真冬でもあたたかい気候が続いていたが、1月になって欧米は大きな寒波に襲われた。急激な気候の変化に野生動物もとまどっているようだ。
マイナス20度を下回る極寒のなか、アイオワ州のコーネリア湖の周りを散歩していた男性は、湖で動けなくなっている1羽のメスの白鳥を見つけた。
湖の表面が凍ってしまったために、仲間と一緒に飛び立つことができずに固まっていた。すぐに郡の野生動物保護センターのメンバーが駆けつけ、命の危険を承知で氷の上を歩いて白鳥に近づいた。
ナイフを使って白鳥の周りの氷を注意深く切り、白鳥を氷の呪縛から解き放つことに成功した。
保護センターの男性はすぐに白鳥を屋内に運んで温め、体力の回復を待った。
白鳥は渡り鳥なので通常は冬が来る前にあたたかい南の地域へと移動する。しかし、水が凍っていない場合はその場にとどまることもあるという。おそらくコーネリア湖にいた白鳥の群れは寒波が来る直前に渡って行ったが、悲しくもその1羽だけが出遅れてしまったようだ。
しかしその白鳥は完全に行き場を失ったわけではない。コーネリア湖からさほど遠くない場所にある野鳥のサンクチュアリーで、冬の間保護されることになった。そのサンクチュアリーは今回の白鳥のように、タイミングを逃して渡れなかった鳥たちが安心して冬を越すための場所でもある。
白鳥はサンクチュアリーでの生活にも慣れ、同じ境遇の鳥たちとともに元気に過ごしているようだ。春が来たらまた仲間たちと再会し、冬の寒波が来る前に大空へ羽ばたいてくれることを願いたい。