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ペット後見の仕組みと必要性とは?信託・遺言との違いや失敗しない備え方を解説

「もし自分が入院したら、この子はどうなるんだろう」「親に何かあった時、ペットは守れるの?」

そんな不安は、事前の備えで軽くできます。

ペット後見は、飼い主さんのもしもの時でも愛犬や愛猫が安心して暮らし続けられるように、お世話をする人・緊急時の動き・お金の準備を整えておく考え方です。

この記事では、猫と暮らす行政書士がペット後見の仕組みと遺言・贈与契約・信託の違い、今日からできる備えについて解説します。

ペット後見とは「もしもに備える仕組みづくり」

ペット後見とは「もしもに備える仕組みづくり」

ペット後見は、「飼えなくなった時に備える仕組みづくり」の総称で、法律で定義された制度名(法律用語)ではありません。

似た言葉に「成年後見」がありますが、こちらは判断能力が低下した人を支える法的な制度です。

ペット後見は、愛犬や愛猫を守るために飼育者・緊急対応・費用・書面化までを組み合わせて準備する実務的な備え。

遺言書で備えることが最も多く、「負担付遺贈」という仕組みで新しい飼育者にペットと飼育費用を託すことができます。

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高齢者でも猫は飼える?体力・費用の負担を軽くする工夫と万一の備えが必要

ペット後見が必要な3つの場面

ペット後見が必要な3つの場面

ペット後見が必要になるのは、特別な家庭だけではありません。

中高年〜高齢者では、入院・介護・死亡の3つが現実的なリスクとして身近にあります。

早めに「誰が・いつ・どう動くか」を決めておくと、愛猫も家族も安心です。

急な入院や施設入所でペットが取り残される

飼い主さんが事故や病気で救急搬送されると、家にペットが取り残されることがあります。

入院や施設入所が急に決まり、「連絡先がわからない・合鍵がない・猫がいることを誰も知らない」といった障害が重なると、お世話が止まってしまいます。

だからこそ、緊急連絡カードを持ち歩き、合鍵の預かり人や駆けつけ役(ペットシッター等)を決めておくことが、命を守る最優先事項です。

認知症や身体的障害でペットのお世話ができない

家で暮らしていても、認知症や身体的な障害で日々のお世話が難しくなることがあります。

フードの量が極端になる・トイレ掃除が追いつかない・通院の判断ができない・散歩に行けないなど、本人は「大丈夫」と思っていても愛犬や愛猫の健康は静かに崩れがちです。

こうしたケースでは、家族・近所・支援者が「異変に気づく」仕組みが重要になります。

定期訪問や見守りの導線を作ることで、早めの支援へつなげられます。

飼い主さんの死後に引き取り手が誰もいない

飼い主さんが亡くなると、ペットは突然、所有者(お世話する権利のある人)を失います。

法律上、ペットは「物」として扱われるため、相続人などの権限が整理されない状態で第三者が勝手に連れ出すと、近隣や親族とのトラブルになり得ます。

また、相続人が飼えない場合、結果として行政に引き取りを相談されるケースも。

大切なのは、「きっと誰かがなんとかしてくれる」ではなく、引き取り先の候補に本気のお願いをして合意を得ておくことです。

ペット後見に不可欠な3つの要素

ペット後見に不可欠な3つの要素

ペット後見を実際に機能させるには、①飼育の受け皿(人・場所)②緊急時のレスキュー(駆けつけ・搬送)③法的な書面(お金と権限の明確化)の3点が欠かせません。

どれか一つでも欠けると、権利や方針が不明確なことによって、誰かが悩んだりお世話が止まったりします。

飼育の受け皿の確保|お世話をする人・場所

まず必要なのは「誰がお世話を引き継ぐか」を決めることです。

知人や親戚にお願いする場合でも、愛犬や愛猫の性格・生活リズム・医療情報・費用まで含めて合意しておくことが大切です。

「その時はよろしく」だけでは、いざという時に猫のお世話がうまくできません。

引き受けてくれる人がいない場合は、範囲を広げて民間サービスやNPO、ボランティア団体から探す手もあります。

時間が経過すると相手側の状況も変わりますので、後見先は第2候補まで用意すると安心です。

緊急時に対応できる見守り|駆けつけ・搬送・一時預かり

飼い主さんの緊急搬送・入院は突然起こります。実は一番大事なのが、緊急時に「誰が気づき、誰が動くか」です。

合鍵を預けていなかったり、ペットがいること自体を誰も知らなかったりすると、時間がどんどん失われます。

家族が離れて暮らしているなら、ペットシッターや近所の信頼できる知人と連携し、駆けつけ・搬送・一時預かりの段取りを決めておくと、ペットのストレスも最小限になります。

