イタリア人のガイラ・ダモッソさんは2つ家を所有しており、普段は都市部の家に住み、週末は郊外にある家を別荘のように使っている。そのため、郊外の家の玄関に据え付けられた郵便受けに手紙や荷物が入っていることはめったにない。
しかしある日、ダモッソさんが郵便受けを開けると、なかには苔や小枝、羽毛の束が詰まっており、よく見ると中央に小さな卵が6個ほど隠されていた。
今まで鳥が郵便受けに巣を作ったことなどなかったので、ダモッソさんと彼女の家族はびっくりしたが、これから誕生する小さな命にワクワクする気持ちの方が大きかった。
郵便受けには「なかに鳥の巣があるので何も入れないでください」というメモを貼り、母鳥と赤ちゃんのプライベートスペースに変えて優しく見守り続けた。
数週間後、ダモッソさんが中をのぞくと元気なヒナたちが誕生しており、母鳥は忙しそうに餌を探してはヒナたちに運んでいた。
ダモッソさんは母鳥がいないときにそっと郵便受けを開け、かわいいヒナたちの成長を喜んだ。ピンクの肌だったヒナは週を追うごとに大きくなり、ふわふわの黒い羽毛に覆われていった。そしてもうすぐ巣立ちという頃には、丸々と太ったヒナたちは郵便受けのなかでぎゅうぎゅう詰め状態になっていた。
無事にヒナたちが巣立ち、郵便受けはまた空っぽになるかと思われたが、巣作りは1度きりで終わらなかった。母鳥はその場所が気に入ったらしく、また新たな卵を産んで子育てにいそしんでいるそうだ。