「私の犬が湖に落ちて溺れているんです!今すぐ助けに来てください!」
12月7日午後6時20分頃、ミネソタ州のダルース消防署に1本の電話がかかってきた。通報したのは犬の飼い主で、極寒のスペリオル湖で溺れかかっている愛犬の救助を取り乱した声で求めた。
飼い主によると、湖にかかる橋付近で犬が鎖から外れて水中に飛び込んでしまった。湖の水は氷水のように冷たいだけでなく、水面は風の影響で荒れており、2.5メートルもの波が幾度と犬にかぶさっていた。
一刻を争う状況のなか、駆けつけた消防隊はアイス・レスキュースーツを身につけて入水。限られた光の中で、黒い毛の犬の姿を見失わないように必死で犬に近づこうとした。橋の上ではほかの消防員が水中の消防員に大声で指示を出し続けた。
どうにか犬の首輪をつかむのに成功し、犬を安全な場所に運ぼうとしたが、犬の体が大きく、極度に怖がって体を硬直させていたため、頭を水面から出すのは容易ではなかった。
消防隊員と犬は橋の下から湾に向かって押し流されていったが、到着した膨張式救助艇によって無事に海から引き上げられた。
犬は毛布で覆われ、すぐに飼い主のもとへ戻された。犬は疲れていたもののすぐに自力で歩けるようになり、飼い主の車に飛び乗るときにはしっぽを振っていたようだ。
しかし、何よりも飼い主が無事であったことが非常に大切だ。というのも、救助要請の際に犬の飼い主は愛犬を追って湖に飛び込もうとし、周りにいた人と消防士が止めたのだ。運河の波と気温の状況を考えると、適切な訓練と装備なしに入水すると命に関わる事故につながっていただろう。
「このような状況で救助に向かわなければ、溺れる犬を見つけた人や飼い主が自ら行動を起こす可能性が高いことを、私たちは消防で学んできました」と消防署は述べた。
ペットが危険な状況にあるとき、人が咄嗟にとる行動が重大な悲劇を招く恐れがあることを肝に銘じなければならない。