連絡の順番(誰→誰)まで決めて、緊急連絡カードを財布やカバンに入れておくと確実です。

法的な書面の準備|資金・人・役割の明確化

「口約束」だけでは、善意があっても揉めます。

ペットは法律上「物」とされ、所有権の問題が絡むため、第三者が勝手に連れ出すとトラブルになり得ます。 

だからこそ、遺言書や贈与契約書などの法的な書面で、飼育者・費用・引き継ぎ方を明確にしておくのが重要です。

いくら残すかも書面化されていると、託される側は安心して引き受けやすくなります。

ペット後見で使われる法的手段の違い|遺言・贈与契約・信託

ペット後見で使われる法的手段の違い|遺言・贈与契約・信託

ペットに直接遺産を渡すことはできないため、現実的には「お世話をしてくれる人」に財産を託す形を取ります。 

負担付遺贈や負担付贈与契約(生前贈与・死因贈与)、信託の特徴を知り、目的と状況に合ったものを選びましょう。

負担付遺贈

ペット後見では「負担付遺贈」が最も一般的な方法で、遺言書を作って飼育者と飼育費用を明確にします。

たとえば「Aさんに猫の飼育を負担としてお願いし、その代わりに50万円(または自宅など)を遺贈する」といった形にできます。

ただし、遺言書は一方的な意思表示なので、受遺者(受け取る側)は飼育費用とペットを受け取る権利を放棄できる点に注意が必要です。

 「お願いしていたのに断られた」が起きないよう、事前の合意が欠かせません。

負担付贈与契約

負担付贈与契約では、たとえば「Bさんに猫の飼育を負担としてお願いし、その代わりに50万円を贈与する」といった形にできます。

生前贈与死因贈与があり、「いつ効力を発生させるか」を設計できるのが遺贈との大きな違いです。

死因贈与契約は遺言書と同じで本人の死後に財産が渡りますが、契約=相手の合意が前提なので、「知らないうちに押し付けられた」ということにはなりません。

また、「長期入院したら・認知症になったら」などの条件で効力が発生する生前贈与契約を結んでおけば、本人と意思疎通ができなくても愛猫を守れて安心です。

ペットのための信託

一般に「ペットのための信託」と言われる仕組みは、財産管理が難しい障害のあるお子さんへの相続対策として使われてきた家族信託を応用したものです。

飼育費用をあらかじめ信託財産として分けておき、決めた目的のために確実に使われるように制度設計をします。

お金の管理者と飼育者を別々にでき、預ける額・使い道・見守り役を定めて、安心して託せます。

ただし、制度設計が複雑になりがちなので、数百万円単位の費用がかかることも珍しくありません。

今日からできる5つの備え

今日からできる5つの備え

しっかり書面化する前に、今すぐできる備えがあります。

「愛犬や愛猫の情報・緊急連絡先・費用の見える化・相談先の確保・住まいの安全対策」を整えるだけでも、いざという時に安心です。

愛猫・愛犬の情報(うちの子ノート)

まずは「うちの子ノート」を作りましょう。

フードやトイレのこだわり・性格・持病・投薬・ワクチン歴・かかりつけ動物病院・保険・マイクロチップ情報・写真などを紙やデータにまとめます。

引き継ぐ人に共有しておくと、情報があるだけで不安が激減します。

緊急連絡カード・合鍵

連絡先を書いたカードを、財布やカバンに入れて持ち歩きましょう。

「猫(犬)が〇匹います/自宅住所/連絡先/合鍵の所在」を記載するのがおすすめです。

救急車の隊員さんに聞いた話では、家から搬送する時に冷蔵庫に貼ってあるメモを確認することがあるそうなので、大きなメモを貼っておきましょう。

さらに、合鍵をペットシッターや信頼できる知人に預けておくと対応がスムーズです。

費用の計算・積み立て

年間の飼育費をざっくり計算し、愛犬や愛猫の年齢に合わせて積み立てを始めましょう。

ポイントは「フード・トイレ砂などの固定費」だけでなく、「通院・治療費」を見込むことです。

積立は、専用口座でも封筒管理でも構いません。

大事なのは、引き受ける人が赤字の不安を感じないことです。

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猫の飼育にかかる費用はいくら?初期・1ヶ月・年間・生涯に必要なお金の目安は?

