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【専門家監修】猫は秋になると太る?原因・対策や食べさせすぎを防ぐアイデア


「食欲の秋」は猫も人間と同じように食欲が増し、太りやすくなる傾向にあります。

コロッと丸い身体のフォルムが愛らしくも感じますが、猫の肥満はQOL(生活の質)の低下や病気につながるリスクもあるのです。

この記事では、認定動物看護師の資格を持つ筆者が、猫が秋に太りやすい原因・対策や食べさせすぎを防ぐアイデアなどを解説します。

猫が秋に太りやすい原因


猫が秋に太りやすい原因は、大きく以下の5つです。
  • 食欲が増す
  • 運動不足
  • 生活習慣病
  • 避妊や去勢の影響
  • 歳を取ったため

食欲が増す

寒さに耐えるための身体づくりとして、猫は本能的に秋に食欲が増すと言われています。

しかし室内飼いの猫たちは暖房の効いたおうちでぬくぬくと過ごすため、運動不足で脂肪燃焼の機会が減り、太りやすくなってしまうのです。

運動不足

気温の変化が激しい秋は自律神経が乱れやすい時期で、運動する気力も少なくなるでしょう。

そのため、高いところに上る・走る・おもちゃで遊ぶなど体を動かす機会が減り、運動不足で太ってしまうこともあります。

関連記事:【猫の運動不足】年齢や猫種別の適切な運動量とは?|運動不足解消のおもちゃやグッズもご紹介!

生活習慣病

食事・睡眠・運動の中で何か欠けているものがあるだけで、猫も生活習慣病になってしまうことがあります。

例えば、人間のごはんをおやつとして愛猫に与えてしまう・ごはんの量を多くあげてしまうなどのことがあれば、あっという間に生活習慣が乱れ肥満につながるでしょう。生活習慣病は糖尿病・腎不全・歯周病・ガンなど他の病気を併発するリスクも高いと言われています。

避妊や去勢の影響

猫が太る原因の一つに「避妊・去勢」があります。避妊や去勢をするとホルモンバランスの変化や代謝の低下で太りやすい体質になるため、食事管理の仕方が変わるのは一般的です。言い換えれば、「食事管理を徹底すれば肥満は防げる」ということです。

避妊・去勢をした猫が秋に太ってしまうのは、食欲が増えた秋に「食べさせすぎてしまう」ことが大きな原因だと言えます。

歳を取ったため

猫も歳を取ると代謝が悪くなり太りやすいです

秋は食欲が増えたり、気温差によって自律神経が乱れたりして、太りやすく痩せにくい時期でもあります。代謝が落ちた高齢猫の場合、秋はさらに太りやすい季節でもあるのです。

猫の太りすぎに伴うリスクとは?


猫の太りすぎは、以下のようなさまざまな病気や身体への負担を伴います。
  • 糖尿病、心臓病、皮膚病、ガンなどの病気
  • 足腰への負担
  • 関節炎
  • 骨や関節への負担で骨格が変形
  • 身体の重さでさらに運動をしなくなり、運動不足
  • 呼吸しづらくなる
病気や身体への負担が寿命を縮めてしまうこともあります。愛猫の身体にガタが来てからでは手遅れな場合もあるため、愛猫の健康は飼い主さんが責任を持って管理してあげましょう。

太りすぎの猫を襲う怖い病気「肝リピドーシス」とは?

肥満猫が注意すべき病気に「肝リピドーシス」というものがあります。

別名「脂肪肝」とも言い、その名の通り”肝臓が脂肪変性”してしまう病気です。肥満体型の猫が何かしらの原因で3〜7日間絶食状態に陥ると、肝リピドーシスを発症しやすいとも言われています。

肝臓は「代謝・解毒・脂質の消化吸収の助長」などの役割を担っています。肝リピドーシスは、肝臓に沈着した脂肪がこれらの肝臓の機能を低下させてしまうものです。悪化すれば意識障害にもつながり、命に関わる怖い病気です。

まずは太らせないように普段から健康管理をしてあげること。もしすでに肥満気味の場合は、動物病院で獣医や看護師などの専門家たちの意見を交えながら体重・体型管理をしていきましょう。

