
「愛犬がシャンプー後のドライヤーを嫌がって困っている」と悩んでいる飼い主さんも多いのではないでしょうか。
大きな音や熱風、過去の経験など、愛犬がドライヤーを怖がる理由にはさまざまなものがあります。
しかし、皮膚病予防のためにも、愛犬の被毛をしっかり乾かしてあげることが大切です。
この記事では、愛犬がドライヤーを嫌がる理由や克服するポイント、やってはいけないNG行動をご紹介します。
乾かす作業が楽になるおすすめグッズもご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
愛犬がドライヤーを嫌がる5つの主な理由

愛犬がドライヤーを嫌がるのには、さまざまな理由があります。
ここでは、犬たちがドライヤーを拒否してしまう主な原因を見ていきましょう。
大きな音と振動が恐怖や不安につながっている
犬の聴覚は人間の約4倍も優れているといわれており、私たちが聞くドライヤーの音は、愛犬にとっては耳障りな大きな音として響いています。
モーターの音や風の音が突然聞こえると、本能的に「危険なものが近づいてきた」と感じ、恐怖や不安を覚えることが多いのです。
さらに、ドライヤーを持つ手元で生じる細かな振動も、犬の敏感な皮膚を通じて不快感として伝わります。
音と振動が合わさることで、ドライヤーを「嫌で逃げたいもの」と強く認識してしまいます。
熱風の不快感や火傷の経験がある
犬の皮膚は、熱に敏感です。
ドライヤーから出る熱風は、犬にとって不快に感じられ、熱さから逃げられずパニックになってしまうことも。
また、シャンプー後の濡れた皮膚に熱風が直接当たり続けると、皮膚が乾燥しすぎたり、軽いやけどを負ってしまう危険性があります。
早く乾かそうと同じ場所に当てすぎることが、ドライヤー嫌いのきっかけになり得るため、風の温度や当て方には細心の注意が必要です。
過去の嫌な経験がトラウマになっている
愛犬がドライヤーを極端に嫌がる場合、過去の嫌な経験がトラウマとして残っているケースが少なくありません。
例えば、ドライヤーを当てられた際に無理やり押さえつけられたり、暴れるのを怒られたりといった経験は、精神的負担となります。
また、音や刺激に慣れるべき社会化期に、ドライヤーの音を聞かせたり触れさせたりする機会がなかった場合、成犬になってから急な刺激に触れると、未知の恐怖として強く拒否反応を示すことがあります。
ドライヤーを「嫌なことをされる時間」と認識している場合、音を出す前から不安で震えてしまうこともあるでしょう。
タオルドライの摩擦やゴシゴシが苦手
ドライヤー前にタオルで体を拭く際、力を入れすぎてゴシゴシ拭いていたり、急いで乱暴に扱っていたりすると、その不快感が犬にとってストレスになります。
特に皮膚が敏感な子や長毛種の子は、拭かれる際に痛いと感じることも。
その結果、タオルドライとドライヤーが「嫌な作業」としてセットで記憶され、シャンプー後の一連の流れを嫌がるようになるのです。
ドライヤー本体に触る前から落ち着かない様子が見られる場合は、タオルドライのやり方を見直すことで、抵抗感が薄れるかもしれません。
ドライヤーの「風」が不快で怖い
ドライヤー嫌いの原因は、音や熱だけでなく、風そのものにある場合もあります。
ドライヤーから吹き出す強い風圧が、愛犬にとって恐怖の対象となっていることもあるのです。
犬は鼻先で風の強さや向きを敏感に感じ取るため、顔や体に勢いよく吹き付けられる風を、まるで威嚇や攻撃のように受け取ってしまうことがあります。
特に顔周りや耳元に風が当たると、息苦しさや不快感を感じ、パニックになって逃げ回ってしまうことも。
強い音を立てて風を吹き付けてくるドライヤー自体を、「本能的に近づきたくないもの」と認識してしまうことがあります。
ドライヤー嫌いな愛犬に絶対やってはいけないNG行動

