テキサス州サンアントニオ市にある動物保護施設に一本の電話がかかってきた。電話の相手は慌てて取り乱した様子で助けを求めている。その人は電車の線路の上に1匹の犬が身動きの取れない状態でいるのを見つけたのだ。その犬の散歩紐が偶然線路に引っかかってしまったのか、誰かが意図的にくくりつけたのかはわからないと言う。
施設の職員がすぐさま現場に向かうと、線路の上にラブラドールレトリバーが横たわっていた。犬に近づいてみると散歩紐は枕木に釘で打ち付けられたような状態になっており、引っ張れば引っ張るほどきつくなっていった。犬は非常に怖がり、もう人間を信じられなくなる寸前の精神状態だった。
職員はやさしく声をかけながら急いで紐を首輪から外した。しかし安心したのもつかの間、線路に振動を感じ、電車が彼らに近付いていることに気づいた。すぐさま犬を抱えて線路の外へ走り、安全な草むらに避難した瞬間、電車が勢いよく彼らの目の前を走り去っていった。あと数分救出が遅れていたら、間違いなく犬の命はなかっただろう。
職員は犬を抱き抱えながら安堵のため息をつき、犬を施設へと連れていった。
「ラッキー」と名付けられたその犬は、最初は人を怖がっていたが次第に心を開き、周りの人々にフレンドリーに振る舞うようになった。彼のストーリーと里親募集の情報をFacebookに掲載すると、思いのほか多くの反応が返ってきた。面接を経て最終的に里親となったのはMr.Cという慈愛に満ちた穏やかな男性。ラッキーは新しい家で「デューク」と呼ばれ、安全で幸せな毎日を送っているようだ。