猫の理想的な体重を知ろう


猫種ごとの違いや個体差によって適正体重は異なりますが、1歳の頃の体重が理想体重と言われています。普通体型の成猫の体重は3~5kgです。

また、一般的に「肥満」と言われるのは、個体・猫種ごとの適性体重よりも15〜20%上回った状態です。

以下では、メジャーな猫種10種類をピックアップして適正体重をまとめました。ぜひ参考にしてみてください。
 
猫種 適正体重
スコティッシュフォールド オス:3~5kg
メス:3~4.5kg
ミヌエット オス:3~4kg
メス:2.5~3.5kg
マンチカン オス:3~4.5kg
メス:2.5~3.5kg
ラグドール オス:6.5~9kg
メス:4.5~7kg
ブリティッシュショートヘア オス:4.5~7.5kg
メス:3.5~5kg
サイベリアン オス:6~10kg
メス:4.5~9kg
ノルウェージャンフォレストキャット オス:5.5~8kg
メス:3.5~5.5kg
メインクーン オス:8~10kg
メス:5.5~7kg
ベンガル オス:4~7kg
メス:3~5.5kg
エキゾチックショートヘア オス:3.5~7kg
メス:3~5.5kg
(参照:みんなの猫図鑑

ただし、猫もそれぞれ体格や遺伝子が違い、適正体重にも個体差があります。そこで、肥満かどうかを判断するのに便利なのが「ボディコンディションスコア」です。

猫の適正体型の指標「ボディコンディションスコア」とは?

「ボディコンディションスコア(BCS)」とは、猫の適正体型がわかる指標です。


(引用:飼い主のためのペットフードガイドライン_環境省

ボディコンディションスコアは「体型」そのものを見ているため、体重を指標にするよりも「肥満かそうじゃないか」を正確に判断しやすいです。

動物病院では、獣医や看護師がボディコンディションスコアをもとに、猫の体型を目視や触診でチェックします。

一般の飼い主さんでも参考にしやすいため、ぜひ愛猫の体型をチェックしてみてください。

猫の秋太り対策7選


ここでは、猫の秋太り対策を7つまとめました。
  • ごはんの食べさせすぎを防ぐ
  • ごはんの量を計算してあげる
  • 室内の温度管理をする
  • スキンシップの時間を増やしてみる
  • 体重・体型の定期的なチェックをする
  • ストレスの少ない環境を整えてあげる
  • キャットタワーやキャットステップなどで運動しやすい住まいづくり

ごはんの食べさせすぎを防ぐ

猫が太るのは「摂取カロリー>消費カロリー」になることがほとんどの原因です。食欲旺盛になる秋でもごはんの食べさせすぎには注意しましょう。

例として「置き餌をしない」方法があります。置き餌は飼い主さんにとっては「決まった時間にごはんを用意する手間を省ける」というメリットがありますが、猫にとっては常に食べ放題の状態になり、太る原因にもなります。

1日に与えるごはんの適正量だけを置き餌するのであればカロリー的には問題ありません。しかし「食べた量を把握できない」「出しっぱなしのためごはんの質が落ちる」といったデメリットもあります。置き餌はできる限りせず、決まったタイミングに決まった量だけあげるようにしましょう。



また、知育玩具を使ってみるのもいいでしょう。
おやつボール」や「パズルフィーダー」はおやつを食べながら運動もできるため、運動不足解消にもつながり、脳も刺激されるのでおすすめです。

ごはんの量を計算してあげる

実は、キャットフードのパッケージ裏に書かれている「与える量」は「理想体重からの適正量」であり、個体ごとの適正量は計算しなければ算出できません。

猫の適正な食事量は、以下の計算式で計算します。
 
安静時エネルギー要求量(RER)(kcal)=体重(kg)×30+70
1日当たりのエネルギー要求量(DER)(kcal)=RER×係数
1日当たりの食事量=DER÷ペットフードに表示された代謝エネルギー(ME)×100
(参照:環境省

しかし、上記の計算式を見て「めんどくさいかも...」と感じた飼い主さんも多いでしょう。愛猫に与えるごはんの量は動物病院で計算してもらうのが安心です。受診時にぜひ相談をしてみてください。