愛犬がドライヤーを嫌がると、つい焦りや苛立ちを感じてしまうかもしれません。
しかし、そのときの間違った行動が愛犬のドライヤー嫌いをさらに深刻にし、克服を遠ざけてしまうことがあります。
ここでは、シャンプー後に行ってはいけない4つのNG行動を確認しておきましょう。
無理やり押さえつけて全身を乾かそうとする
愛犬が暴れるからといって、体を強く押さえつけたり、ケージに閉じ込めて強制的に全身を乾かそうとするのは絶対にやめましょう。
一時的に乾かせるかもしれませんが、愛犬にとっては強烈な恐怖体験となり、ドライヤーへの苦手意識を強めてしまうことがあります。
押さえつけた飼い主さんに対して「嫌なことをする人だ」という認識が芽生え、信頼関係の悪化にもつながりかねません。
無理強いをするのではなく、愛犬がリラックスできる場所で、慣れるためのステップを小さく踏むことが大切です。
熱すぎる風を長時間同じ場所に当て続ける
「早く乾かしてあげたい」と焦ってしまいがちですが、熱すぎる風を長時間同じ場所に当て続けるのは大変危険なNG行動です。
犬の皮膚は薄くデリケートなため、低温でもやけどにつながったり、皮膚が極度に乾燥したりする原因となります。
さらに、逃げられない熱の不快感を愛犬に与え続けることで「ドライヤー=熱くて痛いもの」というイメージを植え付けてしまうことに。
ドライヤーを使う際は、冷風や微温風を選び、風を当てる場所を常に細かく動かしながら、皮膚に負担をかけないように配慮しましょう。
乾かしきらずに濡れたまま放置してしまう
愛犬が嫌がるからといって、途中でやめてしまったり時間がかかりすぎて面倒になったりして、被毛を生乾きの状態で放置するのはNGです。
特に湿度の高い環境下では、被毛や皮膚の根元が濡れたままだと、雑菌やカビが繁殖しやすい状態になります。
これが皮膚炎や湿疹などの皮膚病を引き起こしたり、体臭の原因となったりします。
長毛種や毛が密集しているダブルコートの犬種は、見た目は乾いていても根元が濡れていることも多いため、できるだけしっかり根元まで乾かしてあげましょう。
ドライヤー中に大声で叱ったり、慌てたりする
愛犬が逃げ回ったり抵抗したりすると、つい「だめ!」と大声で叱ったり、飼い主さん自身がイライラして慌てた態度を取ったりしがちです。
しかし、飼い主さんの不安やネガティブな感情は、愛犬に敏感に伝わります。
愛犬は「飼い主さんが怒っている、何か大変なことが起きている」と感じ、ドライヤーへの不安をさらに増大させてしまうことに。
常に穏やかなトーンで優しく話しかけ、リラックスを促すことが大切です。
飼い主さん自身が落ち着いて対応することで、愛犬も「怖いことではない」と少しずつ認識できるようになります。
ドライヤー嫌いを克服するポイント

愛犬のドライヤー嫌いを克服するためには、焦らず小さなステップを積み重ねることが大切です。
ここでは、愛犬の恐怖心を少しずつ取り除くポイントをご紹介します。
「音と振動」に時間をかけて慣れさせる
まずは、ドライヤーそのものへの警戒心を取り除くことが重要です。
電源を入れずに愛犬の生活空間に置いておき、ニオイを嗅いだり触れたりさせて「怖くない物体」と認識させましょう。
次に、遠い場所でドライヤーの電源を入れます。
最初は最も弱い風量・冷風で、音が聞こえたらすぐに褒めておやつをあげましょう。
「音が鳴ると良いことがある」というポジティブな経験を繰り返すことで、音や振動が危険なものではないと愛犬に理解させられます。
風と熱を「不快ではない」と教える
音に慣れてきたら、次は「風と熱」に慣れる練習です。
いきなり体に風を当てるのではなく、まずは愛犬から離れた場所で風を出し、遠くで風を感じさせることから始めましょう。
ドライヤーを近づける際は、冷風や微温風に設定し、怖がりにくいお尻や背中などから徐々に慣らします。
顔周りは最も嫌がりやすい部分なので、慣れてくるまで避けましょう。
風が当たっても嫌なことが起こらない、むしろ心地よい温かさであることを根気強く教えてあげることが大切です。
「褒めとご褒美」でポジティブな体験に変える
愛犬のドライヤー嫌いを克服するためには、「褒めること」と「ご褒美」が効果的です。
ドライヤーのスイッチを入れた直後や、風をほんの少し当てた直後など、愛犬が不安を感じる行動の直後におやつを与えましょう。
その際、愛犬が嫌がる素振りを見せる前にやめることが大切です。
初めのうちは短時間で終わらせ、「成功体験」を積み重ねてあげましょう。
ドライヤーを楽にするための工夫と便利グッズ

