「今日起こったこと、そしてこの1週間を通して起こったことは悲劇としか言いようがなく、ニューヨーク州の恥です。役人たちは私が麻薬の売人であるかのように私の家を家宅捜索し、可愛がっていたリスとアライグマを許可なく殺しました。そんなことをする資金があるなら、どうして通り沿いにある壊れた橋を直せないのか」
いつもは笑顔でSNSの動画に映っているロンゴさんは、怒りと悲しみをあらわにしてNewsNationの司会者クリス・クオモに語った。
その日、彼が7年飼っており、SNSのスターでもあったリスのピーナッツが、狂犬病検査のためにニューヨーク州環境保全局によって安楽死させられたのだ。
その2日前、ニューヨーク環境保全局はニューヨーク州パインシティにあるロンゴさんの自宅からピーナッツを押収した。当局によれば、この押収は「狂犬病を媒介する可能性のある野生動物をペットとして違法に飼育していることについて、一般市民から安全でない可能性があるとの複数の通報があった」ためだという。フレッドと呼ばれるアライグマもロンゴさんの家から押収され、安楽死させられた。
ロンゴさんはこの悲劇について当局から何も知らされず、安楽死についてはニュースを通じて知ったと言う。
もともとピーナッツは保護されたリスで、リスの母親が車にはねられて死んでしまったのでロンゴさんが引き取って世話を始めた。成長して野生に戻そうとしたが、1日半後にしっぽが半分なくなった状態で玄関に座っているのを見つけ、ペットとして飼うことにした。
ピーナッツとの生活を紹介しているインスタグラムは72万人以上がフォローする超人気アカウントとなったが、メディアに露出し過ぎたことが、今回の悲劇にも繋がってしまった。
保護という目的であれ、一般人が野生動物を飼うことに対して批判的な人も少なからずいる。まれではあるが、リスが狂犬病を媒介することがあり、リスが人間にウイルスを感染させる危険性もゼロではない。
狂犬病をもつリスの一般的な症状としては、ぐるぐる歩き、転倒、よだれ、攻撃性、発作や筋肉の痙攣などがあるようで、ピーナッツが狂犬病をもっていたとは考えにくい。
しかし、ニューヨーク環境保全局は、野生動物を飼うことは違法であり、狂犬病の検査も必須であるとし、ピーナッツの押収に踏み切ったのだ。リスの狂犬病検査のためには脳内の解剖を伴うため、安楽死をさせなければならなかった。
ピーナッツの検査結果はまだ公表されていないようだが、この一連の出来事がニュースとなり、全米やアメリカ国外から追悼や当局への批判の声が殺到している。
ロンゴさんは現在、悲しみに暮れながらも前に進もうとファンドレイジングを始めた。自身が立ち上げたネグレクトされた動物を助けるための非営利団体「P'Nuts Freedom Farm Animal Sanctuary」を通して動物保護に力を注いでおり、すでに資金は1500万円を超えている。
放置され、ホームレスとなった動物たちが人生のセカンドチャンスを得るためのシェルターとして、すでに300匹以上の動物を救っており、彼の活躍をピーナッツも天国で喜んで見ているはずだ。