します。

心臓や肺の血管に寄生することで、呼吸困難などの症状が見られることがあります。

しかし、症状があまり現れないこともあり、突然悪化して死に至る危険性もあります。

フィラリア症の発症の予防は、動物病院で処方される薬にて行えますが、蚊に刺されてフィラリアの子虫が体内に入ることは防げません。

そのため十分な蚊よけ対策が重要です。

感染がわかった場合、症状を緩和するための対症療法を行うことが一般的ですが、よい治療方法が確立されていません。

猫がフィラリアに感染した場合、犬と比較して死に至る危険性が高いとされています。

フィラリアへの感染は、フィラリアに感染している犬や猫と蚊が存在すればどんな環境でも起こり得ます。

室内でも蚊に刺される可能性も考えられるため、しっかり対策しましょう。

<関連記事>
猫にも必要な蚊対策!刺されるリスクと安全な予防法

猫に蚊取り線香は使える?使用時の注意点

猫に蚊取り線香は使える?使用時の注意点
猫が蚊に刺されることで怖い病気になる危険性があることがわかりました。

ここからは、蚊に刺されないための対策について紹介していきます。

日本人に一番身近な蚊よけ対策といえば「蚊取り線香」ですが、猫に蚊取り線香は使用できるのでしょうか。

また、使用する場合どのようなことに注意しなければならないのか、解説します。

蚊取り線香は猫に使用可能

結論から言うと、猫にも蚊取り線香は使用可能です。

ただし、猫はにおいや煙などの環境変化にも敏感な子が多く、薬剤やアロマオイルなどの代謝も人間とは異なるため、体調不良につながる場合も多く、使用には注意が必要です。

全ての蚊取り線香が猫に使用できるわけではありませんので、使用する場合は必ずペット用のものを選択しましょう。

またペット用であっても、蚊取り線香に対する反応には個体差があります。

使用後の体調変化など、普段との変化が見られるようであれば、すぐに使用を中止する必要があります。

煙・におい・成分に注意

まず煙の出る程度や、におい、蚊取り線香に含まれる成分に注意する必要があります。

猫はアロマオイルなどの成分に反応し、体調変化につながる危険性がある場合が多いです。

必ず猫にも使用が可能と記載をされていることを確認しましょう。

例えば、ペット用蚊取り線香などはピレスロイドと呼ばれる殺虫成分が含まれていますが、ペットへは比較的安全とされています。

他にもペット用の蚊取り線香や虫よけグッズも多数存在します。

ペット用と記載されているものであれば、天然由来のものやペットにも安全性が保障されている成分を使用しているケースが多いです。

安全性が高くても、煙やにおいなどが強すぎると猫の体調不良につながる危険性があるので注意してください。

蚊取り線香を使用する場所や時間などを調節して、猫が不快に感じないような配慮が必要です。

猫の体調を注意して観察

どんなに安全性が高いものであっても、蚊取り線香などの薬剤に対する反応には個体差があります。

稀に、体調不良を示すケースも考えられます。

蚊取り線香や虫除けを使うときは、必ず猫のそばにいて体調を確認できる環境での使用に限定しましょう。

また、特に初めて使用する際は、どんな体調変化があるかわかりません。

嘔吐の有無や元気、食欲の有無など、普段と変化がないか注意して観察しましょう。

体調変化が見られた場合はすぐに使用を中止し、落ち着かない場合は受診を検討してください。

猫にも安心な蚊取り線香の選び方と使用方法

猫にとって重大なトラブルを引き起こす危険性のある蚊との接触を防げる蚊取り線香は、猫の健康にとっても有意義なものといえるでしょう。

しかし、どんな有意義なものであっても、使用方法や選択を誤ると健康を害するものに変わってしまう場合もあります。

ここからは、蚊取り線香の選び方や猫にとって安心な使用方法を解説します。

猫にとって安全な成分をチェック!

