元IT関連企業の管理職だったオーストラリア人男性、ティモシー・シャドックさんとその愛犬が太平洋で遭難し、3ヶ月間漂流していたが、7月12日にメキシコのマグロ漁船によって救出された。
シャドックさんは今年4月に二艘の小舟を連結させたカタマランと呼ばれるいかだ型の舟でメキシコのバハ・カリフォルニア半島のラパスを出発し、約6000キロ離れた仏領ポリネアシアを目指した。しかし航海の途中で嵐に遭遇し、電気が途絶えて航行不能となった。
灼熱の太陽の下で90日もの間、貯めた雨水で水分を補給し、釣った生の魚を食べて飢えを凌いだというシャドックさん。栄養不足と脱水症状を起こしていたものの命に別状はなかった。一緒にいた愛犬のベラは痩せた様子もなく、シャドックさんよりもはるかに元気だった。
3ヶ月の漂流をともに乗り越えた2人だが、シャドックさんはベラを手放す決断をした。彼はこれからまた海へ冒険へ出かけるつもりだが、ベラをまた同じような危険な目に遭わせる可能性はゼロではない。子犬の頃から一緒にいるので別れは辛いが、メキシコにベラの里親になりたいという家族が見つかり、ベラはその家族と暮らした方が幸せだろうと覚悟を決めた。
ベラ本人にとっては、普通の家庭で犬らしい生活を送りたいのか、またはシャドックさんとずっと冒険を続けたかったのか、どちらが本心なのか気になるところだ。しかし、離ればなれになってもシャドックさんがメキシコに寄港する機会があれば、2人は顔を合わせて関係を継続させることができるだろう。