
シニア期に入ると、体の不調や行動の変化が少しずつ現れます。でも実は、その前からの備えが とても大切。
健康なうちにできる習慣づけや住まいの工夫、動物病院とのつきあい方など、 老犬と安心して暮らすために、今からできることを考えてみましょう。
前半はこちら▼
【獣医師監修】愛犬が「老犬」になる前に。覚えておきたいこと・工夫
【獣医師監修】愛猫が「老猫」になる前に。覚えておきたいこと・工夫

監修/獣医師 早乙女真智子先生
「マリーナ 街の動物病院」院長。日本獣医畜産大学 卒業。2006年に「マリーナ 街の動物病院」を開院 し、地元密着の動物病院として地域の1次診療を担っている。趣味は登山とバレーボール。
※記事の内容は老化の変化の一例を掲載しています。個体の性格や健康状態、または環境などによってさまざまですので、気になることがありましたら獣医師にご相談してください。
愛犬・愛猫の介護で大変だったことを教えてください
介護を経験したことのある「犬とのくらし部」「猫とのくらし部」メンバーに聞きました。
犬とのくらし部 D011/大阪府・Tさん きなこくん(当時13歳)

小さいころから目が悪く、老犬になってからは義眼。視力を失う前の記憶を頼りに、同じ場所をぐるぐる回るように。掘りごたつの前に転落防止の対策をしても落ちることがありました。
犬とのくらし部 D002/東京都・Nさん チョビくん(当時16歳)

ほぼ毎晩、夜中から明け方まで悲鳴のような夜鳴きをしていました。どこか痛いのではと、聞いていてつらかったです。寝ながら排泄もするので、私も眠れない日が続きました。
猫とのくらし部 C002/大分県・Fさん 美海ちゃん(16歳)

2年ほど前、リビングで寝ていたときは、毎晩のように鳴いていたのですが、顔を見せると鳴き止みました。現在は、娘と寝るようになり安心したのか、夜鳴きは減ったように感じます。
猫とのくらし部 C021/東京都・Fさん ロロくん(当時19歳)

トイレの縁の高さを乗り越えられなくなったり、トイレの中に倒れ込むようになりました。そのうち、痙攣とおもらしを繰り返すようになり、助けられないことがつらかったです。
犬猫の認知の低下にはどんな傾向があるの?

昼と夜が逆転する
体内時計を調整する脳の働きが弱まるため、昼夜の区別がつきにくくなります。そのためリズムが崩れて夜に活発になる子が多いようです。
徘徊行動
さまざまな要因がありますが一 例として、脳の老化で空間認知や位置感覚などの働きが弱まり、無目的にうろうろ、ぐるぐるしてしまう行動です。
呼びかけに応えない
聴覚の低下という可能性もありますが、自分の名前や飼い主の声といった意味のある音を認識する能力が 低下しているケースもあります。
家の中で迷う
どこを歩いているかがわからず、家具の隙間などに頭を突っ込んでしまう子も。後退することもできず、そのままフリーズしてしまうこともあるそう。
トイレの失敗
トイレの場所や排泄の手順を忘れたり、尿意に気づきにくくなります。足腰の衰えでトイレにたどり着けず、間に合わない場合もあります。
夜鳴き
体内時計の乱れのため、夜に活動スイッチが入ってしまいます。視覚・聴覚の低下や、不安感も重なり、夜間に鳴いて飼い主を求める行動を起こします。
愛犬・愛猫の認知機能の低下に対して飼い主さんができること

ぐるぐるまわる子には
ビニールプールといった安全な囲いのなかであれば、回転している最中に頭をぶつけてもケガを防ぐことができます。
ケージを使用する場合は、硬い場所に保護材をつけてあげましょう。老犬・老猫にとって適度に狭いとこ ろは、安心・安全な部屋になります。
夜鳴きや、よく吠えるようになった子には
夜鳴きや吠えの反響音は、犬猫自身の不安を大きくし、状況がより悪化する可能性があります。
声の反響を防ぐフェルト系の吸音パネルやシートを壁に貼ってあげると、飼い主さん・老犬・老猫ともに快適です。
あわせて外に声を漏らしにくくするために、窓や扉の防音性も高めて。
トイレを失敗してしまう子には
犬は寝床とトイレが近い方がよいですが、あまりに近すぎると混乱するので、適度な距離感が必要です。
猫の場合、トイレの出入口の高さが乗り越えられない場合もあるので、出入口が低いトイレに変えてあげましょう。失敗を考えて、掃除しやすい床にしておくことも◎。
家の中で迷子になってしまう子には
行き止まりにゲートを設置したり、すき間を防いだりして迷子リスクを減らしましょう。
犬・猫は室内のルートを身体で記憶していると言われているので、シニア期になってから部屋の模様替えや家具の追加などはできる限り避けて。
ペットの認知機能の低下は医療やサービスに頼るようにしてほしい

飼い主さんの心身ともに負担のかかるペットの認知機能の低下。 そんな時こそ追い詰めないでほしい、と早乙女先生は語ります。
認知機能の低下に対して、予防や対策はありますか?
症状が出てからでは、認知機能の低下の進行を止めることは難しいです。シニア期になる前から、脳の健康をサポートするようなサプリメントを持続的に摂取させることが効果的です。
例えば、症状が出ると思われる歳の2年ほど前から予防を始めるとよいと言われています。
一部の犬種は認知機能が低下しやすいということがわかっていますが、個体差は大きく、日頃のケアで予防や早期発見につなげることもできます。
飼い主さん自身がラクになる方法を知っておいて
もともとよく吠える犬種(ダックスフンド、パピヨン、ポメラニアンなど)の認知機能が低下すると、飼い主さんが吠え声に悩まされるケースが多くみられます。早めに室内に吸音材を取り入れることをおすすめします。
認知機能の低下の症状が出ると、飼い主さんのストレスは大きくなるので、時には動物病院などに預けてリフレッシュすることも必要です。
成犬・成猫のころから獣医師との信頼関係を築いておくと、いざというときに安心して預けることができますよ。
ちょっと知っておきたい認知のはなし

認知行動の低下は、 犬の方が目立つ と言われています。
犬も猫も「認知行動の低下」は起こりますが、犬の方が目立ちやすいと言われています。
犬は人に合わせた行動をする動物なので、生活リズムも人とほぼ同じ。これまでの生活とのズレがわかりやすいのです。
猫は単独行動が基本なため、人の指示で行動する特性がありません。呼んでも反応しない、寝てばかりいるといった変化も「もともとがそういう動物」として見えやすい傾向があります。
身体機能・認知機能の低下にもすべりにくい床が最適
犬も猫も高齢になると足の力が弱くなります。例えば、食事中に踏ん張れなくなり、そのまま足が開いていってしまうことも。
また、室内をぐるぐる回る子は、転んだときにとっさに反応ができずケガをするおそれもあるので、グリップのききやすい床にしましょう。
すべりにくい靴下もありますが、常時履かせたままにしておくと、皮膚炎や血行障害を起こす可能性が。使用する場合は、食事中や立っている最中だけにしておきましょう。
「AMILIE マガジン Vol.12」で特集しています!無料で読めますので、ぜひ下のバナーからチェックしてみてくださいね♪

ペット愛好家のみなさまに住まいの情報を日々発信中!