室内の温度管理をする

猫は寒いと感じると動きたくなくなるため運動不足になりやすいです。愛猫の様子を見ながら室内の温度調節をしてあげましょう。

適切な暖房の設定温度は22〜28℃です。湿度も合わせて50〜60%になるように管理してあげましょう。

スキンシップの時間を増やしてみる

愛猫の活動量を増やす工夫として、スキンシップの時間を増やす方法もおすすめです。おもちゃで遊びに誘って動く機会を増やすだけでも、猫にとってはいい運動になります。

猫が好むおもちゃとして、例えば「カサカサじゃらし クモさん」があります。
猫が好きなカサカサ音が鳴り、狩猟本能をくすぐるリアルな動きも猫が気に入るポイントです。


また、バラエティ豊富なおもちゃを用意しておきたい方には「極遊び塾! あれこれ バラエティーパック」がおすすめです。
動き・音・感触・光沢・羽根や香りが異なったおもちゃが5種類入っており、飽きにくく楽しく遊べます。

関連記事:【猫の運動不足】年齢や猫種別の適切な運動量とは?|運動不足解消のおもちゃやグッズもご紹介!

体重・体型の定期的なチェックをする

愛猫の秋太りを防ぐために、自宅での体重測定や動物病院の検診・受診時の体重測定で定期的に「体重・体型」をチェックをしておきましょう。

その際、ぜひボディコンディションスコアを参考に体型チェックをしてみてください。体重に変化はなくても、ボディコンディションスコアに変化が見られることがあります。

ストレスの少ない環境を整えてあげる

猫は繊細な生き物のため、ちょっとの環境の変化や居心地の悪さがストレスとなり、食欲や運動意欲などに影響することも多いです。

猫が暮らす場所はストレスの少ない環境を整えてあげましょう。例えば、家の中を常に清潔に保つ・愛猫が嫌がったり怖がったりするものをなくす・トイレをよくチェックして常にきれいにしてあげるなどができます。

キャットタワーやキャットステップなどで運動しやすい住まいづくり

猫は、室内で高いところに上ったりおもちゃで遊んだりすることが良い運動になります。室内で運動しやすい住まいを整えることで運動不足も解消され、秋太り対策にもなるでしょう。

キャットタワーキャットステップを室内に設置し、猫が自然と運動できる環境を整えてあげるのがおすすめです。

関連記事:キャットステップはマグネットで貼る時代?壁に穴を開けないキャットステップのすすめ
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猫の太りやすさ・食べ過ぎには別の原因が隠れている場合も


猫が秋に太ったり食べ過ぎてしまったりする背景には、以下のような病気が隠れている場合もあります。
  • クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)
  • 糖尿病
  • 成長ホルモン過剰分泌
  • 脳炎・脳腫瘍などの脳の障害で食欲のコントロール不能
  • ステロイド薬・抗ヒスタミン薬など薬の副作用
上記に挙げた病気は、症状として「太りやすくなる」「お腹が膨らむ」「食欲が増す」というものが出てきやすい病気です。

「秋だから」という理由だけではなく、このように病気が原因で太ることもあります。普段から愛猫の様子をよく観察し、おかしいところがあればすぐに病院に連れて行ってあげましょう。早期発見のために定期健診の予定を組んでおくのもおすすめです。

愛猫の秋太りからのダイエットに取り組むときに注意したいこと


そもそも猫は、自分の意思で「痩せたい」とは思いません。そのため、飼い主さんが意志を強く持って体重管理・食事管理・運動しやすい環境づくりなどを行なっていく必要があるのです。

ただし、独自の判断でダイエットさせると、肝リピドーシスなど他の病気を発症させるリスクもあります。だからこそ、動物病院で相談しながら一緒にダイエットを進めていくのがおすすめです。

また、フードはインターネットでも購入できますが、正しい知識を持った獣医師に処方してもらうのが最善策です。運動のさせ方や体重・体型・食事管理など、自分たちで判断がつかない場合は、専門的な知識を持つ人たちに相談するのがいいでしょう。

愛猫の健康のために、出来る秋太り対策からはじめてみよう

猫が秋に太る原因は「摂取カロリー>消費カロリー」になることがほとんどです。食べさせすぎ防止・適度な運動・生活習慣を整えるなど、出来る対策から少しずつ取り組んでみると良いでしょう。

飼い主さんが愛猫と長く健康的に暮らせるよう、この記事が参考になれば幸いです。
 



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