相談先の選定・問い合わせ

知人や親せきに頼めない場合には、候補を広げ、行政書士などの専門家・ペット後見に取り組む団体・ペットシッター・地域の保護団体などの相談先に問い合わせましょう。

ペットの年齢・頭数・健康状態・希望(同じところで終生飼養・新しい里親探し)を伝えると話が進みやすいです。

住まいの整備・見直し

一人暮らしの高齢者ほど、住まいの整備が「ペットの命綱」になります。

例えば猫の場合、転倒しにくい動線や室温管理、物の置き場に加えて、緊急時のレスキューや臨時のお世話で重要なのが脱走防止です。

知らない人が来ると、猫は驚いて外に飛び出しやすいからです。

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ペット後見に関するよくある質問(FAQ)

ペット後見に関するよくある質問(FAQ)

最後に、よくある疑問にQ&A形式で答えます。

後見人は家族じゃないとダメ?

家族でなくても大丈夫です。信頼できる知人や姪などの親戚が後見人になるケースもあります。

後見人の生活環境(住居・先住動物・アレルギー)や同居家族の同意まで確認しておくことが大切です。

もし身近に見つからない場合は、範囲を広げて民間サービスやNPO法人、地域の保護団体を探しましょう。

「1人に丸投げ」ではなく、緊急対応と飼育担当を分けるのも現実的です。

費用が少なくてもできる?

近しい家族が引き受けるなら、最小限の備えでも回ることはあります。

ただ、知人・友人にお願いするなら、ペットの年齢や頭数に応じて最低限の飼育費は渡したいところですね。

目安として、あるペット後見互助会では「1頭あたり100万円〜」という設計例があります。

飼育費用以外に、遺言書や契約書の作成に一定の費用がかかることも理解しておきましょう。

引き取り先が見つからない時は?

あきらめずに探すことが大事です。知人や親戚で難しい場合は、ペット後見に取り組む団体やサービスを検討すると道が開けます。

誰にも頼めない時は、ペット後見.jpの連携事業者などが頼りになるでしょう。

ペット後見とペット信託の違いは?

「ペット後見」は、もしもに備える仕組みづくりの総称です。その中には、受け皿探し・見守り・書面作りなどが含まれます。

一方で「ペットのための信託」は、民事信託の仕組みを使ってペットのために財産管理・支出をする考え方で、「ペット信託」は商標登録された名称です。

 結論としては、信託はペット後見の選択肢の一つと捉えるとわかりやすいでしょう。

猫と犬で備えは違う?

基本は同じです。ただ、犬は散歩が必要で、特に大型犬や介護期の犬は身体的・経済的負担が大きく、引受先が見つかりにくいことがあります。

猫は室内中心で暮らせる一方、脱走リスクと環境変化ストレスが課題になりやすいので、安全な住まいの環境の引き継ぎも重要です。

【まとめ】一人暮らしの高齢者もペット後見で安心して暮らせる

【まとめ】一人暮らしの高齢者もペット後見で安心して暮らせる

ペット後見は、特別な制度というより「もしもに備える段取り」です。

ポイントは、①飼育の受け皿(誰がお世話するか)②緊急時のレスキュー(誰が動くか)③書面での明確化(お金と権限)の3つ。

ペットは法律上「物」として扱われるため、善意だけでは動けない場面があります。

だからこそ、うちの子ノート・連絡カード・合鍵・費用の見える化から始めて、必要に応じて遺言や契約、信託を組み合わせましょう

この記事を書いたペットとの暮らしの専門家
永楽陽子
    愛玩動物飼養管理士2級・行政書士・宅建士の資格保有者で、ペットと法律の知識が強み。(ミックス/男の子)




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