「世界一孤独な羊」が窮地から救出されたというニュースがイギリスから届いた。
BBCによると、フィオナと名付けられたその羊は、スコットランドのスコティッシュ・ハイランズの海岸でカヤックをしていたジュリアン・ターナーさんによって見つかった。2年以上前に同じ場所でその羊を見たという情報があり、おそらくフィオナはその海岸に2年以上独りぼっちで暮らしていたと思われる。
フィオナが見つかった場所は、崖のような岩壁がそびえたつ海岸線の下にある小さなビーチで、人間が容易に降りていけるところではなかった。
フィオナの救出を求める嘆願書には5万人以上が署名したが、CBCラジオによると、フィオナの飼い主である沿岸警備隊とスコットランド動物虐待防止協会(SPCA)は、フィオナのいる場所は危険過ぎると判断し、救助活動を躊躇した。
それでも諦めなかったのは、YouTuberのグレーム・パーカーをはじめとする5人の農民グループ。彼らは自分たちの力でフィオナを救出する計画を立てることにした。
農民たちはウィンチを取り付けた全地形対応車で現場へ向かい、崖の中腹(1152メートル以上)からワイヤーロープを使って下まで降りて羊を一緒に連れ戻した。
「現場に着いたとき、フィオナを見つけられる保証はなく、頼りにしていたのはドローンの映像だけでした。でも私たちがそこに降りたとき、たしかにフィオナは洞窟の天井のごつごつした穴から差し込むわずかな日光の中にいたのです」とパーカーはCBCラジオで語った。
フィオナの救出劇は成功に終わったが、保護したフィオナをどうするかという問題が残った。
動物愛護団体の「アニマル・ライジング」は、フィオナは現在いる農場ではなく、サンクチュアリーに連れて行くべきだと主張した。
同団体は11月頭にフェイスブックで公開されたビデオで、フィオナが 「平和で安心して余生を過ごせる」場所ではなく、農場に行き着いたことへの失望をあらわにしている。
もともと同団体は、数日かけて羊との信頼関係を築いた後にフィオナを救出しようと計画していたが、農民グループに出し抜かれたため納得がいかないようだ。
人間同士の関係はギクシャクしているが、当の本人であるフィオナは「世界一孤独な羊」という汚名を返上し、ほかの羊や動物たちとのんびりと暮らしているようだ。