まず、蚊取り線香の成分に注目しましょう。

多くのものに含まれるのがピレスロイド系の殺虫成分です。

ピレスロイド系の殺虫成分は、昆虫の神経系にのみ作用し、哺乳類である猫に対しては安全性が高い成分です。

安全性は高いですが、大量摂取などをしてしまうと中毒症状や体調不良につながる危険性があるため注意しましょう。

使用場所や使用時間の目安

蚊取り線香を使用すると、煙と線香の香りが発生します。

猫によっては、煙と香りが苦手な個体もいるでしょう。

そのため、使用場所や使用時間には気を付けなければなりません。

愛猫がよくいる場所やお気に入りの場所のすぐ近くで蚊取り線香を使用することで、煙や香りを不快に感じる可能性が高いです。

普段よくいる場所からまずは離れた場所で、蚊取り線香を使用しましょう。

エアコンや扇風機の風向きなどによって、使用場所が離れていても、煙や香りが直接届いてしまうこともあります。

愛猫の変化を見ながら使用場所を調節してあげましょう。

さらに、長時間の使用になると猫に負担をかけてしまう危険性があります。

様子を見ながら短時間から使用し始めることをおすすめします。

また、火を使用しているため、猫にとって好奇心でいたずらをしようとして接触するとやけどの原因になります。

猫の触れられない場所に蚊取り線香を設置するか、使用時は猫にケージに入っていてもらうと安心です。

火災の原因になり得るため、留守中は使用しないよう注意してください。

蚊取り線香以外の虫除け対策を紹介

猫にとって蚊よけ対策として有意義であるということがわかった蚊取り線香ですが、使用の際には注意が必要です。

家の構造や、飼い主さんの生活スタイルによっては使用することが難しい場合もあるでしょう。

そんな飼い主さんのために、蚊取り線香以外の虫除け対策についてもご紹介します。

網戸

古くから利用されている虫除け対策の一つとして「網戸」が挙げられます。

しかし、ペットとの生活の中で、網戸の壊れやすさや使い方が不便に感じる場面も多くありますよね。

最近ではペットと生活している家庭でも便利に使用できる建材が販売されています。

例えば以下のようなアイテムがおすすめです。
  • ペットネット
    ネットにコーティングを施すことで強度がアップされた網戸で、爪の鋭い猫との生活でも安心して使用可能。

    ストッパーを取り付けることもできるため、網戸が開いてしまって猫が飛び出すトラブル対策もできて安心です。

  • リリーブ
    引き戸型の網戸の場合、開けたときに猫が逃走してしまうケースなどを考えると、使用を躊躇してしまうご家庭もあるのではないでしょうか。

    折戸式網戸であるリリーブであれば、開く程度を折戸で調節できるため、安心です。

    また、金属パネルの枠組みを使用しているため、爪をひっかけて倒したり、強風などで倒れてしまうトラブルにつながらないのもポイントです。
このような建材への見直しで、快適に虫除けができる可能性が高いです。

蚊よけ対策や暑さ対策として引き戸型の網戸を使用する際は、猫の脱走などには十分注意してくださいね。

<関連記事>
猫が脱走しにくい玄関の特徴とは?脱走の危険性や脱走防止アイデアを紹介

洋服の着用

露出する皮膚の面積を減らすことも、虫に刺されてしまう原因を減らせるため有効です。

猫用の洋服も多く販売されています。

デザインのかわいい洋服から、皮膚トラブルを予防するようなフィット感が強く実用的なデザインの洋服まで選択肢は様々です。

しかし、こだわりが強かったり、小さな変化にも警戒心を示す個体の多い猫の場合、洋服を着用するまで、少しずつ慣らすなどの対策が必要な場合もあります。

愛猫の性格にもよりますが、洋服の着用が大きなストレスになる可能性もあるため、着用時の行動や体調変化を観察しながら使用する必要があるでしょう。

蚊よけスプレー

家の対策や洋服の着用も難しい場合は、蚊よけスプレーの使用を検討してもよいでしょう。

ペットでも使用できるものであれば蚊よけスプレーも安心です。

ただし、猫の性格によっては匂いや体に吹きかけられたことが気になって、強いストレスに感じてしまう場合もあります。

使用をして、体調変化が見られたり、行動変化が見られたりする場合は使用を中止してください。

猫の安全を充分に考えたうえで対策を取りながら、虫よけ対策ができたらよいですね。

まとめ

まとめ
猫の健康を脅かす危険のある蚊によるトラブルや、蚊などの虫よけ対策について解説させていただきました。

特に猫はこだわりの強い個体も多い動物であるため、安全性だけでなく、愛猫の性格を把握したうえで適した虫よけ対策が取れると安心です。

虫よけ対策によるストレスや、体への負担を除去できるよう、観察を行いながら最適な方法を見つけてみてください。

また、この方法であれば必ず安心という方法は存在せず、負担なく安心に使用できる方法は猫によって様々です。

使用して体調変化や行動変化など、普段との違いが見られたらすぐに受診をするよう心がけましょう。

愛猫が負担なく健康に長生きできるよう、最適な虫よけ対策の方法を見つけられたら良いですね。

この記事を書いたペットとの暮らしの専門家
葛野 莉奈

    獣医師。動物病院、会員制電話相談動物病院などを経て動物病院を開院。

    興味がある分野は、皮膚科や産科、小児科。12頭の犬、3匹の病院猫と生活する。





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