愛犬のドライヤー嫌いを克服するためには、時間を短縮したり「音」や「風」を軽減したりすることが効果的です。
ここでは、ドライヤータイムを快適にするためのアイテムと活用方法をご紹介します。
吸収力の高いタオルで乾かす時間を短縮
ドライヤーを当てる前に、吸水力の高いマイクロファイバータオルなどでしっかりと水分を取っておくと時短になります。

ゴシゴシこすってしまうと摩擦が愛犬の不快感につながるため、タオルで被毛を優しく挟んで押さえるように水分を吸い取るのがポイントです。
例えば、Sinlandの「マイクロ ファイバー 大判サイズ」のような吸水性と速乾性に優れた大判タオルは、体を包み込むだけで効率よく水分を吸い取ってくれます。
嫌がる「音」を遮るイヤーマフなどを利用する
ドライヤーの大きな音に敏感な愛犬には、犬用のイヤーマフやスヌード(頭から首元を覆う布)の活用がおすすめです。

不快な駆動音や風切り音を遮断し、ドライヤーの音による恐怖を軽減してくれます。
例えば、伸縮性があるComfpetの「ペットスヌード」は、耳を覆うことでノイズリダクション効果を発揮し、ドライヤーや雷などの音によるペットの不安を和らげてくれます。
静音ドライヤーやハンズフリーグッズを活用する
ドライヤー自体がストレスの原因なら、静音性の高いペット用ドライヤーやハンズフリーグッズを選びましょう。

DUZの「プレミアム ハンズフリードライヤー」のようなスタンド式のドライヤーがあれば、両手が自由に使えるため、愛犬を撫でたりおやつを与えたりしながら乾かせます。

DOG Oneの「ペットドライヤー」のようなブロワータイプも、強力な風で短時間で乾かせるため、トータルのストレス軽減につながる場合があります。
▼おすすめの商品はこちら
ペット用ドライヤー(Jellyfish)
ペット用乾燥室(ドライルーム)なら手間いらず
ドライヤー作業がどうしても苦手な場合は、ペット用乾燥室(ドライルーム)という選択肢もあります。
これは、犬が中に入って自動で全身を乾かせる機器です。

nelloの「ペットドライルーム +Deoo」のように、脱臭やエアシャワー機能付きのものもあり、飼い主さんが手を出す必要がないため負担が大きく減ります。

また、BASSNSSE「ペットドライルーム」のようにドライヤーを差し込んで使う折りたたみ式のボックスタイプもあります。
ただし、ルームタイプを使用する際は、愛犬が閉じ込められていると感じてしまうとかえってストレスになるため、無理せず時間をかけて慣らすことが大切です。
時間をかけて、愛犬の「ドライヤー慣れ」を目指そう
愛犬がドライヤーを嫌がるのには、音や熱、過去の経験など、さまざまな理由があります。
焦らずに愛犬のペースを尊重し、無理に強制しないことを常に心がけましょう。
嫌がる原因を取り除き、冷風やご褒美を活用しながら小さな成功体験を積み重ねていくことがポイントです。
また、静音ドライヤーや吸収力の高いタオルなどの便利グッズも積極的に活用して、愛犬の負担を減らしてあげてください。
時間をかけてトレーニングを続ければ、ドライヤーの時間を愛犬との大切なコミュニケーションの時間に変えられるはずです

(マルチーズ×キャバリア/男の子)(キンカロー/男の子)




